南の国の太陽、空の色の獅子

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最初に断ると、私は今年のTdFについても、ランスについても、情報収集をあまりしていない。
ランスに関しては、USADA報告書には取り組んだが、アメリカで溢れかえった大量の記事は、ほとんどスルーした。量がありすぎて、どれを読む必要があるのか判断ができず、スルーせざるをえなかった。

だから、意見とか解釈のレベルではなく、「感想」レベルの話になるが、書いておきたいな、と。

●ブラックホール

今年のTdFは、100回大会として華々しく成功した、らしい。
観客数は多く、TV視聴率は高く、数多くのメディアが取り上げた、のだそうだ。
日本では、NHKが毎日のハイライト番組を購入して放送し、一般紙も話題にした。

これを見て、思った。
ランス・アームストロングのドーピングが証明され、7連覇が抹消された件は影響を及ぼさなかった、ことになる。
なるほど、ツールはドーピング事件をものともしない。
ブラックホールのごとく、すべてを飲み込んで、生き残る。

ブラックホールの喩えは、かつて、F1が、不祥事も矛盾も疑惑も内紛もすべてを飲み込んで生きのびていくさまを評したものだが、こちらでも使えそう。

そして、このことからは、次のことが思い浮かぶ。

とすれば、ランス・アームストロングは、TdFと自転車RR界にとって、莫大な利益をもたらしこそすれ、害にはならなかった存在、といえるのではないか。

彼ゆえに、TdFの名はヨーロッパ外へも広まり、自転車RRの市場が全世界に広がった。
当時を知る人は覚えていると思うが、「癌を克服し、大きな成功を成し遂げた」彼は、自転車RRどころか、スポーツという枠を超えた英雄だった。
数え切れない数の癌患者と家族が、彼に勇気づけられた。それは、掛け値なしの事実だ。

ランスが、ドーピングによってTdFの価値を貶め、自転車RRを衰退させたなら、彼の罪は重い、と呼べるだろう。
けれども、そうはならないのであれば、彼がTdFと自転車RR界に対して罪がある、という非難は成立しないのではないか?

何がランスの罪なのか?

ランスを信じていたのに、と嘆いている人がそこにいたら、私は、こう話しかける。

嘆くことなんかないよ。
ドーピングをしていようがいまいが、彼が癌から生還して、懸命に戦い続けて、人々の明るい希望になった事実に変わりはない。

嘘をついた?
嘘を全くつかない人なんか、世の中にいやしない。
当時の自転車界は、みながドーピングしていて、バレなければいい、というのが常識だった。そのことは、証言する人がボロボロ出てきている。

それでも許せない、という気持ちは判るよ。
ただ、私は、「ランスが存在しなかったら、自転車RRというジャンルに興味を持たなかったであろう大衆」のひとりとして、今、彼を「全否定する」意見には組しないね。

ドーピングそのものを肯定・擁護はしてない。
敢えて言えば、欲が深すぎた人、ではあったね。
その桁外れの欲深さが、前人未到の成功をもたらし、同時に破滅ももたらした、と思っている、私は。

●1999年

ハミルトン本に、ドーピングの大事件・大混乱のあった翌年は、一転して静かになるのが恒例、というくだりがある。
1998年フェスティナ事件の翌年1999年がそうだった、と。
しかし、それは表面上だけで、その後、ドーピングの闇は深さを増していった。

今年のTdFでは、陽性ゼロ、という検査結果が発表された。
新しい勝者が生まれ、ドーピングの影はほぼ払拭され、大会は華々しく終了した。
・・描かれた1999年の光景と、不気味なほど同じ光景に見えるんですが。

答が明らかになるのは、7~10年後になるのだろう。
フェスティナ事件からオペラシオン・プエルトまで8年、USADA報告書まで14年。

今年の勝者フルームに対する疑惑は、持つのが「合理的」な思考だ。
いや、彼はクリーンだと言い切る人がいるが、それは「論理的な思考ができない」人だと思う。
ランスをはじめとした数々の事例から導き出されたのは、「シロの証明は不可能である」こと。
残念なことではあるが、疑念を消去することは、論理上、できない。

●ランス・アームストロングが生み出したもの

アンチ・ドーピングを旗印にするアメリカのチーム、スリップストリーム(現ガーミン・シャープ)は、「ランスの生んだ子」だ。

ジョナサン・ヴォーターズは、罪悪感と、発覚する恐怖に怯えながらドーピングを続けることから逃れるため、USPSから離脱し、選手としての成功(戦績)を得ることを諦め、その後、「ドーピングをしない」チームを立ち上げた。

つまり、ランスこそが、ガーミンを生み出した「直接的な」契機だった。

ガーミンがアンチ・ドーピングを大きく掲げていたことは知っていたが、このような事情があったことは、ハミルトンの本を読むまで知らなかった。

ヴォーターズは、長い間、USPSでのドーピングについて口を閉じていた。
2010年にランディスが一切合切をぶちまけ、ノヴィツキー捜査官が捜査に乗り出し、関係者たちに協力を要請したとき、ヴォーターズに、告白する機会が巡ってきた。

おそらく彼は、契約下にあったヴァンデヴェルデ、ザブリスキー、ダニエルソンに対して、今後のチームのサポートの確約をして、告白の後押しをしたのだろう、と思う。
ランディスと接点がない選手は、あの時点ではまだ、自白を迫られてはおらず、拒否は可能で、拒否するのが当たり前だった。(ハミルトンも協力を拒絶し、大陪審の召喚状を受け取って、ようやく踏み切った)

ヴォーターズは、自分たち4人が揃って証言をすることで、ノヴィツキーが自信を深め、他の人々の証言もドミノ倒しで獲得して、ランスに対する包囲網を作り上げ、罪を暴くことを目論んだ、と思う。
彼の行動の動機は、ランディスのような「復讐」ではなく、「ドーピングのない自転車RR界」という理想の実現のため、だろう。

以前、USPS事件は「アメリカ人同士の壮大な内輪揉め・大乱闘でヨーロッパ人が迷惑した」事例にもみえる、と書いたことがある。

ドーピング文化はヨーロッパの自転車界で根づいていて、暗黙の了解の下、仲間内でやっていたのに、外部からやってきたアメリカ人、ランス・アームストロングが、「エスカレート」した。
親玉だけでなく、チームメートのアメリカ人の中にも、へんな奴らが大勢いた。
ひとりは、ドーピングに拒絶反応を起こした挙句に、わざわざ「アンチ・ドーピング」を謳うチームを作るという極端なことをした。
ひとりは、移籍後に陽性を出したときランスに助けてもらえず、何もかも失ったことを恨み、復讐してやる、とあらいざらいぶちまける、という暴挙に出た。
訴えを聞いて、捜査に立ち回ったのは、アメリカ国内の捜査機関やアンチ・ドーピング機関。
最初から最後まで、役者は全員、アメリカ人。
我々のフィールドに乱入してきて、暴れ回り、挙句に、仲間内で大乱闘を展開して大騒動。なんと無粋な。・・ヨーロッパ側に立ったら、こういう見方もありえるんじゃないかなあ、と思った次第。


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