南の国の太陽、空の色の獅子

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1998年TdFの再検査の公表で、また一騒動起きているが、選手たちに対して非難の類を断言する人には、三船雅彦さんがFBに記した文章を一読することをお勧めしたい。
そして、自転車界のドーピングについての意見を、ネット上で(意味:不特定多数に向かって)発する時には、ハミルトンの「シークレット・レース」が必読だと思う。

私はこれまで、検査で陽性を出しても否定し続ける選手たちを、「しらを切り続ける」という表現で侮蔑していた。
でも、ハミルトンの語ることを読んで、少し変わった。

自分が彼等の立場に置かれたとしたら、「自分は、ドーピングを選択はしない」し、「嘘をつかない」と言えるか。
私は、言えない。
「自分自身を振り返り、自分のエゴと醜さ・弱さを認識できる」程度には、私は年をとった。

もう一点ある。
ドーピング漬けの時代を作った根源にあるのは、「強い選手」、「血沸き肉踊る熱い勝負」、すなわち「ワクワクドキドキ興奮・感動させてくれる見世物」を要求する「観客」ではないか。

そもそも、TdFの始まりは、「見世物」だった。
選手たちがバテバテになって苦しむのを見るのを観客たちは楽しむから、主催者は、「観客にうけるように」、困難なコースを作った。

「今でも」、この下り坂は危険だ、と一部の選手が声を上げると、「腰抜け」と罵倒する観客たちがいる。
彼等は、選手が怪我をしようが死のうが構わない。
リスクを負う負わないは、選手の「自己責任」で、死んだら、へたくそか、運が悪いか。
「見たくないものを見たな」ですませ、翌日には忘れる。

「観客」とは、「人間の持つ残忍性」を露出する存在だ。どこの地域もいつの時代も変わらない。
「安全性」と「レースの面白味」は本質的に相反する。繰り返される論争を、私はF1で延々見てきた。

私は、危険を主張する選手の発言を尊重する観客ではあったが、他方では、「勝利至上主義」の観客だった。
「勝つこと」を、要求した。

勝つために手段を選ばない選手であることをはっきり認識し、「大魔王」と呼んだ、7度のチャンピオン、ミヒャエル・シュマッハーのファンであり、彼と同種のチャンピオン、ランス・アームストロングを賞賛した。

ゆえに私自身も、「ランス・アームストロングという化け物を生み出し、真っ黒の時代を容認してきた観客」のうちの一人なのである。
私は、そのことを、肝に銘じる。

元々は「興行」だった自転車RRは、時の経過の中で、いつしか「スポーツ」に「変質」した。
レースをやる人々は、自分たちの行っているものが「スポーツ」のジャンルに入る道を選んだ。

「スポーツ」は、「公平性」が求められる。
グローバル化する世界の中で生き残るためには、「前と同じまま」ではいられない。
スポーツに限らず社会のあらゆる分野で情報化が急速に進んだことで、隠し事ができなくなってきた。

多くの競技が、「閉鎖された社会」で長い年月営まれてきた。「内輪」では「当たり前」として通ってきた慣例が、外の世界から見ると容認できないということに、初めは気づかない。
「透明性や公平性」が求められる時代になって、あちこちの競技団体が、問題に直面し、変革が求められているのではないか、と思う。

TdF100回記念大会は、華やかに終了し、成功であった、様子である。(情報をほとんど集めていないので判らない)
結構なことであるが、その裏では、いくつかのチームが来季のスポンサーがみつからず、存続が不確かという恒例の報道が流れている。

多額の費用をかけた、大規模で派手なイベント一般に対する興味が徐々に失せていっているのは、私個人の価値観・嗜好の変化だ。
しかし、一部は、自転車競技の舞台から去って、ささやかな生活の中に幸せを見出して暮らしているという、ハミルトンの本の末尾の記述に影響されたかもしれない。

・オグレディとフォイクト

1998年TdF陽性名簿にオグレディの名が出ることは、発表の直前、彼が来年の予定を前倒しして突然引退を発表したときに気づいた。

ゾロゾロ名が並ぶにしても、みな引退していて、現役で影響を受ける人はいないのでは、と軽く考え、うっかりしていた。
そうだ、オグレディは1998年に出場している。

TdF中に、出場回数の記録がどうのという話題が出ていた。
回数が多いという事実は、「真っ黒の時代にやってました=ドーピングやってました」と同義である。
今や明らかとなった事実に目をつぶった報道は、「矛盾」を通り過ぎて、もはや、滑稽で、悲惨だ。

あわてて戦績を確認すると、マイヨ・ジョーヌを3日着て、ステージ優勝もしていた。
それだと間違いなくサンプルを取られている。こりゃダメだな。やれやれ。

同じく1998年出場者で現役のフォイクトは、TdF中に、今年が最後のTdF、と公言したが、自転車競技からの引退ではない、と、現役続行の意欲を表明した。

ということは、彼は、「今回、自分の名が出る危険はない」とみなしている。
検査を受けて検体が保存されているのは出場選手の一部だ。彼は「検査を受けていなかった」、あるいは、「検査のあったときは何も使っていなかった確信があった」。

といっても、今回はクリアしても、過去がバシバシ暴かれる時代になったから、かなり危ない。
オグレディと同じ目にあう前に、今季で引退した方が本人にとっていいようにも思えるが、ご本人がリスクを背負うというなら、仕方ない。

たとえ引退後でも、バレる日がきたら、やはり何か喋らなければならない、現役でいようが引退しようが変わらないさ、走りたい間は走るよ、と言われればその通り。

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●Gala

トレックからのリリースが、7/23に出た。
ルクスのガラ開催日の直前。

トレック・ジャパンもリリースを出す(日本語)。
原文にない一文を末尾に付記しているのは、「日本国内の一般ユーザーの理解」に必要という判断ゆえか。

Gala Tour de France: Rui Costa gewinnt und Fränk Schleck feiert sein Comeback(ビデオ付)
写真:
Tageblatt
wort.lu
RTL

