南の国の太陽、空の色の獅子

Category :  自転車
tag : 
「原因は肉である」証明をコンタドール側はしていない、という2月21日の自分の記述は、全体状況からの推測だった。裏付けになる具体的な記事が出てきた。

Cycling: Alberto Contador's lawyer explains ban U-turn (The Independent 2/23)
紹介記事・・Contador's lawyer reveals defence strategy (cyclingnews 2/25)

コンタドールの弁護士が、どのようにしてRFECから処分無しを勝ち取ったかを話したもの。
この記事から「何を読み取るか」「どう解釈をするか」は、読む人によって幅があると思う。
記事には、ひとつではなく、複数の情報が書いてある。人は、「自分がこれまで持っている考えに一致する情報」を探し、「一致しない情報」を切り捨てる傾向がある。
英文の読解の仕方、の上にのっかって、解釈の幅が増幅されるだろう。

これを読んで、「肉だと証明できる」と思うか、「足りない」と思うか。
自分は、コンタドール側がRFECに出した弁明の文書を読んでいないし、法律家でもない。よって「素人のいい加減」な意見だが、この記事を読む限りでは、「証明として成立しない」と思った。

記事から読み取れることは、
1.肉の生産者の特定・・・できていない。
2.クレンブテロール汚染・・・生産者である可能性のある範囲の中に、汚染の可能性のあるものが存在する。

英文の解釈の問題は有るし、不明な点もある。
生産者は3か所のうちのどれかであるとバスク政府が証明しているのか、それ以外の可能性はないのか、3か所のうちの1か所の可能性が高そうというのは、どの程度の確率なのか。

この記事だけでは判らないことが複数あるが、「原因は肉である」と主張するためには、「肉の生産者(生産地)を特定し、その生産品が汚染されている確率が極めて高い」ことを示す必要がある、と思う。
記事の記述からは、彼等は、生産者の特定に成功しておらず、極めて高い割合で汚染されている事実も発見していない、と受け取れる。
辿りついたのは、汚染されていた「可能性がある」まで、である。

「バスク地方産の肉が汚染されていない証明はない」という発言があるが、「汚染されていない証明はない」とは、「汚染されているかもしれない」という可能性を意味するだけで、「汚染されている」ことの証明にはならない。
(流石弁護士、高校生くらいだと騙されそうな弁明である)

オフチャロフと同程度の強さの証明を成立させるためには、「中国と同程度以上に、バスク産の肉全般が汚染されている」という証明が必要になると思う。

元々、一般論として、「原因が肉であることが事実でも、それを証明することは極めて難しい」という見方があった。
RFECが1年出場停止を提示したとき、コンタドールはそれを受け入れるべきとコメントした関係者複数が、理由として、このテーゼを口にした。

なぜならば、肉の現物はどこにも残っていない。すなわち「証拠品が消滅している」からだ。
肉の生産地を特定し、その生産品全般が汚染されている確率が極めて高いことを示すのは、次善の策でしかない。

オフチャロフは、中国に滞在しており、中国における食物汚染の高さが認められたため、肉が原因である、と関係機関に承認された。
ケルンの検査機関で、中国からの帰還者を調べたところ、28人中22人から、低レベルのクレンブテロールが検出された。
WADAは、このデータをみて、オフチャロフの処分取り消しに同意した(不服申し立てをしなかった)という解釈が、おそらく当たっていると思う。

Howman: More money in doping than heroin (cyclingnews 2/23)
AP Interview: IOC official dispels food defense (Daily Caller 2/25)

さすれば、バスク地方(もしくはスペイン)の居住者もしくは帰還者を調べて、同様の数値が出れば、コンタドールに有利になる、という連想が浮かぶ。
逆に、出なければ、オフチャロフと同じ扱いをする理由はない。

もしも、WADAが、コンタドールについてもCASに不服申し立てをしない決定をしたなら、前者のデータが出たことが、可能性の一つとして推測できるのではないか、と思う。

但し、コンタドールが陽性反応を出した日、彼はツール参戦中で、バスクに滞在してはいなかった。バスク産の肉を食べることは、「自然な行為」ではない。
この点が、中国国内にいたオフチャロフとは異なる。

尚、スペイン首相や政治家たちが、肉の汚染説を積極的に肯定するのは、国産牛肉の安全性の否定になり、そんなことをするか?と少々疑問にも感じるが、その回答は、「マドリードの政府にとって、バスクは、『我が国』ではない」が、最も確からしいかもしれない。
他方、中国のアンチ・ドーピング機関は、WADAの中国国内の食物汚染の照会に対し、ドイツの検査機関がおかしい、と大反発する回答を寄こした、という。(これはこれで別の問題を起こしそうな件である)

The Independentの記事に戻ると、弁護士がどの程度本当のことを喋ったのか(どの程度事実を隠したのか)、記事を作った記者が、相手の本旨を理解しているのか、信憑性の程度は判らない、という保留をつけなければいけない。
記事1本を真に受けて判断するのは間違いの元、あくまで「材料のひとつ」として理解しておきたい。
今後、出てくる情報次第で、解釈・推測は、くるりと変わる可能性がある。
スポンサーサイト

コメント


この記事に対するコメントの投稿
















この記事に対するトラックバック

トラックバックURL
http://leonazul.blog87.fc2.com/tb.php/837-736f6367
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)