南の国の太陽、空の色の獅子

Category :  F1
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■最も幸福な時代の面影

先週あたりから日本の雑誌にもロスの長いインタビューが掲載され始めた。記事を読みながら、改めて、安堵を抱いた。
開幕戦のP3で感じたものと同じ感覚である。

HRF1の買収劇の真相が不明で、妙な懐疑が頭に浮かんだりもしたが、それらを取り消す。ロスの本心は、15か月間の仕事を無駄にしたくなかった、15か月間力を注いで作り上げたマシンをレースで走らせたかった、それが一番だった。本人の言葉を信じていい。私の知っているロスなら、そうだから。

チームオーナーになることに魅力があったわけではない。自分がオーナーになることで、チームが存続し、作り上げたマシンが走り、仕事が報われるから、その道を選択しただけだ。
彼は、作り上げたマシンの戦闘力が高い予想をしていた。自信があった。だからこそ、走らせたかったのだ。でも、他チームとの相対関係は蓋を開けないと判らないから、全チーム中のトップである予想まではしていなかっただろう。

現在のポジションは想定以上であり、今後、ワークスチームたちがアップデートを重ねて追い上げてくることも判っている。
だから、全力を尽くしてやるだけやって、現在のポジションを保てれば、つまりタイトルを取れればそれにこしたことはないが、できなくても、大きな落胆にはなるまい。
オーナーの自動車メーカーに突然放り出され、開幕直前まで参戦できるかできないか不明だったチームの身からすれば、タイトルを取るという目標は、だいそれた目標だ。4戦やった現時点までの戦績だけで、十分な成功を収めたと言ってもいいと思う。
今年タイトルを取ろうと取るまいと、来季以降の成績が下がろうと、数年間チームが存続し、ある程度の場所で闘うことができたなら、ロスにとってこのチームで為した仕事は成功であり、満足を得られるのではないだろうか。

私は、ミヒャエルと共にいるときのロスの考えていることを判っているつもりでいたが、ミヒャエルと離れた後は、彼が何をしたいのか、判らなかった。
ホンダと契約したとき、歓迎はしなかった。HONDAというロゴのシャツを着ている姿も、ホンダの人や、日本人メディアが、「ウチのスタッフ」扱いをすることにも、違和感を覚えた。

違和感の正体は、「ロスといえども、このチームで成功することは難しいのではないか?」というホンダに対する不信である。
「貴方はイギリス人だから、判らないものがあると思うんだ。『日本人の一人として』、ホンダはやめておいた方がいいんじゃないか、という忠告を、もしできるものなら、一言したくなるな」
私のこのカンは、ホンダの撤退時点では当たっていたが、現在を見るなら、「塞翁が馬」で、外れていたことになる。

今、ロスの発言を読み、GPにいるロスの姿を見るとき、ミヒャエルと共にいる彼を見ていたときの感覚が呼び覚まされる。

私は、ロスに、絶対の信頼を置いていた。ミヒャエルを知った時から、ミヒャエルがマシンを降りるときまで、ロスに対する信頼が揺らいだことは一度もなかったと思う。

すべてのものは変わってゆく。そのことは判っている。それでも私は、「私の最も幸福な時代」の面影を、今のロスに見る。

●黄金のカルテットの終焉 (2006/10/27)
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