南の国の太陽、空の色の獅子

Category :  自転車
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●Le rêve est désormais réalité.

「ルクセンブルクのチーム」を持つことは、ルクセンブルクの人にとっての「夢」である、という文言は、以前から度々読んでいた。しかし、自分は今まで、その感覚を「実感として」理解することができなかった。

1月6日の後、ルクセンブルクの報道を読み進んでいくにつれ、判ってきた。
確かに、かの国の人々にとって、Team Leopard-Trekの誕生は、夢の実現だったのだ、と。

ルクセンブルクの人口は約50万。面積は神奈川県くらい。(日本の人口は1.3億。260分の1である)
世界のトップクラスで活躍するスポーツ競技はないに等しい。ただ一つ自転車を除いて。
ツール・ド・フランス総合優勝者は過去3人いる。1909年フランソワ・ファベール、1927・1928年ニコラ・フランツ、1958年シャルリー・ゴール。
シャルリー・ゴールから50年の歳月を経て、ようやく「時」が、巡ってきた。

チームの発起人について、関係者たち全員が、「自分だ」と言いたがらない。おかげで、総合的に解釈をするしかないが、「このチームの核は、フラビオ・ベッカとシュレク一家」。この解釈に、おそらく誤りはないだろう。
ベッカとシュレク兄弟の父ジョニー・シュレクとは、ハンティング(狩り)を通じて知り合いであった、という情報が出たのは、プレゼンの少し前だった。
(ガゼッタが、ベッカがそう語った記事を載せたらしい。元記事はネット上にないため確認できないが、複数メディアが引用している。ベッカは、その名で判るようにイタリアがルーツなので、ガゼッタがアプローチしたと思われる)

運営資金の出所は、ベッカ単独でなく、ルクセンブルク国内の複数ではないか、という説が、メディアには今尚根強くある。
プレゼンにロペスたちが現れたり、政治家(連立与党のうちの一つの党首)が役員の1人と発表されたりといった点が、「公式には、誰も認めていなくとも」、国全体の支援が存在する推測を呼ぶのだろう。
事実は定かでない。勘ぐりにすぎないかもしれぬし、事実なのかもしれない。が、どちらであっても大差がない、と自分は気にしていない。

Team Leopard-Trekは、「ルクセンブルクのチーム」である。
Team Saxo Bank-SunGard が「デンマークのチーム」であるのと同様に。

デンマーク国内では、当初からLeopard-Trekを「リースの配下であったアンデルセンとニガードが、リースを裏切って作ったチーム」とみなし、プレゼン明けに、BTが、Leopard-TrekとSaxo Bank-SunGardのどちらを支持するか?という投票を実施して、予想通り圧倒的にサクソバンク支持という結果を報じたが、ルクセンブルク人及びそのサイドから見れば、「デンマーク人たちが、『勘違い』をしている」。

Leopard-Trekは、デンマークメディアが記すような「アンデルセンとニガードのチーム」ではない。チームの主はルクセンブルク人のベッカとシュレクであり、デンマーク人2人は、彼等に雇われた人間に過ぎない。
「デンマークの皆さんは、これまで通りデンマーク人リースのチームSaxo Bank-SunGardを応援すればいいし、Leopard-Trekは、『我々ルクセンブルクのチーム』ですから、我々が応援します。それでいいことでしょ?(デンマーク人同士で喧嘩したいならすればいいけど、『うちのチーム』には関係ないわ)」

指摘しておく点がある。
「ルクセンブルクというナショナリティが、このチームのアイデンティティのひとつ」だが、このアイデンティティは、ルクセンブルク以外の国籍の人にとっては、ほとんど意味がない。
チームの大部分を占める他国籍の選手たちにとってそうだし、我々日本人を含む、世界の大半の人にとってそうだ。

この現象は、今までも、「特定の国を代表するチーム」では起こっていた。
自分は、昨年まで知らなかったが、デンマークのメディアを見始めて、気がついた。自分が明確に認識したのはデンマークだけだが、おそらくオランダでは、ラボバンクが「うちのチーム」で、同様の傾向なのだろう、と思う。

「ルクセンブルクの夢」というアイデンティティは、シーズンが始まり、「レースの日常」が戻ってくれば、段々と朧になっていくだろう。
再び、はっきりした形として現れるのは、7月だ。
水色と白の横縞に赤いライオンを描いた多数の旗が、夏のフランスの地にはためくだろう。
その旗がシャンゼリゼを埋める日、2つ目の「夢」が、現実になる。
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コメント


私の暮らしている県は70万人の人口です。そこに世界的なチームができたら、と考えてみるようになりました。
ルクセンブルクの新聞やらの報道を見るとそう考えたほうがいいのかなと、思うようになっていて。
で、RIHOさんの文章でそれでいいんだとw

小さな国だから私たちが思うよりもその意識が強いのだと思います。歴史とか色々と複雑な意識もあるのでしょうし……

歴史のある競技だからこそ、私たち日本人には分からない思いがあるのでしょうね。。
きっとシュレックパパ達の思いがこもったチームなのだと思います~~

たくさん勝ってルクセンブルクの人が笑ってられるといいですね
2011/01/13 22:58URL  hanahana2 #-[ 編集]

hanahana2さん
私の居住地は東京特別区で、近い数字なので、ルクセンブルクの人口を知ったとき、愕然となりました。
「うちの区ひとつで、一国」ということの想像がつかない。

この「人口の差」が、人の「ものの考え方」に与える影響は、非常に大きいと思います。
「社会の中での人ひとりの重さ」が全然違う、から。

「自分の国」に対する感情も、違うところがありそうな気がします。

スポーツ観戦は、競技そのものの他に、色々なことを知る機会になって、面白いですね。
2011/01/14 22:18URL  RIHO #-[ 編集]


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