アンディと、フランクの友人たちは、ファンクラブの作った"Welcome Back FRÄNK!"と記されたTシャツを着る。
フランクが着たジャージは、ルクセンブルク代表チームのそれ。

●補遺

去就が確定したので、はい、これから頑張ってね、シャン、でよいのだが、少々補足。

今回の件の「日本語」の報道を眺めると、ヘンなものが転がっているが、あることに、はた、と気づいた。

どこも、「ギャラ3分の1」の件を伝えていない。

ファビアンの契約発表のとき、Blickが「兄弟へのオファーは、ギャラが現在の3分の1」と書き、その後、ルクスメディアたちも、これに追随した。
単なる引用でなく彼等なりの判断なので、蓋然性は十分高い、とみている。

2010年に締結したLeopard SAとの2014年までの契約では、アンディの年俸は、180万ユーロ(約2億3000万円)。
これを、5000~7000万ユーロ(約6500~9000万円)。おおざっぱにいって3分の1。
フランクの額は伝わっていないが、当然もっと低い。

想像するに、アンディは、過去2年、戦績を全く出しておらず、かつ、来季、以前のレベルに戻れる保証がないことは判っているので、大減額でも仕方ない、と認めるだろう。
何より、彼にとって優先順位1位は、金ではなく、「フランクと一緒」だから。

加えて、キム・アンデルセンも、傍に欲しい。
この2人を一緒に雇ってもらえるのなら、減俸は呑む、だろう。

というより、TREKのオファーを蹴って、他に行くところがあるというのか。
3人セットで受け入れてくれるチームがあると?
1年前の時期でも、移籍先をみつけるのは難しかったのに、今やドーピング有罪という傷のついたフランクとTdFで総合20位にしかなれないアンディを、どこのチームがエース待遇で迎える?

移籍だ、就職活動だ、と喋るJスポ実況陣には、「どこのチームが雇うと思うんです?MPCCはダメなの知ってますよね。MPCCに入ってないチームを挙げて下さい。このうち、どこが、兄弟を取りそうだと思うんですか?」と聞きたいくらいだった。

といっても、Trekが、足元を見て値切り放題だった、わけではないと思う。

法律上の契約の問題、があったようにみえる。

シュレク兄弟とLeopard SAとの契約は、来季まで有効だ。
Leopard SAが、来季参戦をしないとなれば、兄弟との契約が不履行になり、兄弟は賠償請求権を持つ。

Leopard SA(ベッカ)が、賠償請求を避けるためには、チーム運営をTrekが引き継ぐことを前提に、Leopard SAと兄弟との契約は、双方合意で終了し、Trekと兄弟の間で、新たに契約を締結する。そうすれば、円満に移行できる。

以前、TrekがLeopard SAからライセンスを引き継ぐなら、兄弟の契約も引き継ぐ、という理解をしたが、そうではなくて、契約は新たに締結し直し、と考えるものではないか。

そうと思いつくと、フランクの解雇発表のときのアンディの怒りは、こう理解できる。

・・オレは、ギャラに文句は言わない。フランクが、チームに戻って、一緒に走れるなら。
そのつもりで、Trekと契約する気でいた。それなのに、今季フランクを復帰させない、追い出す、って、話が違うだろ。
大筋で話がまとまったら、裏をかいて、今年の残りのギャラをフランクに払わないですまそうという魂胆か!

現オーナー・ベッカ、と同時に次期オーナーTrekの、対選手の窓口である(ようにみうけられる)グエルチレーナを問い質すと、「自分も、ベッカから、この話は聞いていない、判らない」と返答され、頭に血が上って、メディアの前でブチ切れた。

というのは、私の想像で、実態が何だったか、は永遠に判らない。
しかし、シュレク兄弟のTrekとの契約発表がTdF終了直前だったのは、彼等がそれまで、移籍を検討していたからではなく、詳細についてTrekと正式合意するまでに日数を要し、かつ、最初から予定していた日程だったのでは。

・・新しい材料が入って、あ~、間違った、と思ったときは、また書きます。

ぐちゃぐちゃした話や憶測きいてもわからん、という方に。
「給料3分の1にカット」といわれたら、最終的には受けるしかなくても、ハイ、と簡単にはんこ押せませんよねえ?

*ベッカを巡る「金」の問題

このチームに纏る「金の問題」は、さんざん言われてきたが、実態は、こちらには想像がつかない。
ベッカが、2012年1月にブリュイネールから150万ユーロ(約2億円)借りていて、うち90万ユーロを借りたままなので、ブリュイネールが裁判を起こし、返済命令が出た、という報道を、TdF前に読んだときは、「なにそれ」になった。
Becca ordered to repay 900,00 euros to Bruyneel (cyclingnews 6/20)

「それで、なぜ、いまだにフランクを解雇せず、チーム名簿に残しておくのか?給料を払っているのか?」
やっていることの辻褄が合わず、理解不能、しょうがないので棚上げにしておいたら、その後、こういう事態に。

●気づいたこと

RSLT公式サイトのトップページにある、Our favourite tweetsの中に、今はメンバーでないフランクの7/23付のツイートが載っている。

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●フランク

フランクがベッカからのオファーを断った、と昨日報じられた。
双方のコメントから、拒否の返答は、ベッカがこの件をプレスに喋った20日の「数日前」になされていた、と推測できる。
となると、オファーがされたのは、「更にそれより前の日付」だった。

裏側で何があったかは、此方には、依然判らない。
ただ、シュレク兄弟とベッカとの関係が、2年目(昨年)のシーズン中に「悪い」ものになったことは、はっきりしていた。
そして、双方とも、プレスの前では、それを取り繕って、今まで過ごしてきた。

7/4、ベッカがフランクをチームから追放したことによって、建前が崩れた。

ベッカが、決定を翻して、再雇用のオファーを出すというばかげた振る舞いをしたのは、「最初からの計画」か、それとも「トレックからの要望」か。それ以外の理由か。

この茶番への「トレックの関与」は、今も謎だ。

トレックが、ベッカときちんと意思疎通ができていて、了解済みとも、ベッカの独断で、トレックが慌てて変更を要望して、再度のオファーに至った、とも、どちらも、想像は可能。

