南の国の太陽、空の色の獅子

Category :  自転車
tag : 
11/29、ルクスで"Velomania 2011"の出版記念イベントが行われ、シュレク兄弟が登場。

LEOPARD TREKチーム公式サイトが記事にした。
Luxemburger WortRTLのコラボで、それぞれ記事を出している。
共にビデオ、写真付。

1年前を、思い起こす。
1年前の今の時期、新チームは、Luxembourg Pro Cycling Projectと呼ばれていた。
チーム名LEOPARD TREKは、年が明けてから発表された。タイトルスポンサーをみつけようとしたが叶わなかった結果であったことが、今でははっきりしている。

当時からメディア間にその解釈は存在していた。自分も、このチームの運営資金について疑問を残していたが、レースが本格的に始まったら、四六時中金の心配もしていられないので、棚上げにしていた。
それまでもずっと、金の心配のない境遇にいたことがないから(サクソバンクのスポンサー問題を延々抱えて過ごしていた)、慣れが生じて、一種の「油断」があった、ような気もする。

1年で潰えたチームを振り返ると、正直気が重くなってきて、なかなか筆が進まなかった。
昨日のイベントの光景を伝えるルクスの記事に、少し心が慰められた。
モンドルフの人々にとっては、「本質的なことは何も変わっていない」ことに気づいたから。
シュレク兄弟は、どこのチームで走ろうが、レースで勝とうが負けようが、おらが街のヒーロー。この街で生まれて、この街で育って、今もこの街に住んで、これからもずっとここにいる。だから応援する。

小さな小さな国のローカルな風景は、巨大都市に住む自分の目には、どこかお伽噺のような別世界だ。
情け容赦のない「グローバル」な世界に慣れていると、いつしか心がささくれだつ。「彼等が住んでいるのは、そういう場所じゃないんだよ」時々、そう立ち帰る。

「この水色のジャージ姿は今年限り。手に入るなら、この本、記念に欲しいよなあ」と思うくらいには、立ち直った。

●NHK
NHKが7月に放映したアンディのドキュメンタリーを、再放送するとのこと。
BS世界のドキュメンタリーを制作しているスタッフのブログのお知らせ

今年の夏、再放送のご要望を多数いただきました
「挑戦者アンディ・シュレク」の再放送がついに決まりました。

●ツール・ド・フランス2011 挑戦者 アンディ・シュレク
12月4日(日)午後7時~ BS1
*引き続き午後8時からは「ツール・ド・フランス2011」総集編も放送します。

NHKでこの作品を放送できるのはこれが最後になります。
夏に放送したときには、なでしこジャパンの大活躍などのため、
何度も放送時間が変更になってしまい、本当にご迷惑をおかけしました。
あのとき「見逃した!」とご連絡いただきました皆さま、
どうか、どうか、今回はお見逃しありませんように、お願いいたします。
私も今回こそ、放送時間の変更が起きないよう、心から祈っております。


そう、放映時間が、コロコロ変更になった。なでしこジャパンが相手じゃ仕方あるまいと思っていたが、初回のみならず、再放送も、なでしこのために時間が変更になったので、ありゃ?と見逃した(録画できなかった)人が出たのだろう。

スポンサーサイト
Category :  自転車
tag : 
・NHK教育TV「白熱教室JAPAN」小林傳司・科学技術社会論
日曜の午後6~7時という時間帯にTVを見ていることは通常ないので、番組の存在をずっと知らなかった。第2回(11/6)をたまたまみかけ、非常に面白くて、その後第4回(11/20)まで見た。
番組概要

「科学の領域の問題について専門家たちに意見を求めても、意見が分裂し、統一見解を得られない局面で、我々はどう対応すべきか?」というテーマは、とりもなおさず現在の原発を巡る問題にあてはまる。
番組内での討論に、思わず「自分も参加したい」、はたまた「阪大の大学院生はこうか」「理系の専門家の思考回路は我々文系の素人と根本的に異なる。それは肝に銘じるべき」「基本は、常に自分で勉強すること、そうするほかあるまいな」等、思考はあれこれの方向へ飛んだ。

