南の国の太陽、空の色の獅子

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8/30、Trekが、Julián ArredondoとRiccardo Zoidlを発表。

・Riccardo Zoidl
25歳、オーストリア人、オールラウンダー
Team Gourmet Fein Simplon
2013年ツアー・オブ・オーストリア優勝

この2人は、現時点でUCIのAsia TourとEurope Tour、それぞれランキング1位の選手。

wortのよみでは、現在まで確定は22人。(チームが正式発表済★)

Fumiyuki Beppu (JPN/Orica-GreenEdge)★
Riccardo Zoidl (A/Gourmetfein-Simplon)★
Julian Arredondo (COL/Nippo-De Rosa) ★
Jasper Stuyven (B/Bontrager-Trek)
Eugenio Alafaci (I/Leopard-Trek)
Fabio Silvestre (P/Leopard-Trek)
Fabio Felline (I/Androni-Venezuela)
Stijn Devolder (B/RadioShack-Leopard-Trek) ★
Yaroslav Popovych (UKR/RadioShack-Leopard-Trek)★
Markel Irizar (E/RadioShack-Leopard-Trek)★
Grégory Rast (CH/RadioShack-Leopard-Trek)★
Hayden Roulston (NZL/RadioShack-Leopard-Trek)★
Jesse Sergent (NZL/RadioShack-Leopard-Trek) ★
Fabian Cancellara (CH/RadioShack-Leopard-Trek)★
Haimar Zubeldia (E/RadioShack-Leopard-Trek)
Jens Voigt (D/RadioShack-Leopard-Trek) ★
Robert Kiserlovski (CRO/RadioShack-Leopard-Trek)
Giacomo Nizzolo (I/RadioShack-Leopard-Trek),
Fränk Schleck (RadioShack-Leopard-Trek)★
Andy Schleck (RadioShack-Leopard-Trek)★
Laurent Didier (RadioShack-Leopard-Trek)
Bob Jungels (RadioShack-Leopard-Trek)

Team Trek: Zoidl und Arredondo dabei (8/30)

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最初に断ると、私は今年のTdFについても、ランスについても、情報収集をあまりしていない。
ランスに関しては、USADA報告書には取り組んだが、アメリカで溢れかえった大量の記事は、ほとんどスルーした。量がありすぎて、どれを読む必要があるのか判断ができず、スルーせざるをえなかった。

だから、意見とか解釈のレベルではなく、「感想」レベルの話になるが、書いておきたいな、と。

●ブラックホール

今年のTdFは、100回大会として華々しく成功した、らしい。
観客数は多く、TV視聴率は高く、数多くのメディアが取り上げた、のだそうだ。
日本では、NHKが毎日のハイライト番組を購入して放送し、一般紙も話題にした。

これを見て、思った。
ランス・アームストロングのドーピングが証明され、7連覇が抹消された件は影響を及ぼさなかった、ことになる。
なるほど、ツールはドーピング事件をものともしない。
ブラックホールのごとく、すべてを飲み込んで、生き残る。

ブラックホールの喩えは、かつて、F1が、不祥事も矛盾も疑惑も内紛もすべてを飲み込んで生きのびていくさまを評したものだが、こちらでも使えそう。

そして、このことからは、次のことが思い浮かぶ。

とすれば、ランス・アームストロングは、TdFと自転車RR界にとって、莫大な利益をもたらしこそすれ、害にはならなかった存在、といえるのではないか。

彼ゆえに、TdFの名はヨーロッパ外へも広まり、自転車RRの市場が全世界に広がった。
当時を知る人は覚えていると思うが、「癌を克服し、大きな成功を成し遂げた」彼は、自転車RRどころか、スポーツという枠を超えた英雄だった。
数え切れない数の癌患者と家族が、彼に勇気づけられた。それは、掛け値なしの事実だ。

ランスが、ドーピングによってTdFの価値を貶め、自転車RRを衰退させたなら、彼の罪は重い、と呼べるだろう。
けれども、そうはならないのであれば、彼がTdFと自転車RR界に対して罪がある、という非難は成立しないのではないか?

何がランスの罪なのか?

ランスを信じていたのに、と嘆いている人がそこにいたら、私は、こう話しかける。

嘆くことなんかないよ。
ドーピングをしていようがいまいが、彼が癌から生還して、懸命に戦い続けて、人々の明るい希望になった事実に変わりはない。

嘘をついた?
嘘を全くつかない人なんか、世の中にいやしない。
当時の自転車界は、みながドーピングしていて、バレなければいい、というのが常識だった。そのことは、証言する人がボロボロ出てきている。

それでも許せない、という気持ちは判るよ。
ただ、私は、「ランスが存在しなかったら、自転車RRというジャンルに興味を持たなかったであろう大衆」のひとりとして、今、彼を「全否定する」意見には組しないね。

ドーピングそのものを肯定・擁護はしてない。
敢えて言えば、欲が深すぎた人、ではあったね。
その桁外れの欲深さが、前人未到の成功をもたらし、同時に破滅ももたらした、と思っている、私は。

●1999年

ハミルトン本に、ドーピングの大事件・大混乱のあった翌年は、一転して静かになるのが恒例、というくだりがある。
1998年フェスティナ事件の翌年1999年がそうだった、と。
しかし、それは表面上だけで、その後、ドーピングの闇は深さを増していった。

今年のTdFでは、陽性ゼロ、という検査結果が発表された。
新しい勝者が生まれ、ドーピングの影はほぼ払拭され、大会は華々しく終了した。
・・描かれた1999年の光景と、不気味なほど同じ光景に見えるんですが。

答が明らかになるのは、7~10年後になるのだろう。
フェスティナ事件からオペラシオン・プエルトまで8年、USADA報告書まで14年。

今年の勝者フルームに対する疑惑は、持つのが「合理的」な思考だ。
いや、彼はクリーンだと言い切る人がいるが、それは「論理的な思考ができない」人だと思う。
ランスをはじめとした数々の事例から導き出されたのは、「シロの証明は不可能である」こと。
残念なことではあるが、疑念を消去することは、論理上、できない。

●ランス・アームストロングが生み出したもの

アンチ・ドーピングを旗印にするアメリカのチーム、スリップストリーム(現ガーミン・シャープ)は、「ランスの生んだ子」だ。

ジョナサン・ヴォーターズは、罪悪感と、発覚する恐怖に怯えながらドーピングを続けることから逃れるため、USPSから離脱し、選手としての成功(戦績)を得ることを諦め、その後、「ドーピングをしない」チームを立ち上げた。

つまり、ランスこそが、ガーミンを生み出した「直接的な」契機だった。

ガーミンがアンチ・ドーピングを大きく掲げていたことは知っていたが、このような事情があったことは、ハミルトンの本を読むまで知らなかった。

ヴォーターズは、長い間、USPSでのドーピングについて口を閉じていた。
2010年にランディスが一切合切をぶちまけ、ノヴィツキー捜査官が捜査に乗り出し、関係者たちに協力を要請したとき、ヴォーターズに、告白する機会が巡ってきた。

おそらく彼は、契約下にあったヴァンデヴェルデ、ザブリスキー、ダニエルソンに対して、今後のチームのサポートの確約をして、告白の後押しをしたのだろう、と思う。
ランディスと接点がない選手は、あの時点ではまだ、自白を迫られてはおらず、拒否は可能で、拒否するのが当たり前だった。(ハミルトンも協力を拒絶し、大陪審の召喚状を受け取って、ようやく踏み切った)

ヴォーターズは、自分たち4人が揃って証言をすることで、ノヴィツキーが自信を深め、他の人々の証言もドミノ倒しで獲得して、ランスに対する包囲網を作り上げ、罪を暴くことを目論んだ、と思う。
彼の行動の動機は、ランディスのような「復讐」ではなく、「ドーピングのない自転車RR界」という理想の実現のため、だろう。