まるっきり違う話だが、なにしろ、両者の関係については情報がない。

後者であれば、「ベッカと縁が切れてよかった。トレックはベッカよりまともでは」で済む。
前者だと、「トレックと兄弟の間にも、信頼関係はない」ことになり、来季、再度、居場所の問題が出るだろう。

「契約期間」の情報が、まだ、伝わってきていない。
1年の可能性はある。
おいおい情報が出るだろう。

フランクは、明日7/24、ルクセンブルクで行われるガラに出場する。
現在所属チームのない身だが、来季は確定している。

このガラのオーガナイザーが、アンディだけでなく「フランクの」出場をアナウンスした旨の記事を読んだ日(7/13)に、「兄弟は、来季の去就を実質的に確定していて、ガラの前までに発表する段取りがついている」と、私は解釈した。

去就が未確定の身で、地元の華やかなガラの観客たちの前に姿を現すことはできない、から。

裏の動きの推測には、こういう情報も、材料として使う。

●J SPORTS実況のミスリード

私が今まで書いてきた動機のひとつは、自分が海外のサイトで読んだ情報が、「日本語では紹介されていない」、あるいは「正確に流布していない。誤認が広まっている」ので、「読んで!知って!」という欲だった。
この欲が生じる機会は今後もありそうで、そのときは改めて考える。
4/30


シュレク兄弟の去就という設問の答は判明したが、今回の課題は、かなり「簡単」で、「読み違える可能性は低い」ケースだった、といえると思っている。

というのは、7/3に記載した通り、早い時期から、信憑性が「極めて」高い情報が存在していたから、である。
cyclingnewsが、「トレックは、兄弟にオファーを出していて、現在交渉中」であり、次いで、「その情報源が、グエルチレーナである」ことを明かした(7/5)。
これを疑うとしたら、「グエルチレーナが、嘘をついている」と解釈しなくてはならない。これは蓋然性が低い。

cyclingnewsの報道に、これまでに集積した知識(兄弟の考え方や望み等)を足して考えれば、残留を予想してよかった。
確率をいえば、99%。

疑いを残した原因は、専ら、J SPORTS実況にあった。
栗村氏の発言が、私に、「しなくてもいい憶測」をさせた。

基本的に、栗村氏を含むJスポ実況担当の人々は、選手の移籍等の話題に関して、私より上のレベルの情報を持ってはいない、とみなしている。
理由は、彼等は「一次の情報」を持たない、から。

F1の実況では、川井ちゃんが、「当事者・関係者たちから直接」、情報を取って来る。
自転車RRの実況では、川井ちゃんと同じような「一次情報」を根拠にして喋る人はいない。彼等の情報源は、基本的に「二次情報」、どこかの報道の引用、にすぎない。

そして、特定の選手に張りつくことはしないので、特定の選手に特化するファンの情報収集量の方が、上になる。

よって、Jスポ実況での発言は、基本的に無視していいのだが、今回は、栗村氏がコルシカ現地に行っていた、という特別な事情があった。
現地には、ネット上にはない情報がある。そのことを、私はよく知っている。(最も価値のある情報はネット上にはない)
これが、栗村氏の発言を「ガセ」と決めつけて切捨てることを思い止まらせた一番の理由だった。

「カンチェラーラがシュレク兄弟をチームから追い出した」という話は、此方にとって不快だ。
不快だが、不快だからという理由で切り捨てるのは、事実を見誤る元凶である。

J SPORTSの実況が、シュレク兄弟の去就について伝えた内容は以下である。

時系列で記載すると

・RSLTはトレックが引き継ぐが、カンチェラーラが、シュレク兄弟を嫌悪していて、兄弟が残るなら自分は残らないと主張している、という報道がある。(第1ステージ)

・カンチェラーラとトレックとの契約発表直後、RSLTがフランクを解雇した。
これは、先日の噂とつじつまがあう。

・フランクの解雇について、アンディが、公然とチームに対する批判をした。
不適切な発言で、こういう発言をするからには彼もチームに残らないのではないか。

・フランクはアスタナ、とレキップが書いた。

発言者は栗村氏一人でなく、複数が入れ替わり立ち替わり、である。
TdF期間中、「離脱(移籍)」の方向で話をずっと進め、異なる報道(トレックと兄弟は交渉中)が存在することには、誰も、一言も、触れない

第20ステージ(7/20)になっていきなり、

・アンディとフランクが、トレックと契約した。(チームに残留する)

これでは、大多数の視聴者は、「アレ?移籍するのでは?」となったであろう。

「アンディシュレック 移籍」の検索ワードで、アクセスが多数寄せられていることが、それを物語る。

J SPORTS実況は、明らかな「ミスリード」をした。

ミスリードを引き起こした原因は、第1に、栗村修氏にある。
彼のもたらした話に、みなが引き摺られた。

第2に、「cyclingnewsを購読している人が、実況陣の中に誰もいない」らしいこと。
そのため、途中で修正ができず、土壇場まで間違えていた。

cyclingnewsは、「我々(トレック)は兄弟の残留を望む、とグエルチレーナが語っている」旨を、繰り返し報じていた。
ルクセンブルクやスイスのメディアに目配りがきかないのは当たり前にしても、cyclingnewsはメジャーなサイトではないか。
逆に、彼等は、ここを読まずに、どこのニュースサイトを読んで情報収集をしているのか、疑問になる。

結論

「J SPORTS実況内のお喋りは、スルーしましょう」

・・今更の話であるが。

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ツールが終わった。
私は満足だ。

だって、前回、1年前のツールには、彼は出場さえしていなかった。
今年は、3週間、彼はそこにいた。

無事にパリに着いた。
調子は、悪いときもあったけれど、いいときもあった。

第20ステージ、最後の超級山岳セムノスを、気持ちよく登って、終えることができた。

セムノスで、調子は悪くなかった。
中継映像で、早々に遅れた姿が映ったが、あれは、モンフォールをアシストしていたからだった。
レース後、モンフォールが、何度も礼を繰り返すので、もういいよと止めねばならなかったよ、彼は、今までずっと僕を助けてくれた、(僕が助けるのは)普通のことでしょ。そう彼は言った。