「派生」で、別ジャンルで連想した件がある。
「コンタドールのドーピング事件も、この問題だ」

「彼の検体から検出されたクレンブテロールが、どこに由来するか」は、科学の領域の問題で、科学技術の専門家によって回答が得られるはずなのである。だが、彼等の間で意見が分裂し、そのことが、現在の未解決状態を生んでいる。

先週のCASのヒアリングを伝える記事を読んで、自分が最初に抱いた感想は、
「こんな問題に、多数の(一応)『科学の専門家』たちが時間を費やして、何の意味があるのか。今の世界では、もっと他にやるべきことがあるんじゃないの?」

「それを言ったらおしまい」であることは、承知している。しかし、「馬鹿馬鹿しいことをやっている」と思った。
私にそのように思わせたことは、コンタドールサイドの「ひたすら時間を稼ぐ」作戦が成功したことを意味するのかもしれない。
時間の経過と共に、人は関心を失っていく。不快を催す過去の話題に敢えて触れることを好まなくなる。
この解釈が正解かどうかは横においても、「過ぎたことに拘るのはやめて、先へ進みましょ」となるのは、人間の心理にありがちなのである。

「科学の不確実性」の観点に戻る。
刑事裁判においては、罪を立証する証拠に不確実性があった場合の判決には、世に広く知られたルールが存在する。
「疑わしきは被告人の利益に」の原則だ。
検察側が示した証拠に疑いがあることを弁護側が示せた場合は無罪になる。

「刑事事件における原則」をコンタドール事件に援用する人は、無罪が適切と判断するだろう。
しかし、これまで指摘した通り、コンタドール事件は「刑事事件ではない」。
彼が問われているのは、「世界ドーピング防止規程(WADA Code)」の違反である。
WADA Codeの原則は、「厳格責任」であり、いわば、刑事訴訟法とは逆に、「疑わしきは被告人の不利益に」といえる。

CASの機能は、刑事裁判ではなく、「仲裁」で、支配する法律の規定はない。すなわち、適用される原則が刑事裁判の原則か、WADA Codeの原則かの定めはなく、判断は、専ら、3人のパネルに委ねられる。


●今月読み終わった本
社会心理学入門」我妻洋(講談社/1987)
福島原発の真実」佐藤栄佐久(平凡社/2011)
原発社会からの離脱――自然エネルギーと共同体自治に向けて」宮台真司・飯田哲也(講談社/2011)
朽ちていった命―被曝治療83日間の記録」NHK「東海村臨界事故」取材班(新潮社/2006)
日本中枢の崩壊」古賀茂明(講談社/2011)
(読む順序は、ほとんど自分で選択していない。図書館に予約を入れて、回ってきた順)



【RadioShack-Nissan】
・ブリュイネールが、来週のキャンプで、毎日、情報を更新するつもり、と言っている。
・いまだプロチームのライセンスを取れていない、すなわち来季GT他ビッグレースに100%出場できる権利をまだ持っていないが、チームの誰も、意に介していない。

Category :  散歩
tag : 
東日本大震災で一旦中止になった「セガンティーニ」の東京展が、有り難いことに半年遅れで開催された。

損保ジャパン東郷青児美術館を訪れるのは初めてである。
ここの目玉はゴッホの「ひまわり」で、セザンヌ、ルノワールも持っているが、このあたりに現在の自分は興味がない。東郷青児にも興味がないので、今まで機会がなかった。

所在地は、西新宿の超高層ビル群のひとつ損保ジャパン本社ビルの42階。
直通EVで上がり、歩を進めると、展示室の手前に展望ロビーがあり、窓の外に広がる眺望に目を奪われ、見入ってしまった。展覧会そっちのけで。

高層階からの眺望を誇るロビーを持つ美術館といえば、皇居に面した帝劇ビル最上階にある出光美術館、と今まで思っていた。
出光といい勝負どころではなく、こちらが優る。

RIMG2772_convert_20111126114111.jpg


最初に目にとびこんできたのが、新宿御苑の緑。これで方角がすぐ分かった。
新宿御苑の向こうに、東京タワー。眼下に、JR新宿駅、京王百貨店。

写真は、視界の右端にある(方角でいうと南側)独創的な外観のモード学園コクーンタワーを「敢えて」写しこんだもので、ロビー真正面の南東方面には超高層ビルがなく、バッカリと空間が開けて、大都会・東京が広がる。