以前、USPS事件は「アメリカ人同士の壮大な内輪揉め・大乱闘でヨーロッパ人が迷惑した」事例にもみえる、と書いたことがある。

ドーピング文化はヨーロッパの自転車界で根づいていて、暗黙の了解の下、仲間内でやっていたのに、外部からやってきたアメリカ人、ランス・アームストロングが、「エスカレート」した。
親玉だけでなく、チームメートのアメリカ人の中にも、へんな奴らが大勢いた。
ひとりは、ドーピングに拒絶反応を起こした挙句に、わざわざ「アンチ・ドーピング」を謳うチームを作るという極端なことをした。
ひとりは、移籍後に陽性を出したときランスに助けてもらえず、何もかも失ったことを恨み、復讐してやる、とあらいざらいぶちまける、という暴挙に出た。
訴えを聞いて、捜査に立ち回ったのは、アメリカ国内の捜査機関やアンチ・ドーピング機関。
最初から最後まで、役者は全員、アメリカ人。
我々のフィールドに乱入してきて、暴れ回り、挙句に、仲間内で大乱闘を展開して大騒動。なんと無粋な。・・ヨーロッパ側に立ったら、こういう見方もありえるんじゃないかなあ、と思った次第。


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●カンチェラーラ班

8/26、Trekは、6人を、ファビアンのサポートメンバーとして、まとめて発表。

デヴォルデル(33歳、2年)
イリサール(33歳、3年)
ポポヴィッチ(33歳、2年)
ラスト(33歳、3年)
ルールストン(32歳)とサージェント(25歳)が契約年数記載なし。

「契約年数未発表の選手は、1年と解釈」で正解だと思う。
(だから、シュレク兄弟のTrekとの契約も1年。
そうと明記した記事はいまだにみかけないが、間違いない、と判断する)

記載の順番も契約年数も、ほぼ納得だ。
年齢が、ここまで見事に揃っていたことは、並べられるまで気づかなかった。
33歳組は、ファビアンのアシストとしてのポジションに満足しているのだろう。

*追記:改めて見直したら、記載順はアルファベット順。意味があるように見えたのは偶然。

●ユンゲルス

今回の発表メンバーは、今年のパリ~ルーベのメンバー8人のうちの6人で、発表されなかった唯一人が、ボブ・ユンゲルス

彼は若干20歳。2012年U23パリ~ルーベ勝者で、今やシュレク兄弟に代わってルクセンブルク自転車界の将来を背負って立つ若者だ。
(ルクスの皆さん、よかったねえ。兄弟がいなくなったら何も残らないと危惧したら、どうしてどうして、次代がちゃんと生まれていた。こういうふうに世代は移っていくから心配無用)

ルクス国内の情報では、昨年RSLTと交わした契約は2年で、来季まである。8月初旬にWortが残留を推測した。
問われた本人は、まだ決めていない、と返答して、そのまま。

カンチェラーラが絶対エースとして君臨するTrekでは、クラシックで自分のチャンスは全く貰えない。
でも、まだまだ若く、経験のない身なので、先を見据えて育ててもらえる、という感触を得て、残るという解釈は十分可能。
今年のチーム環境に満足し信頼しているなら、1年で環境が変わるより同じメンバーで続ける方がよいだろう。

●ポポヴィッチ

ポポヴィッチのドーピング疑惑はこの先問題になることはない、とTrekは踏んでいるのだろうか?
USADA報告書、マントヴァ事件、複数の証拠でもって、彼のクロは疑いようがない。
(ここまで公になって、いや違うという人がいたら顔を見たい)

時間を稼げれば、いずれ時効8年経過で逃げ切れる、というよみはありだが、真っ黒なことがここまで露骨な選手が大手を振って歩いてOKというのは、私の感覚とはズレる。
(「制裁を受けて、出場停止後、復帰」の選手とは意味が違う)

ブリュイネールが、合併後のチームに彼を連れてきたのは、「何もかも知っている彼の口封じ」では(ランディスに仕事を与えず干したら恨まれて復讐された教訓)と思ったが、Trekには、口封じの必要はない。

「ファビアンが、アシストとして残してほしい選手リストに入れた」、すなわち「ファビアンが彼を望んだ」と解釈できるわけで、「ふ~~ん。そうなんですか」。

「みんな真っ黒の2006年まで」だったら、お目こぼしもありだと思うが、ポポヴィッチは、2009~2010年にもまだやっていた、とみなせる。
繰り返すが、疑わしさランク「10」だ。捕まらないのがおかしい。
同じく10のバレドは捕まり、9のメンショフは引退した。

2009~2010年は、まだ「未解明の期間」である。
USADAの頑張りで、2006年以前は、けっこう出てきたが、私の見解では、USADAは、ランス7連覇時代の証言を得るために、2007年以降の解明には、かなり妥協をした。
そこを追及すると選手たちの失うものが増えて、協力を得られなくなるから。大のために小に目をつぶった。

だから、2009~2010年のことは、まだ「ほとんど何も」表に出ていない。
おかげで、ポポヴィッチも自由の身でいられるのだが、この先も同じとは限らないのでは。

今やっていないならよい、過去は問わないというスタンスも、万が一のリスクを背負うのも、そちらのご自由ではあるが。

私個人は、ポポヴィッチの過去を穿り出して罰せよとは言わない。でも、「もう、プロトンから去った方がよい。潮時、てもんじゃないの」。

●判明

本人がアナウンス済みが数人。
母国メディアなど限られたメディアしか報じていないものもある。

・スベルディア

・Julián David Arredondo Moreno ジュリアン・デヴィッド・アレドンド・モレノ
25歳、コロンビア人、クライマー。
2012年、チームNIPPO-デローザでプロデビュー
2013年、ツール・ド・ランカウイとツール・ド・熊野で総合優勝、ツアー・オブ・ジャパン総合2位の注目株。

Arredondo conferma: correrò con la Trek
シュレク兄弟の山岳アシストをやる、ジロに出たい、といったことをコメントしている。

・Jasper Stuyven
21歳、ベルギー人、クラシック向き
ボントレガー(トレックの下部チーム)に2年

*ボントレガーは、トレックが来季自身のチームを持ち、資金をそちらに投入するため、こちらへの資金を減らすという事情により、別にスポンサーをみつけないとチーム存続ができない、と危機が報じられていた。先日、スポンサーがみつかって続けられる、とメルクスが発表し、ひと安心。

・Fabio Silvestre
23歳、ポルトガル人、
LEOPARD - TREK CONTINENTAL TEAM(RSLTの下部チーム)に2年
Trek, preso Fabio Silvestre

・Eugenio Alafaci
23歳、イタリア人
LEOPARD - TREK CONTINENTAL TEAM

●未確認

・モンフォール

モンフォールとクレーデンには、Trekに席がない、とベルギーのGazet van Antwerpenが書き、ぱっと広まった。
地元のDH.bが確認にいくと、あっさり否定。
「記事を読んでびっくりした」「Trekはドアを閉じていない」
ロット・ベリソルと話をしたのは事実だが、6年前からだよ、と、どちらとも受け取れる、とぼけた返答。

・ホーナー

今季前半、膝の負傷でレースをできなかった。
しかし、いまだやる気衰えず、引退する気はまったくなく、来季の契約獲得目指してシーズン後半から復帰。
ツアー・オブ・ユタ第5ステージで優勝、総合2位と見事な復帰戦をした後、現在開催中のブエルタ・エスパーニャ第3ステージで優勝、総合1位になるというフォイクト顔負けの大活躍。

「Trek、契約しろー!」とアメリカ中から雨あられで、確定だろう。
もともとTrekにはその気があったことは、グエルチレーナの発言から伺えた。

私の印象では、彼は、「プロフェッショナルの塊」。
チームに忠実で、スポンサーにしっかりと配慮をし、必要な戦績をきちんと持って帰る。

昨年、ブリュイネールが、TdFの第一次の候補からホーナーを外し、最終的に入れた、という事件があった。表向きは、意思疎通が悪かった、と繕ったが、裏があったのだろう、と私は踏む。
ライプハイマーが、大陪審で証言したためにレディオシャックを追われたことを、USADA報告書で知ったから。