モンフォールは感謝を直接伝えるだけでは足らず、ツイートにも書いた。

Maxime Monfort ‏@maxmonfort 7月20日
Thanks to a real friend @andy_schleck for the great support in the last climb while I was in a bad day #highclass


私の想像だが、これは、チームの指示ではなかったのではないだろうか。
モンフォールは、第20ステージスタート前にチーム内でGC最上位だったが、15位という順位は、積極的に守るほどの価値はない数字ではなかったか。
今日が最終日、調子がよい選手は、どんどん行く、というのがレース前のチームの作戦で、モンフォールのためにあえてアシスト役をつけることはしなかったのでは。
まして、アンディに対しては、行かれるだけ行って上位を目指せ、という指示だったのでは。

アンディが、自分の判断で、傍にとどまって、苦しんでいる自分を助けて、総合順位を守らせてくれたから、モンフォールは、しつこいくらい感謝をしたのではないだろうか。
最終順位は、一つ上げて14位。キャリアで最上位。(昨年は16位)

そういう形でツールを終えて、アンディは、本人の語る通り、満足だったろうと思う。

Andy Schleck: «Le futur est devant moi» (Le Quotidien 7/22)

このインタビューの中で、この後のスケジュールは、USA Pro Challenge(8/19-25)であること、トレックと契約したこと、キム・アンデルセンも残ること、等を公にしている。

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TdF第20ステージ進行中で、フォイクトが爆走中だが。

ルクスメディアが一斉に報じた。要点をまとめると、

・RSLT現オーナー、ベッカが、TdF現地に来て、第20ステージスタート前に喋る。
・アンディとフランクは、来季、トレックで走る。昨夜、サインをした。
・ベッカは、今季の残りについて、フランクにオファーを出した。返答はまだ。
・確認を取りに行ったメディアに対し、フランクは、数日中にアナウンスが出る、と返答。

取り急ぎ、以上。

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●悦び

何が心配だったといって、危険だと専らの評判だったサレンヌからの下り。
2回のラルプ・デュエズへの登りより、こっちの方が圧倒的な大問題。

前日から雨の予報。
路面がちょっとでも濡れたら、彼が転がり落ちる事態は覚悟しておいた方がいい。
へっぴり腰でプロトンから千切れても、怪我しないでゴールに辿り着けたら感謝。

という心積もりで臨んだので、まず、雨にならなかった幸運に、心底感謝。
降ったら、楽しむなぞ論外、冷や汗流しながら視聴する羽目になっていた。

そして、彼が下り始めて、「あーれー?」

普通に下ってる。
遅れてない。
下りは、毎回、最後尾で、離れかかる・離れる、の状態だったのに。
ローテーションで前に出てる。

下れるようになった?

そうか。
戻ったのか。

2011年5月のジロの前まで、ドライの下りは、「ひどい」レベルではなかった。
フランクよりもよく、「中の中か中の下」程度のレベル。
2009・2010年TdFでそうだった。

あの頃に、戻った?


登りの力は、戻っていない。
でも、易しい登りでも遅れていた、TdFスタート前の状態からは、ずっといい。

何より、今の彼は、自転車に乗ることを楽しんでいるようにみえる。
レースをすることに悦びを感じているようにみえる。
そう認めることができたから、よい。

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●想定外

「こんないい出来のTTを、私はいまだかつて見たことない。過去5年間でベスト」と思ったら、それどころでなかった。
本人曰く、「ジュニア時代以来」だそうで。

中間計測を見ながら、「最初とばしすぎて、後半失速するのは2010年にやってる」
「最後があの下りだから、けっこう失う。バイクも替えてないし」
と、全然信用せず、フィニッシュ時の「3」という「ありえない」順位に、目が点。
「機械が壊れてるんじゃないか」とすら思った。

なによりかにより、よく、下れたなあ~~
雨が降り出したのを見たとき、此方は、こりゃダメだ、と思った。
「濡れた下り」は元々苦手。
今や、下りは、ドライでもまったくダメ、濡れたら完全終了・・のはずだったから。

予想外に出来がいいと、あとで陽性出すのでは、とネガティブ発想が出るのが通常だが、下りは、ドーピングやったからといって、速くなるものではないような。
一体なんだったんだろう。
明日から山岳ステージを控えていることを思えば、本人の意識として特段にリスクを負ったとも思えない。

実は、本人も、なぜ出来がよかったのか判ってなかったりして。
ヴァントゥーでのボロボロを、何が起こったか判らないと言ったが、本当かも・・
本人が、理由を判っていた方がいいのだが、判ってなくても別にいいか、それはそれで。

●去就

最新の有力説は、トレック。
グエルチレーナが、「兄弟にオファーを出している」とメディアに、繰り返し、喋っているため。
彼のこの発言は、Leopard SAによるフランクの解雇発表前から伝えられたもので、以降も変更なく、そのまま直近まで継続状態。

彼が、うち(トレック)は兄弟をキープしたい、とはっきり公然と喋るので、Tageblattも「トレックはフランクを切る」説をひっこめた。
しかし、自分の誤報を認めたくないのか、アスタナ説を併記する。
アスタナは、MPCCのメンバーで、ドーピングで半年以上出場停止になった選手を雇用しないというルールを尊重すると言っているが、破ることは可能だという説明。
Le Quotidienは、トレックへの回答期限が7/18、という説を書いた。

尚、トレックのGMは、グエルチレーナらしい。他から任用するのでは、という自分の思いつきは外れ。

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TdF第15ステージを終えて、cyclowiredが面白いデータを載せた。

