南の国の太陽、空の色の獅子

Category :  自転車
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RSNTは、フランクがフグルサングの代わりにリーダーになることを発表。
Fränk Schleck will lead RADIOSHACK NISSAN TREK Tour of Italy Team. (RSNT)

この見通しは、昨晩の時点で記事になっていた。
ガゼッタが書き、Le Quotidienは、フランク本人、アンデルセン、ベッカに取材した。確証がないので、自分はアナウンスを待った。

ことはそう単純でない。
複数の観点の話を。

ブリュイネールは、シーズン前、フランクのジロ参戦の可能性を否定せず、のらりくらりした発言を繰り返した。
同時期にフグルサングがジロのリーダーを約束されていたことと矛盾するので、妙な話だ、と自分は不審を抱いていた。

フグルサングは、完全に納得をしてジロを諦めたのだろうか。
彼はTwitterで、手の骨折については報告をしていた。手の件以外でジロを諦めざるをえないほどのトラブルを抱えたことの示唆はない。
今年のジロは、史上初めて彼の母国デンマークをスタートする。次に機会があるかどうかは分らない。

勿論、これは勘ぐりすぎである可能性は分っている。ただ、昨冬の時点で、ブリュイネールの頭には、「兄弟を引き離して」、フランクをジロに出場させるプランがあった。そのことは確かだ。

さて。
あの兄弟は引き離した方がいい、という意見は、昨年のツール後、世間に多くあった。
引き合いに出されるのは、アンディが過去もっとも成功したグランツールは、2010年ツールであり(公式記録上、優勝)、2007年ジロ(2位だが、優勝者はドーピング常習者のディルーカ)で、両方とも、傍にフランクはいなかったこと。

私も、同じ方向性(アンディが成長するには兄離れが必要では)を考えたことがあるが、実現するには、本人たちが納得することが必要だと思う。
本人たちはくっついていたいのに、外部の人間が無理矢理引き離して、いい結果を望めるとは考えにくい。

先日記したように、自分は今季、敢えて、悪い見通しを書いてこなかった。
しかし、現在のシュレク兄弟は、「自分たちが作り、自分たちがコントロールする」、「仲間たちとの幸せな」チームを、僅か1年で失い、自分たちが望んだのではない環境に置かれている、というのが間違いのない現実だ。
応援する立場の私がその認識に目を瞑るのは、不快から逃げているだけである。

再三繰り返すが、アンディは、「ツールで勝てなくても、別にいい」と思っている人間だ。
「勝ちたい」「成功したい」という「達成欲」は、人によって強弱があって、彼は、ランスやコンタドールのように、「なにがなんでも勝ちたい」「より多くの成功が欲しい」とは、全く思っていない。

マクレランドの欲求理論でいうと、「達成欲求」「権力欲求」「親和欲求」のうち、前2つが希薄で、「親和欲求」が強いタイプであることは明白だ。
これは、私自身が、生来は前2つの欲が強い種類の人間で、年をとってから、「そうか。自分と全然違う人もいるのか」と理解・納得したから、書けることである。

(シュレク兄弟の不甲斐なさが気に入らないとケチをつける人々は、ミヒャエル・シューマッハーの勝利に対する執念と努力を礼賛した「かつての私自身」と同じである。
執念を持たず怠惰な兄弟に対する批判・不満は、勝利・成功を求める「自分自身の欲望の表れ」である。
そのことに、年月が経って、ようやく気づいた)

そんなわけで、意に反してジロに送られたフランクのメンタルと戦績には、疑念を持たざるをえない。
気が変わって、頑張るかもしれないし、ダメだろうと決めつけはしない。自分かて、それを望んでいない。いい結果を望んでいる。
しかし、さんざんな出来になる覚悟もしておきましょう、ということだ。

フランクは、ズケズケものを言うアンディとは正反対に、表の場でチームに逆らう発言はしない。
腹の中では不満満載でも、外部には出さず、取り繕う。リースの下でずっとそうして過ごし、後日、愚痴を口から出した。
だから、現在も、公式発言で本音は判断できない。
(ジロ出場を記したTwitterの文面のあまりの不自然さには流石に絶句)

ジロの戦績より、もっと大きな問題が別にある。
ジロ出場は、イコール、ツールでのコンディション低下を覚悟する必要があり、結果としてツールではリーダーにはならないことを受け入れることを意味する。
(ブリュイネールは、ツールには出さない、と通告はしていないと思う)

これまでと異なり、アンディが「ただ一人のリーダー」になり、フランクの総合成績は諦める、ということだ。
ブリュイネールは、最初から、それを目指していた。対する兄弟は、それを受け入れるつもりはないことを公言していた。
このバトルがどうなるかは、時期が来れば分る、待つしかあるまい、と此方は待っていて、「ブリュイネールは、こう出たか」。

「始まったな」である。
この先、どうなるかは分らぬが、心地よくはならない事態が発生する可能性は想定しておく。
似た状況を2010年に経験しているので、多少の免疫はあるし、「レースを走るのは、マネージャーじゃなく、選手なのよ」+「究極勝てなくてもいい、と開き直れる人間は手に負えない」を頼りに、乗り切ろうと思っている。



シュレク兄弟は、2人で1人の類稀な存在、という描写を、私は、オグレディとフォイクトの発言で知った。
勝つときも負けるときも一緒。
彼等を引き離すことはできない。引き離したら、彼等は壊れる。

彼等の言葉は、信じるに足る。私は、そう思った。
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