ホーナーは、USADA報告書に、名があがらなかった。伏字のひとりという憶測は出回ったが、チームぐるみのドーピングに深い関与があった形跡はない。
けれども「何かは知っていた」ことは想定でき、USADAに何かを喋ったかもしれないとブリュイネールが疑っても不思議はあるまい。
ホーナーは、それを解決し、うまく立ち回って、プロトンに残るすべを心得ていた、のではないだろうか。

フォイクトとの最年長コンビは、味がありすぎて、捨てられない。
この2人が同じチームで肩を並べ、刺激しあってキャリアを延ばしていることが、災禍の一文字だったレディオシャックとレオパードの合併の、唯一のメリットといってもいいのかもしれない。

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Exclusive interview with Johan Bruyneel (cyclingnews 8/25)
Daniel Bensonによるブリュイネールの長いインタビュー。
USPS事件については、裁判戦略上喋らず、それ以外の話題。
レオパードとの合併、シュレク兄弟について、興味深い発言が色々。

一部の訳を作ったが、誤り含んだいい加減なものなので、原文を参照して下さるようお願いします。
強調をつけたのは私です。

2011年のレオパードには、指揮官がいなかった。選手が、すべてを決めていたんだ。
シュレク兄弟とカンチェラーラが、なにもかも決めて、他全員が、彼等の望み通りのことをした。

私は、まずそのことを知り、次に、その習慣を変えることはできないことが判った。

アンディとフランクはいいやつだし、2人とも才能のある選手だ。あの才能からすれば、もっと多くのことができると思った。でも多分、そうじゃなかった。
私は、あの兄弟がすべてにおいて結びついていることを、完全に過小評価した。
更に、兄弟とキム・アンデルセンとの関係も過小評価した。キムは、兄弟にとって父親同然なんだ。

シュレク兄弟は、私と一緒に仕事をしたくなかった、と思う。カンチェラーラも。それは最初からはっきりしていた。
彼等は、チームを「自分たちの」チームとみなしていて、沢山の決定を自分でして、すべてのことに関与したがった。最初から、私に対する信頼はなかった。

2014年にできるチームは、ひとつのチームになると思う。
その組織の中で機能することのできるのが確実な人々による、the Leopard teamに、また戻るんだ。


一読しての感想は、「随分正直だな」。
「自分がミスをしたこと」を、はっきり認めている。認めないのかと思ったら、そうでもなかった。
言い訳のしようのない、あまりに壊滅的な失敗をしたプロジェクトだったからか。それとも、芯は「小物」だった、ということか?
USADA報告書の中に、初期のUSPSでは、すべてをランスが決め、ブリュイネールはランスの決定には逆らえなかった、という証言をした元チームメートがいたことを思い出す。

今回ブリュイネールの語った「2011年のLeopard Trekがどういうチームで、シュレク兄弟がブリュイネールをどう考え、自爆に至ったか」は、私の解釈・推測と異なるところはない。

私はこれまで、様々な推測・解釈を書き綴ってきた。その多くは、そこらに流通しているものではなく、中には、大外しのものもあった。
しかし、時間と共に、少しずつ、事実に近づいていけた、と思う。

2011年時点で、私は次のことを記述している。
Leopard Trekは、シュレク兄弟にとって
「自分たちが作って、自分たちがコントロールする」チームだった。
作戦を決める主体は、DSではなく、選手たちだった。

レディオシャックとの合併に際して危惧した重要な点は、「シュレク兄弟たちは、ブリュイネールを、指示・指揮に従う相手として自分が選んだ覚えはさらさらない」ことだった。

(合併が)「会合に出席した人間たちが全員ハッピーになるアイデア」であったことは納得したが、彼等が「考慮をしなかった」大きな点は、「アンディ・シュレクとそのチームメート」を望んだのはブリュイネール側だけで、アンディたちは、ブリュイネールを選んではいないこと。
この点を「甘く」みて、選手をコマ扱いして、結果がどうなるかしらんよ、私は。


TdF前、ブリュイネールとシュレク兄弟との衝突が報じられた頃は、「あの兄弟の特質をわかってないなんて、どうしようもないなー」とバカにしている。
ブリュイネールは、「兄弟の絆を過小評価していた」と、今になって表で認めた。(遅すぎです)

合併後のチームが抱えた問題について、2チームは「別の文化」を持っていた、という台詞は、選手たち複数が口にしたことがある。
ただ、2チームの違いの「具体的な」内容を語ったものは読んだことがなかった。
ブリュイネールは、こう述べている。

プロの自転車チームがどうあるべきかのビジョンが全く違った。彼らは、会社みたいだ、と私を非難した。
彼等は、家族とみなしていた。それは私も理解できるし、そうできればいいが、いつもできるわけじゃない。

そう。2011年のLeopard Trekは、サクソバンクで固い絆を作って結びついた人々が、一緒にやりたい仲間たちを呼び集めて作ったチームだった。
大きな成功・戦績を「成し遂げる」ために構築したチームではない。

フォイクトが父さん、オグレディが母さん、ファビアンが大きい兄さん、フランクが真ん中の兄さん、アンディが末っ子。
この喩えは戯れだったが、今になれば、真実だった、といっていいだろう。

さて。過ぎたことは置いて、今後について、ここから導き出せることはというと・・

・ファビアンも、ブリュイネールの命令に従うのは真っ平で、自分の望むようにやりたがった。
さすれば、来季からのTeam Trekで、彼は、Leopard Trek時代と同じ、大きな裁量権を望み、勝ち取った、と解釈できる。
グエルチレーナは、ファビアンの思いのままになる。Leopard Trek時代そうだったから。

・次。来季のチームは、Leopard teamに戻る、というブリュイネールの台詞は、目を引く。
来季のチームは、Team Trekだ。なのに、Leopard teamに戻る?

ブリュイネールは、来季のチーム構想について直接情報を得る立場にはないはず、に思える。しかし、彼は、Trekと長く付き合って、よく知っているし、今季のチームの選手・スタッフを決めたのは、昨秋までGMの座にあった彼だ。
その彼の見方は当たっている、とみなすことができそうな?

・そうなると、シュレク兄弟とTrek及びグエルチレーナとの「力関係」について私が前に書いたことには、俄然、疑問が生じる。

ブリュイネールの言うように「Leopard Trekは、シュレク兄弟とカンチェラーラの2トップが支配していた」としたら、「ファビアンが、その体制の復活を望むのか、そうでないのか」が、Trekの意向よりも大きな意味を持つのではないか。

兄弟とファビアンの間に、以前と変わらず信頼関係が存在しているとすれば、復活して不思議はなく、何らかの事情によって失われたとすれば、復活しない。そういう可能性がないか。
さて、(ここまでお読みになった方全員お気づきと思うが)、ここで、件の栗村氏の発言が、再び、問題になる。

・・ガセか否かの裏が取れないから、困ったもんである。えいやでご本人に聞いたとしても、まず無理だよな~~、きっとソースの確定もできない。始末が悪い。
こういうのは面倒なので、来季、J SPORTSを見ないことを、本気で考えている。CS視聴のために契約しているケーブルTVを解約する。
今年のJスポ実況解説は、「全体を振り返って」評価して、「聞く必要なしどころか、害になった」という結論に至った。

・cyclingnewsの原文、シュレク兄弟関係部分
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発売されたTdF特集の雑誌を見て、「う~ん、こういうこともあるか」と思いついたことが。

・Trekがシュレク兄弟を残した理由のひとつは、アンディに、まだ「人気」あるいは「名声」が残っているから、か?