21世紀(2000〜2013年)のモンヴァントゥー歴代最速記録トップ10
(15.65 km、平均勾配8.74%、標高差1368m)非公式記録含む

1位 ランス・アームストロング 48:33 (2002年)※記録剥奪
2位 クリス・フルーム 48:35(2013年)
3位 アンディ・シュレク 48.57 (2009年)
4位 アルベルト・コンタドール (2009年)※シュレクと同時ゴール
5位 ランス・アームストロング 49:00(2009年)※記録剥奪
6位 マルコ・パンターニ 49:01(2000年)
7位 ランス・アームストロング 49:01(2000年)※パンターニと同時ゴール ※記録剥奪
8位 フランク・シュレク 49:02(2009年)
9位 ナイロ・クインターナ 49:04 (2013)
10位 ロマン・クロイツィゲル 49:05 (2009年)

20世紀以前トップ2
イバン・マヨ 45:47(2002年ドーフィネ・リベレ)
マルコ・パンターニ 46:00(1994年ツール・ド・フランス)

区間計測タイムは「21世紀で最速・歴代3位」灼熱のモンヴァントゥーを駆け上がったフルーム


・フルームの記録

2002年のランスより2秒しか遅れてないって。
まずいでしょ。
誰がどうみたって、まずいわなー。
2002年は、ランスも誰も彼もドーピングをガンガンにやっていた時代であることが、今や白日の下に晒されているのだから。

私は、真剣につっこむ気はなく、ほっておくが。
(簡単にいうと、「丸ごと無視」)

私自身は、第8ステージで、「2009年のコンタドールみたい」と思った。
これが、「時の流れ」か。
あの頃は、この先数年間、コンタドールが君臨する時代になるのだろう、と思ったものだが。
変化のスピードは速い。
そういうことを思った。

・2009年

上記の件より注目したのが、「歴代3位」記録である。

あちゃ。そうなの。
いや、どこぞで、出力ワット数がヤバいゾーンであるというデータは見たけど。
まずい数値なんだよな、やっぱり。
そもそも、ランスがクロなんだから、彼より速く走った皆さん方もシロなわけが・・

でも、フルームよりは遅いのか。
22秒ねえ。
うーむ。どう考えたらいいんだろう?

録画を見直してみた。

残り13kmから、兄弟が交互にアタックを繰り出す。
少しすると、攻撃するのは専らアンディ。
でも、コンタドールがついてくる。
暫くするとペースを落とす。
それで、いったん離れた集団が戻ってくる。
その繰り返し。

ペースの上げ下げが激しい。
それで、総合計でみればペースはあまり速くなかった、という印象があった。
ぎりぎりまでけっこうな人数がついてきたし、逃げにも追いつかなかった。



難しい問題は横において、このときのアンディは素敵だった。
今見ても素敵だ。

前年と同じように、兄を引き連れて、前を走る。
誰かの後ろにへばりつくことはしない。前に立って、風を受けて、集団を牽く。

ライバルたちを引きちぎることはできない。それだけの力は持っていないから。
それでもよかった。
「勝負に勝つために」誰かのうしろにへばりついてクイーンステージの山を登ることはしない。
そういう姿がいいと思った。

それ以上を期待しなかった。
勝つことを要求しなかった。

顔も、いい表情をしていた。
私がいいと思って不思議ない。
録画を見て、そう思った。

・思い出したこと~トニー・マルティン

このときのステージ優勝者はガラテだが、彼と一緒に逃げ、僅差で負けたのが、トニー・マルティンだった。
これだけ登れたので、当時は、総合で上位を目指す選手になるのだろうと思っていた。
ところが、その後、TTに特化して、今やファビアンを継ぐTT世界王者に。
一番、「意外」な展開を辿った選手かも。

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TdFは一回目の休養日。

・・「少し前なら、みんな、この日に血液ドーピングするのよねー」というシニカルな台詞が軽く飛び出す。
USADA報告書と「シークレット・レース」を読むと、「休養日の検査で陽性が出た」と聞いたら、「内側の人々」は、偶発的な汚染事故だとは思いもしないことに、腹の底から納得することができる。
(「へまをしたな」と思うのが「常識」)


●オファーは

現在、シュレク兄弟に対するトレックの態度として、複数の説(憶測)が流れている。

1.トレックは、兄弟に、給料の大幅減額の条件で、2014年のオファーを出している。(cyclingnews、Le Quotidien、Blick)
2.トレックは、アンディだけにオファーを出す(出している)。(Tageblatt)
3.トレックは、兄弟2人とも放出する意向。(Jスポ実況内でのお喋り)

トレックの買収と方針について「最初に」報道したのはTageblattで、RSLTは出場停止明けのフランクを走らせない、という「他は書かなかった」話を書いたのも、ここである。
とすると、ここの情報源が確かで、「トレックのオファーはアンディだけ」も事実、という「類推」が可能。

他方、Blickは、ファビアンの契約を正式発表前に報道し、その中の一項目として、シュレク兄弟が残るためには給料の大幅カットを呑まなければならないので、残るかどうかは未定という旨を書いた。
兄弟の件を除いた箇所が正式発表と一致し、間違いを書かなかったので、兄弟に関する箇所も事実、という「類推」が可能。

上2つは、「情報源」を明らかにしていないが、cyclingnewsは、明かした。
トレック残留が発表済のGMのグエルチレーナである。

cyclingnewsは、グエルチレーナから、Blickの報道と同じ内容を聞いた。
グエルチレーナが「兄弟にオファーを出した」と喋った、という認識に立った記事を、今日まで作ってきている。

Le Quotidienは、cyclingnewsとBlickから遅れて、「兄弟に対する給料3分の1でのオファー」説を書いた。情報源は明かしていない。

3つのシナリオは、どれも、「それはありえないと消去する」明確な根拠はない。どれもありえる。

念のため付記すると、フランクに対して契約せずを通告したのは、Leopard SAであり、トレックではない。
世間には、両者を一緒くたにしている人がいるが、両者は別個の組織である。
「Leopard SAがフランクを放逐したこと」は、イコール「トレックが来季フランクと契約しない決定」ではない。

