南の国の太陽、空の色の獅子

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Lance Armstong's Statement of August 23, 2012

ランスは、公聴会回避を決めた。
このことは、「USADAの持っている証拠は、ランスにとって、世間に公表されるのはものすごくまずいもの。公表を阻止することが、有罪宣告を受けるよりも自分の利益、と判断している」ことを示している。

やましいことがないなら、公聴会に出て、「証人も証拠もどんどん並べて下さい。証人の証言はウソです。そちらが証拠と主張するものは、証拠にはなりません」と堂々と反論すればいい。
論争をしに公の場に出て行くことをしない(逃げる)のは、元チームメートたちの証言がウソだと主張できないことを意味する。

現に、ランス側がここまでUSADAに対してしてきた抗弁は、「告発の内容」に関してではなく、「処分する権限がUSADAにはない」という、「ドーピングの罪そのものとは別の論点」だった。

ドーピングの罪での直接対決では勝ち目がない、という判断ゆえに、USADAの呼び出しに応じず、異議申し立てもしないという、「告発内容に関する直接の論争を徹底して避ける論点外し戦法」を貫いているのである。
・・以上、私の解釈。

戦争の次の段階は、ブリュイネールたちの公聴会。



今回の件は、さまざまな面白い観点を提示してくれる。
いくつか挙げる。

・ランスの罪を暴いたのが、長きに渡り彼と闘い続けたフランス人たちではなく、ランスの母国アメリカ人たちであったこと

7連覇時代、フランス人たちは、ランスのドーピングを執拗に追及し続けたが、ついに最後まで逃げ切られた。
ほじくり出したのは、「アメリカ人のチームメート」であり、応えたのは、アメリカの国内機関FBIとUSADAだった。

フランス人たちが、精力傾けての闘い空しく敗北した後に、「身内」が、彼を告発した。

このことが意味すること、は、考えてみる価値がありそう。

・今、ランスやブリュイネールの本を読み返すと、「以前とは異なる解釈」が生じる

一例

USポスタルチームは、ランスをツールで勝たせることを第一の目標にしている。
「ヨハン(ブリューネル、チーム監督)と僕がそれまでの5年間、いっしょに仕事をしたいと思える仲間を、慎重に見極め、引き抜き、契約してきた」
ツールに出場するメンバーの選考で最も重要なのは、「自己犠牲の精神をどれくらい持ち合わせているかということだった。チームのことを考えない選手に用はなかった」
「こういう倫理感を共有せず、ルールを破り、軌道を踏み外した者は、チームにはいられない。ツールに参加する誰もが、己れの利益をはかってはならないことを知っていた。あるのはチームだけ」


引用は、「毎秒が生きるチャンス!」(ランス・アームストロング)である。この文章を書いたときの私(2004年11月)は、ランスがドーピングしていることをまだ認めておらず、ドーピングとの関連付けを思いつきもしなかった。

ランディスとヴォーターズの言葉を読んだ後に、この箇所を読むと、ランスとブリュイネールが、USPSのツールメンバーに要求した「自己犠牲」の「具体的な内容」のひとつは、「自分の良心を裏切り、家族や友人やファンにウソをついて、ドーピングをする」ことだった、という解釈ができる。

USPSの選手たちは、ドーピングすることを拒否すれば、ツールメンバーに選ばれなかった。
ヴォーターズは、幼い頃からの夢・ツールに出る夢を諦めることと、良心のどちらを取るかの選択に面して、夢を捨てられず、良心を犠牲にした。それを自分は悔いている。先日、彼はそう記した。

私は、ヴォーターズのこれまでの言動をきちんと把握していないので、自信を持っての意見は書けない。
その保留をつけるが、彼がニューヨークタイムズに寄稿した文章(8/12)は、「チームの固有名詞こそ記さずとも」、USPSでの経験を述べている、と「解釈」するのが妥当だと思う。
彼の経歴を参照すれば、それ以外にはない、からだ。

「コーチや、メンターや、ボス」たちから、ドーピングを推奨された。そう彼は書いた。
これはすなわち、USADAが告発した、元USPSの人間たちを指す。ボスとは、ブリュイネールであり、ランスだ。