窓辺に、「著名な建物等の名称を示した案内写真」が設置してあった。
見ると、「迎賓館」。目を上げ、「あら、ほんと」
ということは、と周辺に視線を動かす。神宮球場だ、うわ、絵画館。すごいな、はっきり見える。
裸眼でこれだけ見えるのでは、望遠鏡があったら、どれだけ見えるやら。

案内写真は2枚あった。移動して2枚目を見ると「東京スカイツリー」の名称。
そうか。首を左へ向け、北方向を見遣れば、聳えるは確かにスカイツリー。
スカイツリーは最新の名所だが、自分がさほど有り難がらないのは、自宅の玄関前から毎日見えるからである。しかし、「東京スカイツリーと東京タワーをいちどきに眺望できる」と、いい気分になる。
(自宅玄関前もそうではあるのだが、東京タワーは距離が遠くて小さく、スカイツリーが圧倒的に大きくて、バランスがとれていない)

正面の遠方に、「幕張」。
幕張まで見えるの?・・ほんとだ。

自分のテンションが上がるのは、近年、都内の地理の知識を蓄え、頭の中で地図を思い浮かべて、「あそこと判る」所が増えたからに相違ない。
山がなく、緑も少なく、だだっぴろい平面で、街並みには統一された色も形状もなく、風景として純粋に「美しい」と呼べるものではないから、「認識できるもの」が多くなければ、それほどは楽しめないだろうと思う。

新宿超高層ビル群には、展望ロビーを持つものが複数あり、行ってみようと思いつつ、先送りし、今回が初めてだった。
今日、損保ジャパンビルから眺めて、「他のビルは方角が違い、見え方が違うだろうから、他もぜひ行きたい」と思った。

空気が澄んで、遠くまでみえる冬がよい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

展覧会を見た後、新宿御苑へ向かった。

展望ロビーから見えた、赤・黄・緑のグラデーションに惹かれた。
とりわけ、黄金に色づいた正門前のプラタナスの並木がくっきり見えたので、行きたかった。

RIMG2773+(2)_convert_20111126131022.jpg


写真左、コクーンタワーの右側に聳えるのが損保ジャパン本社ビル。

プラタナス並木は、傍に行ってみると、期待したような美しさを、私に感じさせなかった。
私の感覚に沿ったのは、形を整えたフランス庭園のプラタナスよりも、自然観察用の雑然とした森の近くの、大きく枝を広げたプラタナスの巨木であり、燃えるような赤色のラクウショウの巨木だった。
「メタセコイア?みたいにみえるけど、こんなに赤くなる?」と近づくと、案内板で、似ているが違う、ラクウショウ(落羽松)という樹と知った。

新宿御苑のみどころについての知識は、今までほとんど持っていなかった。
帰りがけにインフォメーションセンターに立ち寄ってみると、紅葉のみどころを紹介した展示を行っていた。
しまった、先に見ておけばよかったか、と、ちらと思ったが、内容を読むと、ほとんど目を止めて、見逃してはいなかった。
ユリノキも、カツラも、気付いた。
帰宅後確認すると、ブログでも詳細な情報を発信している。

Category :  自転車
tag : 
●フランクのインタビュー

元記事:F. Schleck : « Nous ne ferons pas le Giro »(velochrono.fr 11/18)
紹介記事:
Fränk Schleck: ”Andy and I will not be riding the Giro”(velonation 11/18)
No Giro d'Italia for the Schleck brothers(cyclingnews 11/18)

まるで「F1のチーム公式リリース」みたいな、「ネガティブなことは一切言わない」インタビュー。
・「アンディは、来年のツールのコースでは勝ち目がないから、ジロに出た方がいい。いまだグランツール未勝利なのだから、取れるものを取るべき」という、コース発表当日から延々世間に流布している意見の却下を明言。
(「おおまじめ」にジロを推奨する人がいるが、アンディのファンだと、本人とチームは「考慮の余地が皆無」であることを露ほども疑わない)
・TTの向上に励む。
・来季スケジュールは、世界選を加える。それと、スイスをやめてドーフィネにする。ツールのためにはその方がよさそうだから。確定したとは言っていないが、おそらくそのつもりだろう。