私自身の評価が辛辣だし(昔から、好きな相手の評価は辛い。シューマッハもプルシェンコも、王者として君臨していた時期に、「ピークは過ぎている。下り坂」と言い放ち、不満タラタラ)、ネット上でも厳しい見方をみかけるので、そうと思い込んでいたが、低迷してまだ2年だから、見限らない意見があっても、もっとも。

2010・2011年、TdFで優勝争いをして知名度は高いし、フランスではまだ人気があるのかもしれない。
2010年には、勝者のコンタドールより現地で人気を博したことは当時確認した。翌年の戦いぶりで評価は下がり、嫌う人々を量産したが、他方では、応援する人々が「まだ」いる、とみてもいいのかも?

・しかし、アンディの今年のTdFの戦績は、チーム(グエルチレーナ以下チームスタッフ)とTrekの期待を下回り、失望させるものだったのではないか。

上位を争えないことは判っていたが、総合10位以内なり、でなければステージ優勝、よしんば叶わずとも優勝を争うパフォーマンスを期待していた、ようである。
結果は、それに全く届かなかった。
私個人は、事前の想定がもっと低かったので、何も問題なかったが、チーム側はそうではない、と認識すべきでは。

2011年、結果(総合2・3位)に兄弟自身は満足し、チームは表向きでは不満を述べなかったが、実はオーナーは腹の中では怒り狂って、チームを大変革することを決め、兄弟に惨禍をもたらすことになった。
ご本人は満足で、にっこにこしていても、雇い主はそうじゃなくて、災いが降ってくる、という現象が繰り返されないとは・・

・Trekのシュレク兄弟との契約発表のリリースには、「アルデンヌ・クラシックとグラン・ツール」という順番でレース名が記されている。
この箇所の解釈のひとつ:
Trekとグエルチレーナは、兄弟に対して、「年間の1番のターゲットは、アルデンヌクラシック。TdFはその次。TdFが1番だった君等の過去数年と違うが、うちのチームはそういう方針。それを受け入れること」とはっきり通達している。

私個人の考えをいうと、その方針は悪くない。
兄弟は、もう、TdF優勝は見込めない。けれども、過去2位を複数回、記録上優勝1回というアンディの立場からは、優勝以外のもの(表彰台とかトップ10)は、モチベーションを高める目標にはなり得ないだろう。
対して、アルデンヌ・クラシックでは、まだ、優勝を目指して戦える力を見込める。
特に、フランク。そもそも、ワンデーレースは、フランクが、アンディより適性があり、戦績もよい。
兄弟ダブルエースで助け合うのは、TdFでは勝利を逃す元凶だが、ワンデーでは有効とみていい。

もともと、アルデンヌ・クラシックは、兄弟の地元に最も近く、兄弟が愛するレースだ。彼等はこの数年、TdFに集中する方針のチームに在籍してきたが、いつぞや、TdFだけにコンディションを合わせろ、他は全部無視というチーム方針に逆らうかのように、勿論TdFが一番だけど、アルデンヌも狙いたいんだ、と発言したことがあったのを記憶している。

「目標」は、「実現性のあるもの」を設定しないといけない。
今の兄弟には、アルデンヌ・クラシックは「ちょうどいい」のでは。

Trekが、春のクラシックを、前半はカンチェラーラ、後半のアルデンヌはシュレク兄弟を夫々エースに立てて狙いたい、そのために兄弟を残したとしたなら、十分理がある。

兄弟当人たちが、どう思っているかは私の知るところではない。
・・今後どうするかは、ご本人たちで決めてください。

今後も、TdFの総合を第一目標にしたい、その条件を満たして迎えてくれるチームを探す、というなら、どうぞ。
来年、どこのチームが、どういう内容のオファーをくれるかは、来季兄弟のみせるパフォーマンス次第だろう。
今の時点では、まだ何も判らない。
再来年のことは、来年の契約交渉が始まる時期まで棚の上にあげておいていい。

*MPCC加盟チームは、ドーピング出場停止明け2年間雇えないから、フランクは再来年8月まで不可であることを留意のこと。

・リーナス・ゲルデマン

RSLTに残れず、今年浪人していたゲルデマンが、MTN-Qhubekaと契約し、来季プロトンに戻ってくる発表があった。
フォイクトだけでなく、グエルチレーナがツイッターで喜ぶ旨を書いているというのは、昨冬、話をひっぱられた挙句、土壇場で契約更新してもらえなかったのは、ベッカの仕業、という解釈でいいか。

トレックの公式アカウントまで歓迎を表明したのには、「どういうこっちゃ?」となったが、あ、と気づいて、MTN-Qhubekaの公式サイトを見に行ったら、トレックが供給していた。

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●トレックの思惑

Trekの事情と思惑が判らない、と書いてきたが、8/15付のcyclingnewsの記事からのリンクに、参考になる過去のニュースがあった。
Bontrager development team needs title sponsor to continue(8/15)
Trek set to take title sponsorship role at RadioShack-Leopard in 2014(5/27)

cyclingnewsは、5月末の記事で、こういう事情説明をしている。
Trekは、RSLTへの直接投資を増やすことを決めた。
ベッカはこれ以上の金をチームに使いたくなくて、Trekとグエルチレーナにチームのライセンスを売りたがっている。
残る問題は売却価格で、これを巡る攻防戦をやっている。

私は、この記事が出た当時、一度読んだ。が、Tageblattの記事の影響を強く受け、こちらの記述にはあまり注意を払わなかった。おかげで、その後、憶測があらぬ方向へも広がってしまった。

今、改めて、「こうなんじゃないか?」を整理すると、
・Trekは、今季チームを立て直したグエルチレーナの手腕を評価して、来季以降のチームの運営を任せることにした。チームの構築についても、彼に裁量権を与えた。
Trekの絶対条件は「カンチェラーラをキープすること」で、それを実現できれば、その他にはさほど注文・制限はつけなかった。

・グエルチレーナは、Leopard Trekの設立時、チームのコアである「シュレク兄弟+アンデルセン」から招かれて、プロジェクトに参加した人間である。
その経緯から、シュレク組との間には信頼関係があり、今も継続している、と想像することに無理はない。

・仮にTrekのシュレク兄弟に対する信頼が薄れている、あるいはフランクのドーピング歴を歓迎していなくとも、グエルチレーナの希望を受け入れた、ということは考えられる。
・グエルチレーナは、今季スタート時のどん底の状態からTdF前までのアンディを注意深く見てきた上で、彼を手放さないことを決めた。アンディがフランクを必要としていることを理解しているので、最初からオファーは兄弟2人に出した。

だとすると、ベッカによるフランクの放逐への関与も、こう解釈できる。

グエルチレーナとTrekは、フランクの放逐を望んではいなかった。グエルチレーナがフランクの復帰を予定して、シーズン後半のレーススケジュールを送っていたのは、本心からで、欺瞞でもなんでもない。
けれども、現在のオーナー・べッカの決定には口を挿めず、従うしかなかった。
Trekは、現時点では、RSLTの「スポンサーのひとつ」にすぎない。選手の解雇の権限はベッカにある。

●上り坂の途上

自分は今まで、可能性を「幅広く」想定していた。今になると「我ながら、よくぞここまで悪いことを考えつくもの」。
一度、「こういう可能性も想定できる」と相当ひどいことを書いてアップした直後、思い直してひっこめたことがある。
公開されていたのは数分だったので、読んだ人はいないと思いこみ、拍手がひとつ送られていることに、後日に気づいた。

*あの拍手を送ってくださった方へ。
多分、このブログをいつもお読みくださっているのだろうと思います。有難うございます。
拍手ごと消してしまって申し訳ありませんでした。この場でお詫びします。
ただ、これはないよな、と自分でも思ったもので。