ヴォーターズの記述は、「ブリュイネールとランス自身の言葉」に、「完全に」符合する。

ドーピングを選手たちに要求したことについて、ブリュイネールとランスには罪悪感は欠片もなかった。そのことに疑いはない。
2人にとって、「ツールに勝つこと」が、すべてに優先した。目標のためにあらゆる手を尽くすことが、彼等にとっての正義であり、正しい倫理観だったのだ。

私は、かつてランスそしてミヒャエル・シューマッハーを肯定し賞賛したファンだ。
ミヒャエルは、「タイトルを獲るために、ライバルに体当たりする」ことに、何の罪悪感も持っていなかった。

ミヒャエルやランスのような種類の人間にとっては、勝つために犠牲を払うことは当たり前であり、他人を傷つけ、踏みつけにすることにも躊躇なかった。
ミヒャエルは、「自分の周りに巡らした壁の内側に入れた人間」に対しては、真実誠実で、繊細で、情深いが、「壁の外側に置いた人間」に対しては、冷徹非情な振る舞いをする、と私はかつて記述した。
「悪魔に魂を売ってでも勝ちたい」種族の彼等は、自分の進む道の上に障害になるものがあれば、虫ケラのように踏み潰す。

彼等を肯定し賞賛した時期の私は、「自分自身が、『他人を踏みつけにしても勝ちたい』という欲を持った人間であった」ことを示す。
歳月が経ったのちに、私は、「スポーツマンシップ(=勝敗よりも公平さやフェアプレイを優先する)に欠けていた」とセナを批判した中村良夫氏の価値観の境地に至ることができた。

「全身全霊かけて勝利を追い求める」強烈なエゴの持ち主を無条件に肯定・賞賛することがなくなった今、弾劾を受けるランスを、一切の擁護をすることなく、静かな目で眺めている。

・2009年に復帰をしなかったら、逃げ切れたということは?

USADAの主張の中に、2009年復帰したTdFでランスがドーピングをした科学的データがある、というくだりがある。

現在までに明らかになっている、本件に関する「物的証拠」は、これだけだ。これ以外の物的証拠の内容はまだ不明である。

2005年以前については、強力な証人の存在が伝えられている。ランディスとハミルトンの「ドーピング有罪判決確定者」だけでなく、「現在までシロ」の選手たち複数が証言した。

私は、既に伝わっているチームメートたちの言葉を読んで、「彼等はウソはついていない」と判断するのが合理的だと思うが、世の中には、同じようには考えない人が多数いる。

「検査で陽性を出していない」という一点に拘泥する人が、実に多い。
一般大衆は、「単純」な思考を好み、「判りやすい」ストーリーを歓迎する傾向がある。複数の材料を集め、複眼で見て、考え、総合的に判断する、ということをしない。

今回、「科学的証拠」がなければ有罪判定はおかしい、という意見が世間にあるのを見て、ふと思った。

もし、2009年のデータが存在しなかったら、USADAがここまで優勢ではなかった可能性があるのでは?

2005年以前についても、保存してあった検体を分析して、性能の向上した最新の機器・手法によって禁止薬物を検出できたとか、メモ・電話・その他、何等かの物的証拠はあるのかもしれない。
しかし、近い時期の2009年度のデータは、証拠として強いであろうと思う。

そして、こうも思いつく。
もしもランスが、一旦退いたTdFに再び戻ってきて、スポットライトを浴びることがなかったなら、彼の告発はなされただろうか?と。

この「たられば」の正解は不明だ。

しかし、復帰時の彼の様々な言動を思い出すと、色々と出てくる。

彼は、前年2008年のTdFをTV観戦していて、レベルがあまりに低くて、これなら自分がまた出て勝てると思った、それが復帰した動機だ、と傲慢極まる発言をした。
この2008年勝者サストレに対する侮辱は、後に謝罪した、と報じられたが、「ドーピングしていたテメーがぬかすな!」の罵声を浴びせるに相応だ。
罵声を撤回するのは、「サストレ、エヴァンスがドーピングしていたと判断できる」日である。

7連覇で満足して引っ込んで、そのまま大人しくしていればよかったものを、「欲を出して」、またのこのこ出てきたことが、身の破滅を招いたかもね。・・という「評価」になるかどうか、判るのは、まだ先である。


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読み返したら、「あー、なるほど、これはこういう意味か」と「新たな解釈」がボロボロ出てきて、面白そう。
読む本が他に山積みなので、なかなか着手できそうにはないが。
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