●アンディのスピード違反

ネタにもならないと思うが、ルクスの各メディアは「一面」に載せた。カテゴリーはスポーツでなく社会面。
スピードは101km/h。罰金350ユーロ+免停1ヵ月。
Fahrverbot für Andy Schleck gefordert (Luxemburger Wort 11/17)
Fahrverbot-fuer-Andy-Schleck (Tageblatt 11/18)

●ポポヴィッチ

ブリュイネールが、自身のブログで、チーム・レディオシャックの選手のファン投票を開催し、このほど結果を発表した。
(このアワードには、なんだそりゃ、となった。始めて3年目だそうだが、レディオシャックについては全く知らなかったので、物珍しいものが次々出てくる。来年1年はこの調子が続くのかも)

今年度の結果
Most Valuable Domestique - Yaroslav Popovych
Most Impressive Performance - Chris Horner at the Amgen Tour of California
Best Young Rider - Ben King
Best Tweeter - Levi Leipheimer

4人のウィナーのインタビューを掲載しており、合流の確認が今までとれていなかったポポヴィッチの確認が取れた。
RTLの10/13のリストにあり、99.9%信用していたが。
あのリストを見た日に自分が愕然としたひとつはパヴェ班のクレンメの離脱で、もうひとつが、ポポヴィッチが入っていたことだった。

そんな私を宥めるのか、不安を呼び起こすのか、ポポヴィッチはこういう発言をしている。
Q:2012年の個人的な目標は?
A:カンチェラーラと、クラシックを全部共にしたい。パヴェのレースを全部。フランドル、パリールーベ。パリールーベをうまくやりたいと本当に思ってるんだ。僕はパヴェが好きだし、いつもいい感じでいける。パンクや落車がなければ、いいリザルトを出せるし、カンチェラーラを助けることもできると思うよ。その後、ツールの準備に集中したい。
Most Valuable Domestique - Yaroslav Popovych

2010年ツール第3ステージのパヴェで、ランスをアシストしていたことを覚えているし、彼の意志に疑いを持っているのではないが、じゃあ戦力になると信用するかというと、YESの返答は口ごもる。
パリールーベ要員とみられるのは、他にギャロパン、ルールストン。
・・「ファビアンのアシストをどうにかしろ!」の件は、これ以上ぐだぐだ言っても始まらない。運を天にまかせよう、と腹を括ろう・・

●アンディのパートナー

1年前のオフに実家を出て、アパートに引っ越したとき、身の回りのことを自分でやれると思えないので、お母さんが通ってきてくれるか(所在地は実家から500m、フランクの家から200m)、もしくは、他にやってくれる人のあてがあるのかも、と思った。
フグルサングが階下に越してきたので、あれ、違った?となったが、あっていたのかもしれない。

彼は今年まで、レースやパーティー等の「公式の場」に連れてくるパートナーを持っていなかった。
パートナーを連れてきた最初が、今年の国内選手権。←訂正。ルクスで行ったツールのチーム・プレゼンテーション(ここに記している
地元RTLが、名前入りで、しっかり報じた。
このときの様子が、フランク一家と並んで、すでに「シュレク家の一員」みたいにみえるので、「将来を約束」しているのかもなあ、と思った。
以降、ツール、キュラソー、ずっと連れ立っている。フランクがマルティーヌさんと結婚前の数年間していたのと同じように。
久々に、彼女(Jil Delvaux嬢)のツイッターを見に行ったら、今月こんなツイートがあった。

@JilXuav
Jil Xuavled
has got the very best ¨sister in law¨ @MartineSchmid
11月9日 webから

Category :  自転車
tag : 
先週の報道をまとめて。

●フォイクトのインタビュー

Jens Voigt Interview Part I: The Tour de France is still my dream (velonation 11/7)
Jens Voigt Interview Part II: Staying young and enthusiastic at 40 years of age (velonation 11/8)
記事内にあるProcycling誌のインタビューの一部はradsport-news.comが紹介している。
Voigt: "Hungrig wie ein Grizzly nach dem Winterschlaf"(radsport-news.com 10/20)