「Trekは、本心では、シュレク兄弟を望んではいない」ことを私が想定したのは、兄弟に対する「私自身の評価」が、そのくらい「低い」からである。

アンディが、2009~2011年のようにTdFの総合優勝争いをすることは、この先見込めない。
仮に当時のレベルに戻ったとしても(ないと思うが)、TTが伸びることはないので、TT・登坂力共に優れる若手たちとは競えない。
かつて描いた「彼がマイヨ・ジョーヌを着てパリへ行く」夢は、完全に消滅して終っている。

その評価の上で、楽観的な話を書く。

グエルチレーナについて自分はいまだ疎いが、彼は今季、非常に辛抱強く、アンディの回復を待った。アンディに対する信頼が揺らいだ言動は、私の目に触れた限り一度もなかった。
メディアや世間の人々がどれほど批判したときでも。

チームのボスがエースを庇い通すのは、チームとして当然、という見方もできる。しかし、今回のケースでは、グエルチレーナは、やろうと思えば、アンディを見限ることは可能だった、とみていいように思う。
ベッカがチームをたたみ、Trekがファビアン中心のチームを持つ意向を固めたことを知らされた後、彼の手には、シュレク兄弟を切る選択肢があった、と。

その上で兄弟を残したのは、「情」ゆえかもしれない、という想像が湧く。
もしもそうであるとしたなら、兄弟にとって状況はそれほど悪くない。

私の想像では、今の2人は、来季に向かって、前向きだ。
フランクが今季後半レースができなくなったことには落胆したが、来季になれば、また2人で走れる。
2人にとって、一番大事なのは、「2人一緒のチームでレースをすること」で、もう1年それが叶うことは決まった。

2人とも、「低い場所からの再出発」であることは理解している、と思う。
「比較する時期」を、「2010~2011年」においたら、今の彼等は「落ちぶれた」が、直近の「2012年」におけば、「谷底で倒れて動けないでいた状態」から「立ち上がって」、「上り坂を登っている途上にいる」、とみなすことができる。
前に居た高さまで戻ることはできないとしても、上を向いて歩いていかれる毎日は幸せだ。

ご本人たちに聞いたわけでもなく此方の勝手な想像だが、そのように都合よく解釈しておいて悪いことはあるまい。



私は、今年の初め、フランクが2年の出場停止になり、その間アンディもレースをやらず、その後2人一緒に走れるチームと契約がまとまらず、フェードアウトする未来を想定し、それでいい、と思っていた。
「4年間楽しかったわ」で終わってよい、と。

フランクのドーピングが故意である確率は高い。されば報いを受けるのが理に叶う。

予想外に出場停止が1年で済んだ後、彼のレースへの復帰をどう受け取るか悩んだ。
それが4月末。

その後、ハミルトンの本を読み、TdFを見、日々新たなことを仕入れながら過ごしていくうちに、少しずつ気分が変わっていった。

2012年TdFのフランクも、2008~2011年のTdFのアンディについても、この先、私は、徐々に、真実に近づいていくだろう。
それは、きっと、ランスのときと同じように、遅々とした歩みだ。
真実は、一挙に目の前に現れるものではない。覆っていた砂が、少しずつ崩れて、部分部分が少しずつ見えてくる。

それと共に、「自分がその真実を受容する道」もまた、みえてくる。

私は、ランスがクロという結論を出したとき、「クロであったこと」も「嘘をついていたこと」も、責めなかった。
「嘘をついたことを許せない」とは思わなかった、と記憶している。

クロ認定の確定に達する前に、私の心は、別の理由で、彼から離れ始めていた。
2009/12/02 : 来季に向けて

(今の私には、ランスに対して怒りの類の感情はない。それよりも、かつて言葉を尽くして賞賛したくせに、掌を返して、同じ口で、汚い言葉で非難を並べ立てる人々の醜悪さと恥知らずぶりに、怒りを含んだ嫌悪を感じる)

Category :  自転車
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なぜドーピングは悪なのか。よく挙げられる理由は公平性の確保、選手の健康への配慮などです。いずれも大切なことですが、いくらでも突っ込めてしまうのも確かです。
<中略>
ドーピングとは、その定義、規制する意味も含め、決して簡単な概念ではありません。スポーツの根底に関わる問題です。
(p166)


栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術」の中の、出来がよくない、と評したドーピングの章の一節。

栗村氏は、個人の感情として、明確にドーピングに反対している。
それなのに、その論拠を、他者に対して明確に示すことができない。

私に言わせれば、これはよろしくない。
第三者に意見を聞いてもよし、とことん考えぬいて、答をみつけるものだと思う。

確かに、「なぜドーピングはダメなのか」の回答を作るのは、易しいとはいえない。
この先も、論争は続いていくだろう。

しかし、全員を論破することはできなくとも、ある程度のレベルの主張は可能ではないか。

試みてみよう。

ドーピングは、自転車RRだけではなく、スポーツ界全体の問題である。
「スポーツ界全体」の観点において、「ドーピングは規制する」という価値判断に、世界的な合意がなされている。
「ドーピング禁止に疑問を抱く自転車RRファン」は、「自転車RR界」という狭い視野に留まって、「広い視野」を欠く、といわざるをえない。

「自転車RRのプロチームという範囲」に限定するならば、「公平性の確保」も「選手の健康への配慮」も、ドーピングを禁止する決定的な論拠にはならないので、突っ込まれると窮するのは当たり前である。

自転車RR界がドーピング規制をする必要があるのは、自らを「スポーツ」の範疇に入れているから、である。
「スポーツ」の範疇に留まることを選ぶなら、アンチドーピングという価値基準に従う必要がある。

ドーピングを解禁することは、「スポーツであることを止めて」、「ショー」の範疇に入ることを意味する。
実際、「ツール・ド・フランス」という一イベントをみれば、「観光+見世物」のイベントとして成立しそうなので、主催者ASOは、それでも構わないのかもしれない。

といっても、F1におけるバーニー・エクレストンのような人物を持ったことがなく、各国自転車連盟の関与が増した現在の自転車RR界に、「独立した興行システム」の創設を想定するのは、非現実的な話だ。

スポーツ界全体がドーピングを禁止することに、異論はあるだろうか。
念のため記す。

もし、現在のドーピング規制をなくしたならどうなるか。
世界には「五輪のメダルを欲しい」「世界一になりたい」という欲望を持つ人々が満ち溢れているので、ドーピング技術の競争が激化するだろう。
冷戦時代、東側諸国が国家単位で励んだことは、記憶に新しい。現代は、医薬品業界・医療技術業界のグローバル企業の莫大な金が動くことになる。

その結果、五輪の陸上競技や水泳などの記録競技では、劇的に肉体改造をした選手たちが、世界新記録を次々塗り替えていく。
さて。ここで質問。
これらのドーピング技術による世界新記録を、価値がある、と人々はみなすだろうか?

五輪がドーピング技術戦争と化したとき、現在のような高い価値を保持することが可能だろうか?

もう一点、指摘する。
こちらの方が重要だ。

スポーツはほぼすべて、幼年・少年期から始める。
「ドーピングは悪である」という規範を一切与えないならば、子供のうちからドーピングに染まることは目に見えている。

「青少年のモラルと健康」の観点で、ドーピングは「悪」のレッテルを貼る必要のある行為である。

自転車RRに戻る。

ドーピング擁護・解禁派の指摘に多いのは、「制裁(処分)の不公平さ・不合理さ」「検査の精度の低さ」といった点である。
これらには、私自身もかねてから大いに不満を抱いてきたから、感情としては理解する。

しかし、これらは、「規則の詳細と運用が抱える欠点」を指摘したものにすぎず、それがために、アンチドーピングの「原則」を否定し、全面解禁すべき、というのは、論理性やバランスを欠いた意見だと思う。

たとえれば、30km制限の細道を、気をつけて走っていて、たまたま30.1kmになったら、捕まった。
隣に自分より速く走っていた車がいたのに、そちらは見逃され、自分だけが捕まった。
納得できない、と不満に思う人は多いだろう。

