南の国の太陽、空の色の獅子

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東京大学五月祭に初めて行ってきた。
若い人のためのイベントで、自分が行くものではないと思いこんでいたが、「普段は入れない建物内に気軽に入ることができる」絶好の機会であることに、はたと気づいた。

行ってみると、思惑通り、興味を惹かれていた建物に入れただけでなく、魅力的なスポットを新たに発見するわ、次回の楽しみを幾つもみつけるわの大収穫であった。

RIMG0001-01.jpg

・安田講堂
時計台のそびえる正面の外観が有名だが、その名の通り、ここは講堂、ホールである。
小杉未醒(放庵)の壁画で飾られていると知って以来、いつか内部に入りたいと思っていた。

客席の形状は半円で、天井も弧を描いたデザイン。
2013~14年に大掛かりな改修工事が行われ、小奇麗になっていて、年季の重みの趣は薄い。
とはいえ、飾り気がなく、木材で設えられた内装は心地よい。

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「学」のマークが、舞台中央、壁画の間の他、椅子の横にもある。

日曜日は、一日中、クラシックの演奏会が開かれていた。
同じ時刻、正面出入り口の真ん前にべったりと正面を塞ぐ形で設営された大きな仮設ステージでは、ダンスやバンド演奏が繰り広げられている。
講堂の中はクラシック、観客は中高年齢層多数。一歩外では、ポップな音楽・パフォーマンスと若年齢層の観客、とギャップのある光景が面白い。

・医学部2号館本館

キャンパスツアーで訪れたとき、「中に入ってみたい」欲をかきたてた建物である。
普段は部外者お断りの舘が、今日は、どうぞどうぞと呼び込んでいる。

どきどきしながら敷居を跨ぐと、一歩踏み入れただけで、いにしえの建物の気配を感じる。
吹き抜けの階段を上ると、最上階3階ホールの壁には古めかしい肖像画がずらりと掛かり、胸像が並び建つ。
歴代の教授らしい。こういう景観は、そうそうお目にかからない。

今日はイベントの掲示や飾りで覆われ、雑多な群集がひしめきあっているが、それらを「脳内で消して」、普段の光景を想像してみる。
そうすると、下の写真に近い、アカデミックな雰囲気の空間が出現する。

shouzou_1.jpg

中庭を囲む廊下、教室は、「改修は最低限、全面的な改装はせずの方針で、古いものを粛々と使っている」という感。
新しい施設と比べたら、そのギャップたるやすさまじい。

でも、これが日本国内最高峰の学部ならではの環境ということで、学生さんたちは受容するのだろうな。
などと思っていたら、パンフレットのアンケートの中に
Q  東大医学部に入って意外だったことは?
A  「建物の中が暗い・偉そうな人の銅像が立っている(まあ1930年の建物なので仕方ないですが)
という素直な感想の回答があった。

*ちなみに、医学部医学科4年生を対象に行ったこのアンケートの内容は、なかなか面白い。
上記の質問の他の回答:
「意外とまともな人が多い印象」
「意外と宇宙人みたいな人が少ない(ただし宇宙人がいることは間違いない)」

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・付属病院、御殿下記念館

医学部2号館から東へ進むと御殿下グラウンド。
その向うは、医学部付属病院のエリアである。
境界になる道路に立ち、南へまっすぐ伸びる道の先を見遣ったとき、奇妙な感覚に襲われた。
「こういう風景を、どこかで見たことがある」
「日本ではない」

この道路は東大の敷地内で、走行するのは「東大構内」行きの路線バスと、ゲートで入構を許可された車だけである。
病院が休診の日曜日の今日は、往来する車はほとんどない。

歩く人もまばら。祭りの喧騒もここには届かない。
人の気配の薄い、からっとした広い空間と、街路に面して並ぶ、高さがあまりなく横に長い年代ものの建物の雰囲気が、どことなく日本でないような錯覚を呼び起こした。

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東側に伸びる付属病院の建物正面。
これに似たデザインの建物が連なる。

RIMG0011-01.jpg

西側。煉瓦造り(のようにみえる)古典的な三連アーチは、御殿下記念館のエントランス。
向いの赤煉瓦の建物は理学部化学館。
キャンパス全体を支配するウチダゴシックとは異なる様式で、珍しいなと近づき、案内板の掲示を読むと、本郷キャンパスで最古の建物だという。
関東大震災で、明治・大正に建てられた建物がほぼ壊滅した中で残った希少なもの。

安田講堂に戻り、工学部エリア、次いで言問通にかかる陸橋を渡って弥生キャンパスへ向かう。
農学部、野球場、地震研究所。ここが、キャンパスの北端になる。

野球場では、選手たちが練習をしている。
学祭とは無関係の、日常の風景。
周りにいる見物人は数人。

広大なキャンパスは、緑に恵まれ、歩き回るのが気持ちよい。
イベントを行っているエリアは人で溢れるが、一本道を外れると人影は少なくなる。

RIMG0014-01.jpg

樹木の影が校舎の壁と地面に落ちる。
これは農学部1号館の西面だが、似た光景を随所で見ることができる。

別の季節にまた訪れよう。
また、今回は建物探訪をメインにし、催し物をほぼスルーしたが、中には興味を惹かれるものがあった。
混雑に怖れをなし入口で踵を返したが、いつか気力が出るときがあったら参加したい。
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