南の国の太陽、空の色の獅子

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Jスポのチーム・プレゼンテーションの放送での、コンタドールへのブーイングに関する発言を聞いて、福島第一の原発事故後の、TV局・新聞社のロクでもない大本営発表・大政翼賛会報道を連想した。

「まっとう」なメディアであるならば、「コンタドールがなぜ現地でブーイングを受けるのか」の事情を、「正しく」説明するもの、だと思う。


●コンタドールがなぜ現地でブーイングを受けるのか

短くまとめると、
「昨年のツール中のドーピング検査で、なんとまあ禁止薬物が検出された。本人は、事故で、故意ではないと主張して、揉めて、その件の決着が、1年経ってもいまだについていない。
つまり、『昨年は、ドーピングをして、勝った可能性がある』ということ。
最終結果が、ツール開始前に出る予定だったのに、コンタドール側が日程延期を要求して、その結果、推定無罪ということで、今年のツール出場を認めさせた。
今年優勝しても、そのあと出る判決で、有罪になったら、昨年と今年2年分が剥奪になる。

・・そんなドッチラケる話があるかい。クロかシロかちゃんと決着をつけて、無罪を確定させてから、出場しろい。
審理引き延ばしなんて、姑息なことしやがって、潔白なら、引き延ばす理由はないだろ。『分が悪い』以外にどういう理由があるのかね」

以下詳細。

1年前のツール終了後、天王山ステージのトゥールマレ決戦前日のドーピング検査で、コンタドールの検体から禁止薬物が検出されていたことが、明らかになった。

当人は、汚染食物が原因という弁明をした。
専門家によれば、検出の原因は、食物汚染と血液ドーピングの両方の可能性がある、という。
一部の人は、コンタドールの弁明を信じ、一部の人は、血液ドーピングを疑った。
どちらなのかを判断するに十分な確定的証拠が明らかになっていないため、人々の判断はまっぷたつに分かれた。

しかしながら、世界ドーピング防止規程に則れば、禁止薬物の検出は、異論の余地なく規則違反であり、制裁措置の対象となる。
摂取ルートと、競技力の向上を目的としていないこと、それに加えて、摂取に過失がないことを証明した「例外的ケース」に限って、制裁措置が取り消される。

ルールに則れば、原因が食物汚染であり、かつ過失がないことの証明義務は、コンタドール側にある。
論理上、完璧な証明は、非常に困難だ。汚染食物の現物は、どこにも残っていないからである。

処分を決める機関であるスペインの自転車連盟は、今年の初め、一旦は、1年出場停止を考えた。ところがそれが公になったら、スペインの首相を初めとする国内の権力者たちから無罪を要求する声が上がり、一転して、制裁処置はなしとされた。
この経過が逐一報道されたため、逆転無罪は、スペイン国内の「自国の英雄を庇う政治力の結果」という印象を、スペイン国外に強く与え、不信を呼び起こした。

スペインは、オペラシオン・プエルトを初めとしてドーピング事件を数多く起こし、「スペイン人はドーピングに甘い」という国際的な「悪い評判」がある。それが今回も発動した、という見方を招いた。

UCI(国際自転車連盟)とWADA(世界アンチ・ドーピング機関)は、スペイン自転車連盟の決定を追認せず、CAS(スポーツ仲裁裁判所)に不服を申し立てた。

食物汚染による禁止薬物の検出は、近年中国や南米で事例が相次いでいるため、コンタドールの主張を信じる人も多いが、EU圏では、今回の例以外に発生していない。
WADAは、自転車だけでなくスポーツ界全般のドーピングを世界規模で監視している機関であり、食物汚染を主張した複数の事例の各国機関の制裁処置なしを追認したが、コンタドールに関しては、追認しなかった。

CASの判決は、スケジュール通りに進めば、ツール開始前の6月末に結果が出る見込みだった。ところが、審理日程の延期をコンタドールの弁護団が要求し、認められて、結論がツール前に出ないことになった。

ツール主催者ASOは、ツール前にシロクロの決着がつくことを望んでいた。コンタドールが、それをさせず、未決状態にして、ツール出場の権利を保持したことは、ASOを失望させた。

WADAのディレクターは、裁判の公正を期するため、日程の延期を了承したが、コンタドールは、今年のツールには出場しない方がいい、と、ツール前にスペインの有力紙に話した。