しかし、「だから、速度規制は全面廃止すべきである」という主張が成立すると考える人は、まずおるまい。

アンチドーピング規程及びその運用に不公平・不合理・不条理があることは間違いない。
しかし、それを理由に、アンチドーピングの原則を否定するのは、論理性とバランスを欠く。

規程の詳細と運用は、よりよいものを目指していけばよい。
現在、世界的及びスポーツ全般において認められているアンチドーピングに反対(ドーピングを肯定・擁護)する場合は、規程の詳細・運用ではなく、「理念」に対する反論を提示する必要がある。

私自身がWADA規程の文面をまともに読んだのは、コンタドール事件のときだった。
そして、「この規程は、競技者側が不利すぎる」し、「不平等条約みたい」で、「これでいいのか」という疑念は、今もある。
ドーピングを巡っては論点が様々にあるので、追々。

関連:2012/09/21 : ドーピングを巡る基礎知識(1

Category :  自転車
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Trekの見本市イベントTREK WORLD。
召集されたのは、ファビアン、アンディ、フォイクト。
RSLT公式サイトが写真を掲載。
John Burke's keynote speech at #TrekWorld

ファビアンはグエルチレーナと一緒にヨーロッパーアメリカ間往復。
フォイクトとアンディは、19日からのUSA Pro Challengeに出場する。

私がこのイベントの存在を知ったのは2011年。
2011/10/04 : 自転車メーカーの勢力争い
このとき呼ばれたのも、シュレク兄弟、ファビアン、フォイクトで、「Trekがフォイクトの商品価値を高く評価している」ことを知った。

そういえば、昨年はどうしたのだろう?と思いつく。
1年前の今時分は、シュレク兄弟は、フランク陽性、アンディ負傷で機能停止、ファビアンは、オリンピックで敗北・負傷し失意の底。
その上に、USPS事件が進行中で、Trekの営業サイドはさぞかし頭が痛かったのでは。
渡米していたフォイクトが一人で広報活動に勤しんでいたような記憶がおぼろげにある。

今年は、昨年とはうってかわって華やかに。
Trekも大変だこと、と同情の言葉が出掛かったが、そもそも、このチームの災禍の元凶は、「レディオシャックとの合併」である。

合併には、当時、両チームの「現場でレースをやっていた選手・スタッフたち」の多数が賛成なぞしなかった。
なぜなら、「実質的には」、それまであった2つのチームの解体・消滅を意味したから。

1チーム分の人々が、突然、チームを追われることになった。
シュレク兄弟は、「自分たちが作り上げた理想のチーム」を、たった1年で粉々にされ、失った。

「エースを筆頭に選手・スタッフたち多数が望まなかったこと」を決めたうちの一人が、Trekである。

レースをするのはあくまで選手だ。自分たちだけの考えで合併を決め、選手をコマ扱いした結末、という見方をしてもよかろう。
(シュレク兄弟があそこまで破滅的な自爆をするとは予想できなかったのは判るが、ルクスのLe Quotidienの記者Denis Bastienのように、「あの兄弟は、引き離すと壊れる」とちゃんと洞察できていた人もいる)

来年度、自らオーナーになることにしたのが、Trekにとって望ましいのか止むを得なかったのか、事情はいまだ闇の中。(都合の悪いことは、当然表向きは言わないから、ずっと判らないままかも)

Category :  自転車
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栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術」から。
TdFの実況には視聴者からのツッコミが多い、と言う話の中に、こういう一文がある。

もうひとつ興味深いのは、選手のファンによってカラーが若干違うことです。
たとえば、アンディに対して多少厳しめのコメントをしても、さほどツッコミは入りません。でも、コンタドールやニバリをいじると「いやいや栗村さん、それはちょっと」みたいなコメントが来たりします。
これは推測ですが、ファンの方々は自分に似た選手を好きになる傾向があると思うんですね。アンディは割りとマイペースですが、コンタドールやニバリはマジメですから、ファンもマジメ。
(p117)


思わずにやり。
確かに、ファンは、自分に似た選手を応援する傾向がある。アンディファンは、本人同様、基本的に「のほほん」で、カリカリしない。
悪口言われても、右の耳から左の耳。楽観主義で、物事をあれやこれや考えて悩むことはしない。他者に対して侮蔑等の悪意を向けることも少ない。

その範疇から外れるタイプの私ですら、「栗村氏、TdFの実況中にアンディに厳しいコメントしたことあったっけ?」という調子。
先日、「去就報道のミスリード」を指摘したが、これは珍しいケースだ。
普段は、「Jスポ実況解説はスルー。ヘンなこと言ってようが無視」で、ほっている。
ネット上と同じで、「気に入らないものに出会ったときの対応は、スルーが正解。どうでもいいことに、いちいちケチつけるのは、未成熟の人間のやること」が基本のスタンスであるため。

そういう自分であるが、本書の記述に対するツッコミを記したい、と思う。
瞬間で消えるTV実況の音声と違い、書籍は文字として残る。文字には文字で。

フランクの2012年TdFドーピング事件に関する記述。

12年のツールでのフランクは、全然やる気がなかった選手です。総合優勝を狙う選手ではありませんでしたし、仲のいい弟アンディも出場していません。ブリュイネル監督との確執もあり、実際、フランクの走りは精彩を欠くものでした。
しかし、そのやる気のないフランクからも出てしまった。オペラシオン・プエルトで一度疑惑がかけられたにも関わらずですよ。
本人は否定していますが、もしフランクまでもがやっていたとすると、僕たちが想像する以上に、今もプロにとってはドーピングが「常識」だということです。勝つ気はゼロ、やる気なしの選手でも、とりあえずドーピングはしておく。
この後触れるランスのアームストロングの言葉じゃないですが、自転車を整備するように、ごくごく当然の準備として能力向上薬物を体に入れたということです。
(p188)


最初に断ると、フランクが故意だったか否か、私の意見を求められたら、「今この瞬間での回答」は、80~90%で故意。
この数値は、50まで下がるときもある。50というのは、「どっちなのか判りません」という意味だ。
日々、新たな情報を入手するにつれて、上がったり下がったりして、結論として確定していない。

事件後まだ1年だから、それで当然。
コンタドール事件は、3年経つが、これもまだ未決。この事件は、フランクと同様「原因を特定できないが、おそらく汚染事故」が「公式に出された結論」であり、こちらの判定はフランクの件の判定に強い関連性を持つ。
具体的にいえば、コンタドールが無実という確証を得られたなら、フランクも無実の可能性が増加する。逆も然りで、相関する。

自分がランスの結論を出すまでには5年以上かかったのだから、そんなもの。

ヴォーターズが、今年のフルームを巡る疑惑騒動について、(真実は)10年経てば判るさ、誰も10年待ちたくはないけどね、という台詞を吐いた。
この発言の本意は別のところにあるかもしれぬが、私は、「考え方の一つとして」、これはありだ、とはっとなった。

「結論に達するまでには時間がかかる」と腹を括る。
それまでの「揺らぎ」は、必然のものとして受容する。

そういうわけで、フランクのクロシロ判定については栗村氏と争わないが、結論は同じでも、それに至る事実認識に、違いがある。

私の主張の要旨を先に書くと、
「栗村氏は、2012年度のシュレク兄弟に関する情報を持たなさすぎです」。

栗村氏は、12年TdFでフランクは「やる気がなかった」という台詞を連呼している。
私は、これに異を唱える。
「やる気がなかった」という見方は、妥当でない。

私の解釈は、当時ネットで収集可能だった各国メディアの記事から得た情報を根拠にしている。
メインは、フランクの母国ルクセンブルクのサイト。
名称とURLはリンク集に載せてある。
彼等は、TdFに記者を送り、連日、フランクに張り付いている。

Luxemburger Wort(ドイツ語版)は、TdFが始まると、毎日、フランクのインタビューを載せた。
Le Quotidienのインタビュー掲載は数日おきだが、記者の質問を含めた長めの記事を作るので、Wortと補完し合い、発言の趣旨の理解を助ける。