チームのライセンス問題。
1回目に通らなかった理由は、「時間が足りなくて、必要書類をすべて揃えるのに間に合わなかった」ことだろう、という推測を述べている。
説得力がある。8月末にリークされたとき、未解決の問題が複数あった。メルセデスは、複数年契約している、と声明を出した。解除する必要のある契約と、新たに結ぶ必要のある契約、両方があって、UCIの書類提出期限までには確かに日数が少なかった。

合併に関して。
最大の問題は、「仕事を失う人々を生むこと」だったが、彼の理解している限りでは、全員仕事を確保した、すなわち解決した、と主張している。

●ファビアンのインタビュー

Fabian Cancellara : « Je ne suis pas un extraterrestre » (Cyclism'Actu 11/9)
Fabian Cancellara in "De laatste show"(11/9)

●写真

TDWのキュラソーでの写真
兄弟を並べて、「はい、こういうポーズとって、こっち向いて~」
昨年も同じコンセプトのシリーズを撮っているが、もう止めといた方がいいと思う。若い頃はよかったけれど、アンディが子供でなくなった今はもう、という意味。
カップル2組
サムネイルページ
気付いたこと。
ブリュネットのフランクが選んだのはブロンドで、ブロンドのアンディが選んだのはブリュネット。
(ついでにいうと、アンディの家に一緒に住んでいるブロンドのフグルサングが選んだのはブロンド)

●契約のアナウンス

Bennett to link up with RadioShack-Nissan-Trek (cyclingnews 11/11)
George Bennett announces he is going pro (roadcycling.co.nz 11/11)
Rohregger to RadioShack-Nissan in 2012(cyclingnews 11/11)
RTLの報道通り。

Wegmann: "Garmin ist ein Weltklasseteam" (radsport-news 11/9)

Category :  自転車
tag : 
クリス・アンケル・ソレンセンの09年ツール日記には、面白い記述が複数あって、紹介しようと思いつつ先延ばしになっていた。
これ以上延ばすと、09年に何があったか忘れられそうなので、今のうちに。

・ファビアン

ファビアンは、元気のあるとき、「とてもとてもうるさい」(すごく強調)。
消耗して元気のないときは、一転して静かになる。判りやすいことこの上ない。

彼の出す音を「シュノーケル」とは、オグレディも言った喩え。知ってしまえば「こういう人」で済むが、初めて一緒になったときは、「なんだこりゃ?」になる、らしい。

・第3ステージ

横風分断が起こり、色々な話題を振りまいたステージ。
リースが選手たちに無線で伝えたときは、「遅すぎた」。
周知の通り、マイヨ・ジョーヌを着ていたファビアンは、元々比較的プロトン前方にいたことと、持ち前の圧倒的な独走力で、大急ぎで前へあがってゆき、ぎりぎりで前集団に滑り込んだが、彼以外は全員、後方集団に残された。

前を追っている間、メンバーたちは、「パニック状態」だったという。
リースが、無線で、何か聞いても、誰も、返事をしない。必死で、余裕が全然ないから。
返事がないから、リースは繰り返す。
何度目かに、誰かが一言いった。「ビャルヌ、悪いけど、今忙しいんだ」
この科白を発したのが誰か確信はないらしいのだが、「フォイクト」じゃないかと書いている。(「フォイクトさん、素敵」となる話)

「人生でこんなに疲れたことはない」。
この日、クリスは、翌日のチームTTのために体力温存したかったが、レースの序盤・中盤、オーダーで、何度もフロントに出て仕事しなければならなかった。そのため既に消耗していたところにこれが起こったのでヘロヘロになったそうだ。

レース後に、リースがインタビューで自分等選手を批判するのを聞き、不満を感じた旨を記している。
TVでは外側しか見えなかったが、あのとき、チーム・サクソバンクでは、そういうことが起こっていたのであった。