他チームの可能性について。
レキップとHet Nieuwsbladが、アスタナがオファーを出したと断定して書き、アスタナが速攻で否定コメントを出した。

こうやって、メディアが「敢えて創作を書く」と、実際は無関心のチームはさっさと否定し、結果、事実が判っていく。メディアの常套手段である。



●トレックのマネージメント

私の頭に浮かんだ、ある件を記しておく。
トレックは、来季のチームのマネージメントを、誰に任せるつもりなのだろう。

先日のリリースで、現在のRSLTの体制を維持する方向で、GMのグエルチレーナを残す、と記したので、多数の読み手が、彼がそのままGMと思っているふしがあるが、そうだろうか。

そもそもグエルチレーナは、昨秋ブリュイネールがいなくなった後、スポーティング・ディレクターから内部昇格して、いわばリリーフで、今季の実務を引き継いだだけの人物といっていい。
チーム運営をした経験もなければ、自分から望んで役に就いたわけでもない。

自分の思うところでは、チームの成功の成否は、マネージメントにかかっている。
そのことは、スカイとグリーンエッジを見ると、よくわかる。この両チームのマネージメントを担うのは、国の自転車連盟の責任者という実績、力量、人脈を持つ人物だ。

ガーミンを率いるジョナサン・ヴォーターズは、タイラー・ハミルトンにいわせると「天才級の頭脳の持ち主」だそうだ。
「ビル・ゲイツが自転車選手だったら、ジョナサンみたいになっていたはずだ」という喩えを読んだとき、私はしばし固まってしまった。(それともこれは皮肉?)

私がトレックの立場なら、新チームの運営は、チームを動かす経験を持ち、力量があると評価する人物に任せる。

レオパードが、ゴタゴタの末に3年で消滅することになった原因は複数挙げられるが、第一は、「チームマネージメントのできる人物を欠いて(頭脳なしで、手足だけで)発足した」ことだと思う。

最終的にGMに就いたニガードは、広報の経験しか持たない人物だった。
差し替えたブリュイネールは、GMをやるレベルはクリアしていたが、過去の行いのために自転車界にいられなくなった。

過去2年の失敗を見たなら、トレックは今度は、「チームの舵を取る人物を慎重に選択」するのではないだろうか?

グエルチレーナは、元々ファビアン担当ディレクターで、昨秋の昇格時に、今までと同じように現場で傍にいてほしいんだけど、というファビアンの発言が報じられた。
だから、ファビアンの要望で、チームに残るのではないか、というのが私の想像。

優れたチーム運営の実績があって、現在その役にない人物は、存在する。
昨年のUSADAの大攻勢以来、トレックには将来の戦略を思案・検討する時間がたっぷりあったので、しかるべき結論に達しているのではないだろうか。

この想像は間違っているかもしれぬが、もし、トレックがマネージネントを抜本的に新たに構築しないとしたなら、このチームの将来には引き続き不安を覚える。

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事態が動く。
Leopard SAが、出場停止期間の終了(7/14)を前に、フランクを切るアナウンス。

実は、今季の残りについては、自分の頭から抜け落ちていた。
TdF期間中に発表はない、と思い込み、おかげで不意打ち。

Fränk Schleck: "Je ne comprends pas cette décision"(wort.lu/fr)
Cyclisme: Presque un an après, Frank Schleck limogé(Le Quotidien)

不意打ちを食らったのは、私だけではない。フランクも、寝耳に水だった。
彼いわく、昨年の事件勃発以来、チームはずっとサポートしてくれていた、コンタクトを定期的にとっていて、コンディションを尋ねられ、出場停止明けのレースプログラムも送ってもらっていた、チームのトレーニングキャンプにも参加していた、のだそうだ。
だから、RSLTに残れると疑わず、他チームと交渉などは全くしていない、と。(本人の主張)

この発言から状況を推測すると、兄弟は「自分たちは契約が残っているから、トレックが買収してもそのまま残る」とのんきに構えていて、いきなり冷や水をぶっかけられた、どころでなく、叩き出された、ような。

あ~らら。

ベッカがどういう思惑でこういうことをしたのか、彼の腹は大体想像できる。
警戒して対処しなかったシュレク家が甘すぎる。相手は、今までさんざん揉めまくった、「金のトラブルのデパート」なのに。・・が此方の感想。

対して、腹の中がまだ判らないのが、トレック。
これから段々情報が出てきて、いずれ判断がつくようになるだろう。



この兄弟の本質をいまだに理解していない世間の人々を見ると、どこかしら愉快な気分が湧き起こる。

こうなったら、アンディは、持論を撤回せず、フランクと一緒に走れるチームと契約できなかったときは、フランクと一緒にあっさり引退しましょう!
そのとき、「え?本気なの?」と人々が目を白黒する光景が面白そう。

こういうことをしゃあしゃあと書けるのは、私も長い間、彼等を理解できず、不平不満や要求をあれこれ言ってきたからだ。
ぐちゃぐちゃ過ごした果てに、ようやく悟りの境地に至ったから、至っていない人のことはよく判る。

私は彼等を、「2人で1人分という奇天烈な属性を持つ生物」と書いた。
今季のTdFが始まる前に、これがTdFでアンディを見る最後になる可能性を想定している。
だから、Jスポを契約した)、



僕たちの時代のサイクリストには、こんなモットーが似合うーー遅かれ早かれ、誰もがつかまる。
この言葉は現実のものになる。なぜならそれは真実だからだ。

ロベルト・エラスーー2005年
ヤン・ウルリッヒーー2006年
イヴァン・バッソーー2006年
ホセバ・ベロキーー2006年
フロイド・ランディスーー2006年
アレクサンドル・ヴィノクロフーー2007年
イバン・マヨーー2007年
アルベルト・コンタドールーー2010年

陽性反応が出た選手は他にも大勢いる。
検査官が急にアインシュタインのような天才になったのではない。
たしかに検査は進歩する。
だが、選手が最終的につかまってしまう理由は、むしろ時間と関係しているのだと思う。
かくれんぼも延々と続けていれば、へまをしてしまったり、ばったり相手に見つかってしまう確率が高まるのと同じことだ。
長くゲームをプレーするほど、つかまりやすくなる。

