南の国の太陽、空の色の獅子

Category :  自転車
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レースの現場に頻繁に足を運ぶ海外のファンの記述を読むと、選手やチームに関して持つ情報、そこから導き出される人物や出来事の見方・解釈に、TV観戦だけの観客とは、本質的に異なるものがあることに気づく。
このことは、他のスポーツのジャンルで経験して知っているので、理解しやすい。

今回のサクソバンクのケースだが、複数の人の話からすると、このチームには、ルクセンブルクを拠点にした、シュレク兄弟とアンデルセンを中心とした一派、いわば「もう一つのチーム」が、チームの中に数年来存在していた。それが分離独立した、という解釈をしていいらしい。
シュレク兄弟をおっかけて、チームバスの近辺で観察していると、兄弟の周りにいるスタッフは常に同じ顔で固められていることが判るのだそうだ。彼等の多くはルクセンブルク在住で、リースサイクリング本家とは距離をおいて、分派みたいになっていたらしい。

チーム内の諸事情・人間関係は、外部からは伺い知れないが、アンデルセンが独立を計画したとき、揃って彼についていく程度の結束力を、この一派は築いていた、ということではないか。

シュレク兄弟は、アンデルセンとリースのどちらかを取る、という局面で、アンデルセンを選んだ。
外野の我々は、アンデルセンとニガードという人物に、チームを運営していく力量があるのかとか、新チームのリスクとか、あれこれと難癖をつけるが、おそらくは、シュレク兄弟にとっては、アンデルセンは、十分な信頼のおける人物で、リスクを承知で、彼と共にいく道を選んだのだろう。

ルクス一派が、リースとの間で、問題があったかどうかは判らない。あったのかもしれぬし、ないかもしれない。
「OVERCOMING」を見れば、リースは、専制君主的な古いタイプのボスであることが判る。選手に対しては、「やれ」「いけ」と有無を言わさず命令するタイプで、自分自身の考えを持って、ああしたいこうしたい、と思う選手は合わない。サストレがいた時代のリースはそうだった、その後少し変わっていったみたいだけれど、という話を、長年リースのチームに在籍し、サストレと共にサーヴェロに移籍したベテランメカニックが語った記事を読んだことがある。
若く経験のないうちは、疑問を持たずに、ボスの命令に従順に従っていても、年を経てゆき、自分の考えを持っていくにつれ、合わなくなるケースはありうるだろう。

シュレク兄弟は、ツールで勝ちたいなら、勝てる環境を得ること、「勝てるチーム」に在籍することが必要で、アンデルセンの新チームは、それに該当するのか?という疑問を、メディアや、一般的観客たちは抱くと思う。
自分も、その1人だった。「サクソバンク離脱は正しい選択だったのか?」という文言は、そういう意味である。

けれども、スタンスを変えれば、この問いは、「愚問」と、あっさり却下できる。
シュレク兄弟は、「ツールで勝つために自転車選手をやっている」のではない。自転車選手をやっている以上は、ツールで勝つことが目標だが、物事の順序が逆だ。

彼等にとっては、信頼する人々と共にレースを続けていくことが先にあり、ツール制覇はその後の目標、なのだろうと思う。
7連覇及びその後のランスは、「ツールで勝つことがすべて」だった。ランス信者であった自分は、当初彼のスタンスに疑問を持たなかったが、欧州の自転車ロードレースの伝統の中では、ツール制覇だけを遮二無二目指したランスは、明らかな異分子だった。自転車ロードレースの知識を増やしていくにつれ、自分はそのことに気づいた。

アンディは、常日頃から、自転車は人生のすべてではなく、一部に過ぎない、と繰り返す。彼は、フランクとマイヨ・ジョーヌのどちらかをとれ、と言われたら、フランクを取る、そういう子だ、と以前書いたが、今回の移籍劇も、彼の生き方の露れ、と考えれば、辻褄が合う。
そして、その結果として、マイヨ・ジョーヌをパリで着ることなくキャリアを終ったとしても、彼が後悔をすることはないだろう、と思う。

人生において、一番大切なものは何?
マイヨ・ジョーヌだとは思わない選手に対して、観客が、考えを変えろと要求することは無意味であり、「傲慢」だろう。

今の自分は、そういうふうに考えることができるようになった。

■Gala補遺

ルクセンブルクのGalaの動画が複数あがっていたことに気づく。
盛り上がっていた街の様子がよく判る。微笑ましい。
小さな国の小さな街が、「うちの子」の成功を喜ぶ光景だ。

パレードを待つ街の風景。老若男女総出。
アンディバスのパレード
レーススタート
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