南の国の太陽、空の色の獅子

Category :  F1
tag : 
ヨーロッパラウンド以降、勢力図に変化はあるにせよ、現在の上位グループと下位グループが「大きく入れ替わる」ことは考えにくい。
マクラーレンは、急速なアップデートを重ね、上位に迫ってきたが、フェラーリはまだ光が見えない。

この旧2強だけではない。過去3年間順調に力をつけ、昨年3番手にきて、今年タイトルを狙うスケジュールだったBMWが、悲惨な状態だ。
昨年最終順位でBMWの次だったルノーが今年また失敗したのは自分の想定内だが、BMWも揃って失敗することは予想しておらず、注意をひく。
BMWが、昨年半ばにシーズンを捨て、09年の開発にシフトしたことは公然と知られている。開発期間とリソースの不足を、今年の不振の理由にはできない。

「何が、今季の勢力図の大逆転現象をひきおこしたのか?」

この問いに対する回答のひとつは、「レギュレーションの大幅変更」だ。
レギュレーションの大幅な変更が勢力図を変えることは過去にもある。「前年マシンの正常進化」という、従来の強豪が持つアドバンテージを奪い、新レギュレーションの「当たり」をみつけたチームが優位を得るチャンスを生むからだ。

具体的な技術の話をすれば、ひとつはKERS。メーカーチームは、KERSの開発に多大な費用と労力をかけたため、デメリットが大きくレースでの戦闘力向上に貢献しない状態でも、「やむをえず」使用して、開発を進めてきたが、現在の上位3チームは、非使用を選択した。
もうひとつが、ダブルデッカーディフューザー。3チームが「ルールの抜け穴」を利用し、7チームが利用せず、旧強豪メーカーチームは、全チームが後者7チームのうちに入っていた。

これはこれで説明になっている。しかし、ここまででは、「昨年まで上位にいた全チームが、揃って、外した」現象の解釈としては一歩足りない。

彼等は、なぜ、「全員揃って」、外したのだろう?

単なる偶然、ですますのは、自分は釈然としない。
ダブルデッカーディフューザーについては、旧強豪チームが、オーバーテイク・ワーキング・グループのメンバーで、「ダウンフォースを減らす」というレギュレーションの精神を守り(縛られて)、抜け穴を使わなかった結果、という説があり、一理あると思う。
だが、このことひとつに集約するのも疑問だ。

現在の状況は、複数の要因が複合して引き起こしたもので、変動の芽は、何年も前に生じていた。地球の表面のプレートが潜り込んでいくが如く、ゆっくりと進行していて、溜まったエネルギーが、当然の帰結として噴き出しただけだった、ということはないか?

自分の頭には、いくつかのことが思い浮かぶ。

(1)これは、「FIA×メーカー連合闘争」での「メーカー側の敗北」の一面では?

自動車メーカーたちの進出以降、FIAとの間では、争いが延々と繰り広げられてきた。
07年マクラーレンのスパイ事件、08年モズレーのセックススキャンダルの頃は、混沌状態がピークに達した感がある。

FIA側は、メーカーチームの大散財でコストが高騰しすぎた状態に危機感を持ち、コスト削減策を執拗に主張していた。メーカーチームたちのほとんどは、それを本気で相手にせず、金をつぎ込み続けた。
そこへ、FIA側の危惧の通り、経済危機が起こり、ホンダが離脱した。
FIAからすれば、「それみたことか」。自動車メーカーは、自分の都合しか考えず、F1の将来には一切責任を持たないことが証明されたのである。

この世界の権力闘争の構造は入り組んでいて、現在は、単純にFIA×メーカー連合ではなく、バーニー、そしてFOTA内(チーム間)も含め、争いはこの先も延々と続くが、今季はその「ラウンド」のひとつで、自動車メーカーたちが、自分たちの失策のツケで、こっぴどい敗北を喫した、ということ。

(2)チームのリーダーの交代

従来の二強のフェラーリとマクラーレンは、共に、昨年から今年にかけリーダー(トップ)が交代した。
フェラーリからはロスに続いてトッドが去り、マクラーレンからはロンが去った。

事柄自体は、数年前から噂されていたので、驚く人はいないが、これを二強揃っての衰退に結びつける解釈をあまりみかけないのはなぜだろう。
チームの盛衰を考えるとき、「リーダーシップ」は非常に大きな、決め手になる要素ではないか。

自分は、フェラーリに関しては、衰退の想定をしていた。マクラーレンは守備範囲外である(関心がなく、情報を持たない)ため、同じレベルで予想をすることはしなかった。
だが、トッド、ロン、フラビオ、フランク・ウィリアムズというトップチームのリーダーたちが去る日が遠くない、そのときは勢力図が維持されるとは限るまい、という漠とした思いは抱いていた。

確かに、「約30年間、4チーム(フェラーリ・マクラーレン・ウィリアムズ・ベネトン)の間でタイトルを持ち回り」していた。しかし、考えてみれば、この間、ウィリアムズにはフランクがいて、マクラーレンにはロンがいた。(フェラーリだけはこの話から除外される)

ニューウェイは、マクラーレンを去った後のインタビューで、マクラーレンというチームを、「ロンのジオラマ」だ、という表現をした。いかにロンの支配力が強いか、という喩えである。

リーダーが去った後、前任者の残したシステムは暫くの間は機能する。だがやがて変質することは免れないだろう。ひとりのカリスマが作り上げた組織が、カリスマがいなくなった後に変質することは常だ。

・・・・続く
スポンサーサイト

コメント


この記事に対するコメントの投稿
















この記事に対するトラックバック

トラックバックURL
http://leonazul.blog87.fc2.com/tb.php/269-70843f2c
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)