つかまるのは、ある意味で避けられないことだった。
おそらく、それは初めからわかっていたことなのかもしれない。
僕は、そのときが近づいているのを自覚しておくべきだった。
だけどそれが運命の面白いところなのだろう。
結局、そのときはいつも驚きと共に訪れる。

シークレット・レース」(p394~395)


この箇所を2012年8月以降に改訂したなら、リストの最後に、一行付け加えるだろう。
フランク・シュレクーー2012年、と。

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昨日の話のつづき。
この際、自分の思うことを。

シュレク兄弟は、現時点では去就をまだ確定していないのではないだろうか。

そういう気がする理由をつらつら書くと、

トレックが兄弟に対して出した条件は、兄弟にとって、多分、けっこう厳しい。
問題は、Blickが書いた「給料」だけではない。
むしろそれより大きいのは、「レースをする環境」では。

チームの方針は、ファビアンがリーダーで、彼のためのクラシックに重点を置く。
シュレク兄弟は脇役。TdFの総合を目指す体制に力は入れないし、兄弟2人をTdFに出場させる約束もしない。

彼等がそういう立場になったのは、不運ではなく、彼等自身が招いたことだから、しょうがないよな、と思う。
2011年TdFで、彼等は、「総合優勝を達成するための最大限の努力」をしなかった。
その代わりに、「兄弟2人が表彰台に上がる」ことを選んだ。

スポンサーやチームオーナーが望むのは、勝利だ。2位ではない。
勝利を目指さない選手など、彼等にとっては価値がない。
多額のギャラとチーム全体のサポートを受ける以上は、それに見合う結果をチームに持って帰れ。
エースの責任を果たせ。それができぬ選手は要らない。
そう考えるのは理不尽とはいえまい。

今、シュレク兄弟やトレックが実際にどう考えているのか、勿論自分には判らないけれど、こんなふうに思う。

兄弟は、今年春の時点で、「キャリア最低」の状態に落ち込んだ。
フランクはドーピング有罪で出場停止処分を受け、アンディは戦闘力を失った。
輝かしい栄光は過去のもので、もはや、引く手あまたでちやほやされる身分ではない。

彼等は、その現実にしっかり向き合って、「何を取り、何を捨てる(諦める)か」を選択する局面ではないか。

去就が確定はしていないのでは、と自分が思ったのは、現在進行中のTdFでのアンディの出来が、影響を及ぼすから。
もしも、アンディが戦闘力を取り戻したことを示したら、商品価値が上がり、チームに対して条件のアップ要求が可能になるだろう。他チームからの引きあいも望める。

アンディが腹の中でそれを自覚して、今まで出したことのない根性を出すことを、あてにはしないが、もしかしたら「尻に火がついた」というか、危機感で、頑張らないかしら?
いや。「人間の本性は簡単に変わらない」ので、やっぱり、「ダメならダメで別にいいや」か。

Category :  自転車
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TdF第1ステージの翌日、「カンチェラーラ シュレク兄弟 不仲」というキーワードでのアクセスが複数。

原因は、栗村氏の実況中の発言であることに間違いない。
「カンチェラーラとシュレク兄弟の不仲というか、カンチェラーラがシュレク兄弟に嫌悪感を持っているということで、シュレク兄弟が残るなら、トレックを中心にするチームに残らないという報道もありますので、どうなっているかわかりませんけど」

この発言に私も、「知らんぞ、そんな話。どこだ、書いたの?ファビアン側に立った内容だから、スイスが元か?いつものBlick?それともレキップ本紙?」と探し回った。

しかし発見できなかったので、「アクセスしてきた皆さん、生憎私も知りません。待てない方は、栗村氏に直接、どこの報道か聞いて下さい。教えてくれるんじゃないですか?」と書こうかと思ってしまった。

腹の中では、「コルシカ現地で知り合いから聞いた話とか、そんなとこか?
内容が、他のメディアもとびつきたくなる代物だから、まともな情報源であれば、他メディアたちが引用する。このあとその動きがあるか、少し待つのが正解。

敢えて推測をするなら、ガセネタの確率が高いな。
トレックがRSLTの買収を発表したのは、ファビアンと正式契約したことを意味する、と解釈するのが妥当。
彼を確保できなかったら、買収する意味がない。トレックが欲しいのはファビアンで、いってみれば、チーム(RSLT)は彼にくっついてきた付属物。ファビアンが先にあって、チームはあと。
もし彼との交渉がまとまっていないなら、チーム買収を発表しまい。

シュレク兄弟を嫌悪、の部分は、正誤を判断する材料が現況何もない。事実であってほしくはないけど、否定する根拠もないので、棚上げ」

第2ステージ終了後、オーストリア一周に出場中のファビアンが、来季の去就を明日公表する、とツイート。
「栗村氏が見かけたどこかの報道を打ち消すためではないよな。偶然だよな」
「トレックの買収発表直後のグエルチレーナの発言の中に、選手については数日中に何かしら発表する、という意味か?と思った台詞があった。(velonews)
読み直したら、いや、そういう意味ではない?と解釈に迷って、自信がなかったが、最初の解釈が当たっていて、当初予定の日程通りのアナウンス?」
「アナウンスの内容は、100%、トレックとの契約。チーム離脱ではない。チームと一緒にレースに出ている最中に、わざわざ別離をアナウンスして、波風を立てる理由がない、という消去法」

翌日、トレックとの3年契約をアナウンス。
トレックもリリースを出す。

トレックの副社長のコメントとして、春のクラシックを目標とする、というくだりがある。TdF総合優勝を第一目標としていたレオパードとは、180度異なる方針のチームを作る、ということ。
トレックとしては、ランス・アームストロングとの関係を切った後、早く別のイメージを構築したいであろう。TdFからはひとまず手を引くのが得策なのは納得。

シュレク兄弟については、Blickが、ギャラの大幅カットを飲まねばならない、という話を書いた。
フランクは切られる、と書いたTageblattに比べたら「優しい」話。

