南の国の太陽、空の色の獅子

Category :  F1
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自分は、「頭が固い」部類で、変化への対応力も低いタイプなのだが、現在の勢力図に違和感はなく、すんなり受け入れる程度には、頭ガチガチではなかったらしい。

現在の勢力図は、私がF1を見始めてから今までになかったものだ。これまでは、古豪のビッグチームがトップを占めて譲らなかった。それが、現在、ものの見事に崩れている。
だから吃驚・当惑してもいいのだが、抵抗が何もないのは、「今までそうだったから、今後も同じ」とみなさず、「変化する可能性」を常に頭においていたからだろう。

時は流れ、いずれ、大きなうねりが来る。どういううねりかは判らないが、否応なく、それに押し流される。
02年を境に、「F1の危機」は絶えず話題に上った。自動車メーカーの大量参入後、従来勢力とメーカー側との激烈な闘争が展開され、いつどうなってもおかしくないという認識が養われたのではないだろうか。

フェラーリについては、「シューマッハ時代を作ったキーマンたちが抜けた後は、ガタガタになって、いい加減な元のイタリアチームに戻る」という想定を、十分すぎるくらいしていた。ミヒャエルが移籍を決めた14年前から。
05年のルノーのタイトル獲得時は、ベネトンの「ポストシューマッハーシンドローム」を改めて思い出した。

ダメになる予想を公言するのはフェラーリの人々に失礼だし、そうならない可能性もある。どちらに振れるかは、判らない。
ゆえに予想として決めつけることはしないようにしたが、ミヒャエル加入前のフェラーリの体質と、「ミヒャエルがこのチームでどういう仕事をしたか」の認識をしていれば、現在のグダグダっぷりは、完全に「想定範囲内」である。
「なるべくしてこうなった」事例であり、呆れて文句を言うほどのものではない。このイタリアチームが完璧な仕事をし、常勝チームになったのは、「旧ベネトントリオ+トッド」の外人傭兵カルテットがチームをコントロールしたゆえ、という、かねてからの説が証明されただけの話だ。

現在は「ミヒャの存在そのもの」でプレッシャーかけてるとはいえ、基本的に、ほっといたらロクな仕事しないチームなんだから。2000年鈴鹿観戦記内

現在、昨年までの2強のフェラーリとマクラーレンが、どべとどべ2で(名古屋弁で、最下位と下から2番目を意味する)、昨年まで1勝のブラウンと0勝のトヨタが1・2位という見事な逆転現象が起こっている原因は、ひとつではなく複数あると思う。
いくつかの要素が複合して、増幅し、極端な結果を引き起こしたように思える。

総括的な解釈は、もう少し時間がたってからすることにして、目につく点を記しておきたい。

・リーダーシップ

ロスが抜けたフェラーリの凋落と、ロスが率いるブラウンの活躍、このふたつの現象を並べると、「F1チームが成功するために必要なのは強力で有能なリーダーシップ」という説の強力な裏付けにみえる。
ロスは、06年をもってフェラーリを離れ、08年からホンダ(現ブラウン)に加わった。F1チームではキーマンのチェンジの効果が出るまでのタイムラグが約1年ある。

フェラーリの信頼性の低下は昨年から始まっていたが、そもそも、このチームの信頼性が向上したのは、ロスが来て、管理を始めてからである。彼が来る前までのフェラーリは、ボカスカ壊れた。
完走率をみてみる (2008.2.14)
ロスと、「オレのマシンは絶対に壊れないようにしろ!」の強烈なプレッシャーをかけるミヒャエルがいなくなれば、途端に壊れ始めてもおかしくはない。

07年はまだトッドが残って現場をみていたので、なんとかなったが、トッドも現場を離れた08年は「緩み」が大きくなり、トッドが完全にフェラーリを離脱した今年、外人傭兵たちが来る前の、イタリア人がチームのトップを務めた、チーム内ぐちゃぐちゃ、典型的イタリア人集団の時代のフェラーリに戻った。
これできれいに説明ができ、何の不審もない。自分が14年前に思い描いた通りの、できすぎの話なので、結論にするのは先送りにするが。

他方に、別の大きな意味を持つ事例がある。
「強力なリーダーシップ」を拒否し、F1村のエキスパートの欧州人には権力を渡さず、本社の管理職の人間がチームの運営をコントロールし、「自分の会社のやり方」をF1に持ち込んで、貫き続けたトヨタが、成功まであと一歩の場所にいる。

「トヨタがトヨタのやり方で」成功をすれば、「F1でこれまでにないパターン」であると私は認識してきた。
試行錯誤を繰り返し、間違いも犯し、随分時間がかかったが、今年成功すれば、彼等は胸を張れる。
評価に値するのは、結果よりも、そこに到るまでの「方法」だ。

きついことを言わせてもらうが、仮にホンダが撤退をせず、今年勝利を量産したとしても、その勝利は「ロスのリーダーシップに依存したもの」と、ホンダに対して高い評価をしなかった可能性が高い。
ホンダは、社内に、F1チームをコントロールできる人間がいない、と自分で堂々と認めた(大島氏のインタビュー)。今年のブラウンのマシンには本田技研の技術も注入されていることは事実だろう。だが、技術力と、資金があっても、それを「正しく利用して、レースの結果に結びつける」能力を、ホンダという会社は社内に持たなかった。
結果を出すためには、イギリス人に依存するしかない、「自分にはできない」ことを、自分で認めた。

トヨタが成功するなら、「F1エキスパートの欧州人たちを日本人はコントロールできない」というテーゼをひっくり返すことになるのだ。
F1参戦40周年を宣伝した先駆者ホンダは、できない、と白旗を揚げたことを、トヨタは、F1参戦計画の最初から、追求し続けてきた。
計画がスタートしてから、今年は10年目である。

■トヨタについて■
・「ザ・トヨタウェイ」 (2005.4.17)
・イギリスと日本、F1チームと自動車メーカー (2005.6.7)
・トヨタは成功するか (2006.5.3)
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