●強ければ、許されるのか

チーム・プレゼンテーションでのコンタドールに対するブーイングは、以上の事情の上での、「お前は、ここにいるべきではない」という意思表示だと思う。

更に言えば、コンタドールは、出場して優勝すれば、無罪になることを、読んでいる。「これだけ強い僕を有罪にはできないよね?」という見込みの元に、審理を延期する裁判戦術を取った。
実際に、アクシデントがなければ、彼は勝つ。そして、無罪になる。
ツール2連覇を、剥奪はできない。自転車界にもツールにもダメージを与えるから。判決は、そういう事情によって決まる。(私の見通し)

つまり、「強ければ、何をしようが、許される」。
この現象は、他のジャンルでもみられることで、珍しくもなんともないが、それを肯定しない価値観を持つ観客は、ブーイングをとばすだろう。

私は、彼がブーイングで迎えられることには確信があった。もしそうでなかったら、腰を抜かした。
(出場表明後のフランスの世論調査で、反対63%、OK12%、と数値が報道されている)
もっと盛大でもよかったくらいだが、一般的にTV放送が拾う会場の音声は絞られるので、TVで聞くより大きかったのかもしれない。

事情説明をしないメディアは、「3連覇を目指す最強の王者がドーピングでクロであっては都合が悪い」と、「臭いものに蓋」をしたいのである。

彼等は、WADAのCASへの不服申し立てをなんだと思っているのだろう。
WADAは、無実の選手を訴えている、と思っているのか。

3週間後に優勝が決まったとき、何というのだろう。この後、裁判が控えていて、剥奪される可能性がありますが、無実であればいいですね、とでも言うのか。
それとも、全く触れずに無視するか。どうするのか、お手並み拝見しよう。

コンタドールを出場させれば、観客からブーイングが起こることは、予想できた事態だった。想定外では全くない。
チーム・プレゼンテーションの華やかなショーの最後に登場する、優勝候補ナンバーワンの王者がブーイングで迎えられることは、気分がよくなる光景ではないし、TV画面に映したくはない、醜悪な光景といえる。

しかし、その事態を引き起こしたのは、彼に出場を許したUCIとASO、なにより、コンタドール本人である。
ツール前にCASで決着をつけていれば、出場するときは晴れて無罪確定だし、有罪なら出場しない。
無罪確定でも、一部の人は疑い続けるし、昨年のチェーンゲートで、すでに彼はフランス人の半分くらいからの好意は失っていて、それに輪をかけるので、やはりブーイングを受けることが予想できるが、今回よりは少なかったことは間違いない。
審理日程を引き延ばして、決着をつけず、ブーイングを招いたのは、誰でもない、本人だ。



●WADAは、「何か」を掴んでいる

先日、「ひっかかる」点を記したが、改めて整理をすると、一番に挙げるべき点は、「WADAは、食物汚染の主張を、複数の事例では追認したのに、コンタドールだけは追認しなかった」こと。

私は一次資料を何も持たず、二次以降の資料だけで判断するしかない一観客だ。誰の判断(意見)を重視すべきかと考えると、最重要は、「一次データを保有するWADA」ではないか、と思う。

現況では、「WADAは、本件は食物汚染ではない(のではないか)とする論拠を何か持っている」ように思う。
それが、私のように「ひっかかる」程度なのか、かなり高いレベルの疑いなのか、程度は定かでないが、「何か」があるのではないか。



●行き着いた果て

この機会に、続けて記す。

私は、アンディが「シロ」の選手だ、と確信してはいない。
今回コンタドールに起こったことと同じことが彼の身に起こったなら、私は、今回と同じように考える。
「クロの可能性はある」と。

「気持ち」の部分では、「やっていない」と思う。これまでに集めた情報で「こういうパーソナリティ」と作った像からすると、考えにくい。
「どこぞで得体のしれないものをつまみ食いして、悪いものに当たっちゃったんじゃないの。用心なんて全然しなさそうだから、やりかねない。そこら中にモノ忘れる、スケジュールも忘れるような人なんだから、怪しいものを飲み食いしたって覚えてなさそう」