「Blickがルクス紙より甘い話を書くとは珍しいこともあるな。
ドーピングで出場停止になったら、切られるのが当たり前で、給料減るだけで、残してもらえるなら、御の字じゃん。
兄弟揃ってUCIポイントはゼロなんだし、そもそも2010年に決めたギャラが身分不相応に高すぎるのよ。
3年分は貰ったんだから、来年分が3分の1になったって全然損じゃないわ。2人とも、4年の契約期間のうち実質的に丸々1年以上仕事してないんだからさあ」

兄弟は、Leopard SAと来年までの契約を持っているので、Leopard SAから権利を買い取ったトレックは、アンディに対しては、当初の契約を履行する義務がある。つまり、アンディは、契約上、ギャラの減額要求に応じる筋合いはない、はずだ。

しかし、ドーピングで有罪となったフランクに対しては、トレックはおそらく、契約を解除したければ、することが可能だ。
それを盾にとって、フランクと契約する代わりにアンディもギャラ減額を呑め、という兄弟セットでの交渉をトレックがした、という想像は可能。

cyclingnewsが、トレックが兄弟と交渉していると信頼できる筋からの情報がある、と本日付で書いた。

兄弟及びTdFに出場中の選手の去就は、TdFが終了するまで伏せられるのではないかと思う。
粛々と待とう。

(でも、Jスポ実況で「また」へんなガセネタを喋られたら、見過ごせずナンカ言うかも)

●リース

6/29に、デンマークのアンチドーピング機関のリースに対する追及は尻つぼみ、と書いたが、現在、調査が進んでいる旨の報道がされた。
前回と同じくまた尻つぼみになるのか違うのか、こちらの先行きも不明だが、要・注視。

調査対象がチームの活動した時代全般に及ぶと、此方にも火の粉がとんでくる。

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ツール・ド・フランス総合優勝を達成するために必要な能力

いいタイミングだから、ここで重要な問題への答えをのべておきたい。その問いとは、「この時代、ドーピングを使わずにプロの自転車レースで勝つのは可能だったのか?」「クリーンな選手は、エドガーを使う選手と戦えたのか?」
(注)エドガー:EPOの隠語。元はエドガー・アラン・ポー

その答えは「レースによる」だ。
短距離のレースや、一週間のステージレースであれば「イエス」と答えられる。僕は実際、パニアグア(ヘマトクリット値はわずか42)で走り、四日間のレースで勝ったことがある。同じような条件で、タイムトライアルでも勝った。他の選手も同じように勝っている。
(注)パニアグア:ドーピングなしを指す隠語

でもレースが一週間を超えると、クリーンな選手が勝つのは急に難しくなる。
長丁場のレースでは、エドガーのメリットが急激に高まるからだ。
レース期間が長引くほど、エドガーのメリットも大きくなる。
つまり、ツール・ド・フランスでは、エドガーは絶大な力を発揮する。

これは、生理学的なコストという考えで説明できる。大きな労力には(たとえばアルプスステージや、タイムトライアルで勝つこと)、大量のコストがかかる。つまり、大量のエネルギーを費やさなくてはならない。身体は疲弊し、ヘマトクリット値は低下する。テストステロンも減る。
エドガーと赤い卵がなければ、これらのコストは累積していく。エドガーと赤い卵をとれば、回復が促され、身体はバランスを取り戻し、翌日以降も同じレベルで走り続けやすくなる。

(注)赤い卵:テストステロン(男性ホルモンの一種)の薬剤の隠語。カプセルがそういう形に見えたことから。

ドーピングは、パフォーマンスを高める魔法の薬というよりも、疲労をできるだけ抑え、回復を促すことで選手の身体に作用しているのだ。


(注)と強調は、私が入れた。

上記の説明(主張)は、新奇なものではない。が、「一般人」に対する説明として、かなり出来がよい(説得力がある)もの、ではないかと思う。

この文章を作ったのは、正確には、ハミルトンではなく、ノンフィクション作家のダニエル・コイルである。
ハミルトンに対する長時間のインタビュー(60回以上)を元に、証言の裏をとるために多数の関係者にも取材をした上で、本書を書いた。
本文は、ハミルトンの一人称で書かれているが、まえがきで、コイルが本書の成立の経緯・背景をきちんと説明している。

コイルは、2005年に、ランス・アームストロングを題材にした本を出版した経歴を持つ。("Lance Armstrong's War"邦訳なし)
このとき彼は、ランス本人及び関係者たちに取材をしたが、ランスがクロと認定した描写はしなかったそうだ。
コイルにとっては、本書の上梓は、いわば彼自身の仕事の後始末であり、それがゆえに、読者に対して説得力・信頼性を持ったものに仕上がったのではないだろうか。

私は、上記の一節を読んだとき、別の書籍の文章をぱっと思い出した。
ツール・ド・ランス」の中の一節。
わざわざ引用して、ブログに書いたから、すぐ想起した。
2010/12/27 : 「ツール・ド・ランス」(2)~シューズを忘れるエース

今読み返すと、爆笑しそう。
確かに、「TdFの3週目に力を発揮すること」が、総合優勝するためには必須で、歴代のチャンピオンたちが備えていた能力である。
3週目にコンディションを保つこと、すなわち「消耗からの回復力の程度」が、マイヨ・ジョーヌの決め手になる。

「少なくとも」ランス・アームストロングに関しては、その驚異的な回復力は、生来の資質でも、合法的トレーニングによって得たものでもなく、フェラーリ医師の策定した綿密・周到な非合法のドーピングを用いたトレーニングによって獲得していたものであったことが、今や、はっきりした。

では、「ストリックランドがランスと並べて名を挙げた2人は??」が、当然に湧く設問である。

この設問は横に置いても、グラン・ツールの3週目の山岳で抜きん出た強さを発揮する選手を、「素晴らしい」と賞賛するのは、「ツール・ド・ランス」の著者や私のような「何も知らない外部の人間」で、ハミルトンを始めとする「内側の人々」は、「やってるんだろう」とみなす(疑ってかかる)ことは、十分に(十分すぎるくらい)、理解・納得をした。

関連:
2013/06/29 : 「シークレット・レース」読了
2013/05/13 : 「シークレット・レース」(タイラー・ハミルトン)

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