母国以外の他国紙が記事を載せる頻度は低いが、時々出現するので、英語4紙、デンマーク、フランス、ドイツ、ベルギー各紙もヘッドラインをチェックしていた。
詳細は、2012年6月7月の記述を参照頂きたい。

フランクの心情に関する私の解釈は、
「彼は、TdFで結果を出すことを欲していた。
ブリュイネールの指示と要求のために、TdFに合わせたコンディション調整をすることができず、自信がなかったが、スタート時には、チームのリーダーの責任を負う覚悟があった。
1週目は順調に進んでいった。
しかし、山岳ステージ前日の第6ステージで、落車に巻き込まれた彼を、ブリュイネールから任されて現場の指揮を執るA.ギャロパンは見捨てた。
ギャロパンの仕打ちにフランクは深く傷ついたが、彼を案じて毎日励まし続けるアンディとアンデルセンに支えられて、2週目を乗り切り、3週目の山岳ステージに意欲を持っていた」

「精彩を欠く」走り、といわれるのは理解できる。しかし、「全然やる気がなかった選手」という評価は、適切ではない、と思う。
そんな「安易」な言葉ですますには、このTdFでのフランクは、様々な事情を背負いすぎていた。

栗村氏の「やる気がない」発言の元になった情報は、おそらく、TdSでのフランクの「TdFのリーダーをやりたくない」発言だろう、と思う。
これは、各国語で広く流布した。

TdF直前にフランクはこの発言を翻すが、そのことは、私のようにルクスメディアをしっかりフォローしていないとキャッチできなかった可能性がある。

私は記者会見を報じた記事を列挙したが、順番がルクス紙4本、ドイツ紙、アメリカ紙各1本。

ルクスメディアたちの調子は一様。フランクがリーダーの役割を引き受けた、と報じている。
自明であったとはいえ、本人の口からちゃんと聞きたい、と確認。

「僕は、TdFのリーダーになりたくないと言ったことはないと言いたい。僕が言いたかったのは、責任を取れるだけの理想的な準備をしていなかった、という意味だよ」
「僕らは、TdFで勝利を目指すためにここにいるし、最善を尽くす。僕ひとりが責任を負う選手じゃない。ファビアン、アンドレアス、クリスもいる」


チームが、「フランクとクーレデンをリーダーに指名したこと」は、記者会見前に、ギャロパンがLe Quotidieのインタビューで明言しており、チーム公式サイトが「2人を並べた図」を掲載した事実でも、確認できていた。

以上「複数の明確な事実」があるにも関わらず、栗村氏は、チームプレゼンテーションの中継で、RSNTのリーダーはホーナー、という「まったくのデタラメ」を断言した。

栗村氏が、ホーナーがエース、と「デタラメ」をJスポ実況でも喋っていて、どこで読んだのやらと思うが、見当たるのはcyclingtimeの記事くらい。(2012/07/01)


「日本語」以外の他国語では発見できなかったので、どうやら「2人の日本人が、日本語で、日本国内に、デタラメを流した」らしい。

このように、栗村氏は「TdF開始前」から「事実誤認」をしていて、その後、修正することができなかった、と言えそうである。
こうして振り返ると、今年の去就報道のミスリードと同じであったことに気づく。

2回のケース共、ミスリードの根本的な原因は、「情報収集の不足」にある。
このことそのものは、やむをえない。ルクセンブルグ4紙チェックは、ファンだからできることで、お前もやれと要求するのは無体だ。

問題があるとすれば、「自分が情報不足である」ことの自覚に欠け、自分の勝手な想像を「こうです」と断定して、電波に乗せること、だろう。
「裏付けのない」ことを、「幅」を持たせることなく、ひとつに決めつけて、言い切ってしまう。

「決めつけ」を避ける伝え方を心がけたら如何ですかね、といったところか。


私かて、上記のフランクの心情の解釈を自信を持って言い切らない。
「そうだったんじゃないか、と私は思う」というだけだ。

彼は生真面目な性格で、神経質だ。物事をぐちぐちうだうだ気にする。正反対の「のほほん」性格のアンディが「大丈夫だって」と兄を励ます。そういう話を読んだ。

当時、フランクは、GMブリュイネールと衝突し、同時に、オーナー・ベッカとも衝突していた。
数ヶ月前から出ていたこの噂は、TdF中に、確認がとれた。
wortがはっきり記載し、シュレク兄弟がチーム離脱を望んで活動していることが、明白になった。

移籍活動が、どこかと具体的に進んでいたのか、それとも現契約が強固すぎて解除ができないと諦めたのか(同じく離脱を画策していたファビアンが、この理由で離脱を諦めたことが伝わっている)、フランクの陽性で計画が途中で潰れたのか、事実は定かでない。

しかし、離脱願望が事実であったことは、移籍の条件を上げる(自分の市場価値を上げる)ため、フランクがTdFで結果を欲していた、という解釈の後押しにならないか?

チームのオーナー(及びGM)と衝突し、本気で離脱を望んでいたのは、チームの中の一部の人間だけだった、と推測される。
その年の春、「給料未払い」の仕打ちを受けて、UCIに訴え出たシュレク兄弟とファビアンの3人、加えてフグルサング。
「超高額ギャラ」で契約したのに、それに見合った戦績(ビッグレースでの勝利)を挙げて来ない、とベッカが不満を抱いたエースたち、である。

給料の支払いを受け、ベッカから文句を言われず、ブリュイネールともうまくやっていかれる、中堅・若手の選手たちは、エースたちの抱えた問題には無縁で、無関係だった。

このことは、TdFを走るフランクを孤立した境遇に追い込んだ、と思う。
前の年まで、チームメンバーはみな気心が知れ、信頼できる仲間たちだったのに、今、心が通じるのはほんの数人しかいない。

そして、第6ステージで、A.ギャロパンが、落車に巻き込まれて後方集団に残されたフランクを、チームの誰一人も迎えにいかせず、見捨てたこと、そしてステージ後に記者に囲まれたギャロパンの、自分の決定の説明の中の台詞「フランクは、昨年、落車しなかったけれど、優勝できなかった」、この2つが、フランクの心に、深い傷を負わせた。

「昨年、落車しなかったけれど、優勝できなかった」
落車しなくても勝てなかった選手なんだから、落車したら、当然勝てないに決まっている。だから助けず、置いていった。理にかなってるだろ。そういうことか。
自分に対して、チームリーダーとしての信頼は、なかったのか。
明日から山岳ステージだ。山は、自分が、チームの誰より登れる。そのことをチームは判っているはずだ。それなのに、山岳が始まる前日に、落車の巻き込まれで遅れた自分を見限ったとは。

選手やスタッフの一部は、フランクに同情した、と思う。
フランクの怒りと恨みの矛先は、A.ギャロパンだ。フランクを見捨てることを決め、指示したのは彼だ。

*フランクとアンディは、今も、ギャロパンを、心の中で恨んでいる、と思う。
今のチームに在籍する間は口から出さないけれど。
彼等は、08年TdFでのサストレに対する深い恨みを、リースのチームにいる間は黙っていた。後に、ぐちぐち繰り返すことになる。

第6ステージ後、私は、神経の細いフランクの心が折れたのではないか、という危惧を抱いた。
「このチームにいるのはもう御免」と、巨大なストレスに押し潰され、壊れる寸前ではないか、と。

「フランクにかかっているストレスがすさまじくて、胃に穴が開いても不思議ないくらい」
この文章を書いたのは、彼が陽性を出したことを伝える報道が出た7/18の前日、7/17だった。

7/18に第一報を読んだとき、私の頭に浮かんだ台詞は、「ああ、やっちまった」。
彼が心理的に追い込まれて、不安定になり、正常な判断能力を失う状態になるかもしれない、という認識があったゆえに、「ふらふらと手を出してしまった」、あるいは「稚拙なやり方をして隠すのをしくじった」。
彼は、自分に力があることを示して、自分を侮辱したA.ギャロパンを見返してやりたかったのだろう、と。



