南の国の太陽、空の色の獅子

Category :  フィギュアスケート
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全日本開催中だが、4年前トリノ五輪代表選考の2005年大会を思い出す。

女子SのFPを代々木に見に行った自分の記憶に強く残っているシーンがある。
最終グループの6人が、6分練習に出るためリンクサイドに待機している光景だ。

自分の席は北側2階中央の4列目で、選手たちのリンクへの入口が真正面だった。前のグループの最後の選手の演技の最中に、リンクサイドに6人が姿を現したとき、すぐに気付いた。

待っていたわけではなく、意識していなかったのに、すぐ気付いたのは、ちょうど視界の中央であったことと、選手たちの放つ雰囲気が、ただごとでなかったためである。

まず目にとびこんだのが、背の高い荒川さんの、きっとした顔。荒川さんの手前に立っている中野さんは、荒川さん以上に集中した完全戦闘モード。横に見える村主さんと恩田さんも、負けじとばかりの緊張した表情だ。
この雰囲気に気圧されたように、4人から少し離れた所に美姫ちゃんがいる。美姫ちゃんは、みるからに自信なさげだ。
そしてその隣では、「お姉さんたちの壮絶な戦いにひとりだけ関係のない」真央ちゃんが、にこにこしてうろうろしている。

これから始まる最終決戦前のマックスの緊張感のオーラを発散する集団が気になって、リンク上より思わずこちらを見てしまう。
演技を見たいので、困ったが、あまりに凄いのである。

そう感じたのは自分だけではない。自分の隣席は若いカップルだったが、女の子が呟く声が聞こえた。
「ゆかりちゃんが、ものすごい怖い顔してる・・」

南側の観客は、背後になるので、顔が見えなかったろうが、北側では、少なくない観客が、リンクサイドに目を奪われていただろうと思う。


その後の演技は、改めて紹介するまでもない。
最初の滑走の荒川さんにスタンディングオベーションした後、出てくる選手が誰もかれもベストに近い演技をする。
スタンディングオベーションをしなかったのは、6人のうち安藤さん一人だけで、他は、「この演技に立たないわけがないでしょ」と会場の観客の意思が見事に一致し、盛大な拍手が繰り返された。

あとがない正真正銘のこの土壇場で、みながこれだけやれるとは、日本の女性は強い、と心底感心した。
極度の緊張で自滅しても当たり前の場面なのだ。前の選手がいい演技をすると、後の選手にはプレッシャーがかかる。ところが、みな、ものともしない。(美姫ちゃんひとりを除く)

この頃の村主さんは、「崖っぷちで強い村主」と呼ばれていたが、このときも文字通りの崖っぷちから、起死回生の演技で1位を取り、トリノ行きの切符を手に入れた。

この女子FP最終グループは、歴史に残るだろう、とあの夜、会場で思った。五輪切符のかかった最高度の緊張の中で、最高の演技が繰り広げられた夜として。


自分は当初は、この全日本には行く予定はなかった。前の週に同じく代々木でGPFが開催される。こちらで主だった選手は見られるから、連チャンで行くこともないと思った。
ところが、荒川さんがGPFの出場権を取れず、GPFだけでは荒川さんを見られないことが判った。この頃、私の一番お気に入りの女子選手は荒川さんだったので、「しーちゃんを見るために、全日本にも行くか。チケット代も安いし」と、チケットを買った。A席3000円で2階中央4列目はコストパフォーマンス抜群である。

この2005年全日本が、自分が「ごく普通に」チケットを買って、何も不快なく現地観戦ができた最後の大会になった。
GPFで真央ちゃんが優勝した夜から、様相は一変した。狂乱の時代が始まり、現在に至る。自分は、嵐が通り過ぎて、平穏な日々が戻ってくるのをじっと待っている。
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