本人が、必死の顔つきで、「(ドーピングは)やってないって!」と言ったら、「うん。そうだよね」ときっと思う。
コンタドールのファンの多くが今そうなのと全く同じに。

けれども、私は、「理屈」を知っている。
私は、彼本人ではなく、赤の他人だから、彼が何をしたかも、嘘をついているのかそうでないのかも、本当のことは判らない。
仮に、自分の息子であっても、同じことだ。自分自身以外の人間の心の内の真実は、判らない。当たり前だ。

ただ、自分の息子であったなら、目の前で「こんなことになって」と愚痴られたら、「うん、うん、うん」と、黙って相槌を打つ。
「嘘かもしれないな」と心の内で思ったとしても、やっぱり、「うん、うん、うん」と、黙って話を聞く。

そういうものだと思う。

これが、ミハエル・シューマッハのファンをやって、「97年ヘレス」に、何年もの間、苦しみ続けた人間が、辿り着いた域。
97年ヘレスについて、先日、やっと判ったことがある。「14年目の97年ヘレス」は、機会があれば書こうと思う。



●デンマークでは
Danske mænd støtter Contador - kvinderne er lunkne(7/1)
デンマークでの世論調査では、コンタドールの出場は、OK50%、反対33%
男女で差があり、男性はOKが多く59%、女性はノーが増えて、ほぼ半々、だそうだ。

デンマークには、リースの支持者が多いと思われるが、反対派がこれだけいるのは、報道が、客観的な事実(クロである可能性)をきちんと伝えてきたからだろう。
2011/06/19 : 【コンタドール事件】経過と見通し

そして、男は「強ければいい」し、女は「強ければ許されるということはない」という価値観の反映では。
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コメント


コンタドールは逃げ切れるでしょうか?
スペインは手続きの不備を理由にお咎め無しにしましたが、肉については何の判断も下していない。 もしCASがコンタの主張を受け入れ、無罪と裁定するなら、スペインの肉の汚染が国外の第三者機関によって確認された事になる。 バスクの畜産農家だけでなく、EUの検査体制にも疑問を投げつける判断になりますね。

そもそも、「肉が汚染されていたら、無罪成立」との認識は危うい。 クリーンな選手が不運にも悪い肉を食べてしまう可能性があるなら、ドーパーが同じように知らない内に肉を食べ、予定外の陽性に・・という場合もあり得るから。 スペインの肉が悪かったというだけで彼が陽性結果を覆せるなら、極端な話、今後スペイン在住の選手はクレン使い放題では? 肉に当たった!と言い訳するだけで済むならば。 

上訴されず無罪になったオチャロフ選手のケースでは、中国肉の汚染率の高さが確認されただけでなく、毛髪検査によって、クレンを「使った」のではなく、偶発的に体内に「取り込まれた」事を示し、食物汚染の被害者である事に説得力を持たせた。 黒髪は金髪よりはっきり痕跡が出やすいので、下手をすればやぶへびになる。 黒髪の彼はやましいところが無かったから、検査を受ける事を躊躇しなかった。 卓球が痩せていても有利にならない競技だった事も、動機の点で考慮されたかも? コンタと彼のステーキ仲間は、誰も毛髪検査を受けていないのはご存じとおりです。
WADAは、彼が「使った可能性」さえを仮定出来れば、食品汚染の有無に関係なく、2年の裁定を導き出せるのではないか?と思うのですが。
2011/07/03 17:39URL  mumei #mQop/nM.[ 編集]


mumeiさんの前回の「ASOは、コンタドールの出場を拒否できない」というご指摘は正解でした。
CASの判決についてのよみも、正鵠を射ていることを願います。

お書きになった点は、私も考慮しました。
論理的に考えれば、今回のケースを無罪にするのは、理に合わない。現時点までに私が入手した材料から考えると、そう思います。

でも、本件は、「法律論とは別のところ」で決まるんじゃないか?と。

CASは、どこからの影響も受けず、中立・公正な判断のできる機関なのでしょうか?

UCIとASOが、コンタドールに今年のツール出場を認め、多数の観客・関係者が彼を賞賛するという現実は、「世界は、彼がドーピングをしていようが、そんなことはどうだっていい」ということだと思います。

「なかったことにするのがみなの利益」。公正とか、そういう概念は、「経済的理由」の前では何の力もない。
・・んじゃないのかなあ、と今日のTV中継を聞いていても、自分は思ってしまうのです。(そうでないといいのですけれどね)
2011/07/04 23:47URL  RIHO #-[ 編集]


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