以上は、今まで書かずにいた、1年前の私の心情である。
いつか書こうと思っていて、栗村氏の記述に触発された。
(だから実は、栗村氏への批判は枝葉で、本旨はこっち)



読書中
カウントダウン・メルトダウン 上カウントダウン・メルトダウン 上
船橋 洋一

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●恥ずかしいですよ、自分が。視聴者に対して申し訳ないです。(p189)

今年のTdFスタート直前に出版された本。無視していたが、図書館にあったので、手にとってパラパラみたら、興味をひく箇所があった。

ドーピングについての終章のあとにエピローグとして付け加えられた「個人的な体験」の中に、ブログにも、勿論Jスポ実況でも口から出したことのない「心情」が吐露されていた。

その言葉の率直さに、少し驚いたと同時に、「本」という媒体の持つ限定性に、改めて気づかされた。
ブログやツイッターに比べ、本を読む人は、圧倒的に少ない。

その限定性を踏まえた上での記述か。ここに書いたことと同じことをネット上で吐くことはないのかも。

ドーピングに関する章の記述は、これまでに流布した「日本語」の解説よりは踏み込んでおり、個人的心情を抑えたものだが、出来はあまりよくない。文章の初めと終わりでずれていって、主張が不明瞭になっている箇所がみられる。
私が編集者なら、言いたいことが判りにくい、とダメ出ししたくなりそう。

しかし、それはおそらく、文章力の問題ではなく、ドーピングのもつ本質的な「曖昧さ」や、揺れる心情を反映しているのだろう。
彼も、今もまだ、ドーピングの実態、個別の選手のクロシロ、様々な点が判らず、判断に揺れ動いている。
「彼も」というのは、私がそうだから。

私は、栗村氏と同じくランスの賞賛者で、「バカヤロー」の感情を経た観客だが、彼よりも先に、ランスのクロを認識した。
コンタドール事件のCAS仲裁判断や、USADA報告書や、フランクのALADの決定文と格闘し、多分、彼よりも先へ進んでいる。でも、今尚、判断に揺れ動く。

その点において、同類という共感を抱く。そして、「無邪気な解説者」だったと自覚し、「悲惨じゃないですか、僕。」という一文には、同情の念を禁じえない。
失礼を承知でいうと、「そりゃ悲惨だと思います」。

このエピローグの記述は、ランス時代を知らない新しいファンに読ませていいのか、ちょっと疑問になる。
読み手として最適なのは、多分、私のようなランス時代を見てきた観客だ。
でも、本書の80%は初心者向きの解説で、最終章だけ、いきなり10年以上キャリア向け、というのは、本としてはどうなんだ、という気が。

目次
プロローグ サイクルロードレース早わかり!
1 サイクルロードレースの基礎知識
2 知っておきたい選手とレース
欧州主要レースと開催地
3 もっと楽しむサイクルロードレース
4 ドーピングの闇
エピローグ 個人的な体験

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上記は序。次回はツッコミを。

●Team Trek

Trekの陣容が少しずつ。

・確認済

スベルディア(2年)、イリサール(3年)
Zubeldia and Irizar sign with Trek WorldTour team (cyclingnews 8/4)

別府史之(2年)
8/8、 リリース

フォイクト(1年)
8/9、ツイッターでアナウンス。まとめた記事

離脱:
ギャロパン(ロット・ベリソル) 8/6

・憶測
Luxemburger WortのJoe Geimerの8/2付ツイート (記事にはしていない)
Signed for Team Trek?! Stuyven, Alafaci, Silvestre, Nizzolo, Kiserlovski, Schlecks, Jungels, Didier, Irizar, Canci, Zubeldia. #speculations

他の記事が出した名:
Boy Van Poppel、Danny Van Poppel
デヴォルデル

・DS
キム・アンデルセンが確認済。
未確認だがデモルも確実。根拠は、別府君を、おかえりと歓迎するツイートを記したこと。
ギャロパンも残るとvelonationは推測。(甥のトニーの移籍の記事内

デモルは、6月初めに、cyclingnewsに対し、自分を含め現在の主要メンバーが残る見通しを述べている。
Demol confident of RadioShack's future (6/5)
6/26のTrekのアナウンスの文面は、それに沿っていた。
額面通り受け取らなかったのは、私個人の判断。

2年前のレディオシャックとの合併の際、一時は、LT側の選手がもっと残れると思ったが、実際には、翌年の契約を持っていた選手を含めて半分がパージされた。
あのときの苦い経験を忘れていないので、慎重。

もう一点。
このチームに、シュレク兄弟が2015年以降在籍するのかどうかは不明。
ウォッチャーなら「契約年数未発表の不自然さ」に気づく。ここまで契約が発表された他の選手は全員、年数を公表しているのである。
ルクスメディアたちがいまだ触れないのは、事実を知った上で伏せているのか。



現在読み進み中の本。
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メディアは、毎度たちが悪い。

1998年のツール・ド・フランスが裁かれたのか? マスメディアが作り上げた過激なドーピングスキャンダル(cyclist.sanspo.com 7/28)

7月24日、フランス上院のアンチドーピング調査委員会は、スポーツ界におけるドーピングに関する報告書と、ドーピング撲滅への戦いに関するマニフェストを公表した。

 しかし日本の多くの報道機関が発信したニュースは驚くほど一面的で、非常に不愉快なものだった。フランス上院が目指していたものが、スポーツ界全体を包含する独自のアンチドーピング・マニフェスト作成だったにも関わらず、まるで自転車競技のドーピング汚染だけを暴く発表だったかのように報道されたからだ。

 日本語版ロイター通信や共同通信をはじめ、多くの報道機関は、フランス上院から配信された映像と報告書の中身を詳しく確認せず、一部の情報だけをピックアップしたようだ。これは非常に公正さを欠き、報道機関として無責任な行為だと思う。


上の記事を読んだ後、他に同種の記事が出ないかと待っていたら、7項目の提言の要約を記してくれた人がいた。
Missing the point
238ページのフランス語文書はどうにもならなかったので有難い。

おまけで、1998年TdF中の検査の一覧表が掲載されていた。

・フェスティナ事件で、警察が連日捜査を続け、プロトンは恐慌状態に陥っていた、とものの本には書いてあるが、その最中でも、ものともせず、みなさんバンバン使い続けていたことがわかる。

ハミルトンの本によると、各チームが、大慌てで手元にある大量の薬を処分し、ン百万円分をトイレに流した、という笑い話もあったというが、危険を冒して隠し持っていたということらしい。

こうなると、次の大激震、OPの年・2006年も似たようなもの、という類推が湧く。
(だいぶシロくなったと判断できる年代が、どんどん後ろにズレていく。どこまでいくやら)

・フォイクトが1回、Missing。
つまり検査を受けたが、検体が残っていない。強運の持ち主。



15年前の罪を追及し罰することに、私は、積極的に賛成はしていない。
それが、「今後」のプラスになる、という確信は持てないから。

「こういうふうに、あとでバレるから、やるなよ」という「脅し」は、今ドーピングしようとしている選手への「抑止」の効果はない、と思う。
彼等は、10年先のことなぞ考えない。
今これから人を殺そうとしている者が、捕まったら死刑になるから、と考えて思い止まることを期待できないのと同じ。

世の中には、ドーピングの経歴が明らかな人間・疑わしい人間は、すべて排除しろ、という意見もある。
感情としては、判る。私の中にも、同様のものはある。顔を見たくないとか永久追放でいいとか。

しかし、根こそぎ排除しろという不寛容主義は、ドーピングを解禁しろ、という意見と同じく「極端」で、「排他的」な思想だ。
異なる考えを持つ人間が混在する以上、「自分の考えが正しい。こうすべきだ」と断じるだけでは、何の解決にもならない。

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