・第4ステージ

チームTTのやり方について説明をしている。
事前に、様々なことを細かく決める。
例えば、パンクが起こったときの対処。アンディがパンクしたら、ファビアン1人が止まり、残りのメンバーは走り続ける。ファビアンがアンディを連れて戻る、という手順。
調子の悪い(力の低い)メンバーを列の中に置く。プランでは、ニキとアルヴェセンだった。

走り始めたら、オグレディ、次にフランクが悪く、プランを変更して差し替えた。
ニキが、ある所でフランクをプッシュした。審判にみつかったら罰せられるが、そのくらいフランクが悪かった。

このように、レース中、そのときどきの状態に対応して走るため、チームカーが、常に指示を出す。
(この箇所を読んだとき、無線廃止が実施されたら、チームTTが一番影響を受けるのでは、と思った。
後ろで誰かがトラブルで離れても、先頭をひく人が気づかず、置いていく危険がある。
互いに気を配って走るようにせざるをえないか、もしくは、後ろについたチームカーが、ものすごく性能のいい拡声器を装備して、騒音公害と苦情がくるくらいどなりまくるとか。いずれにせよ、速く走ることに専念できず、タイムが落ちそう)

ラスト10kmで勝負するのが作戦だった。平坦だから、ファビアンが力を発揮できる。
それで、中間計測では、マイヨ・ジョーヌがランスに移りそう、というのがパアになったのであった。

尚、クリスは、アスタナのゴールシーンをホテルのTVで見て、「ライプハイマーが最後のコーナーを回るのが下手で、マイヨ・ジョーヌを失った」と解釈している。

クリスは、TTが得意ではないから、このステージの前には、「ものすごく」緊張していたのだそうだ。
ローテーションで先頭に立ったとき、コーナーは、先頭のライン取りによってタイムロスが決まる。先頭が下手だとみなに迷惑をかける。
チームTTという種目が、TTが得意でない選手には負担が極めて大きいことはかねてから聞いていたが、具体的な話が面白かった。

・第12ステージ

前日アルヴェセンが落車で鎖骨骨折し、その後、リースの機嫌が悪くなった。シュレク兄弟は、リースに近づけない、と感じていた。

些細なことがフラストレーションになる。
今朝は、アンディが、オムレツにトマトが入っていたと文句を言った。トマトが嫌いだから。
ファビアンとアンディが、食べ物についてあれこれ言う。
但し、アンディは、トマトはダメだが、ケチャップなしでは暮らせない。

・第16ステージ

ブライアン・ホルム(HTCディレクターのデンマーク人)が、ゲルデマンに、新しいニックネームを付けた。
"Lady Gaga"

私は、このくだりがひっかかって、今でも、Lady Gagaの名を聞くと、連想でゲルデマンが出てくる、という妙な状態だ。(逆はないのだが)
一体、「どういう意味で」つけたのだろうか。
このときゲルデマンに何かあったのか。今となっては謎である。

第20ステージ

モン・ヴァントゥー。
レース前、チームバス内でのタクティクス・ミーティング。
「アンディを勝たせるためにエネルギーは使わない」「我々は闘いに白旗を挙げている」
「フランクをポディウムに上げるため100%使う」

モン・ヴァントゥーで、アンディが自分の勝利を狙わず、フランクの総合順位引き上げのために働いたのは、リースが指示した作戦であり、アンディが個人の判断で行なったものではない、という解釈は、自分も当時した
しかし、メディアでは、そういう言説はなく、アンディ個人に責を着せ、チーム(リース)には言及せずアンディを批判したものばかりが目についた。

アンディが、批判を自分の身ひとつで受けて立ったのは、フランクを表彰台に引き上げることが彼自身の望みであったことに間違いはなかったからだろう。
しかし、チームの作戦としてリースが発令した事実がある以上、アンディ1人に責を負わせるのは、正当な見方ではないように思う。

Category :  自転車
tag : 
●2012年度プロチームライセンス

11/2にUCIが発表した来季のプロチームライセンス登録で、レディオシャック・ニッサンが落とされ、要審査になった。
チームランキング15位以内どころか、昨年同様1位と計算した所もあったくらいだが。
15位以内で落とされたもう1チームのヴァカンソレイユは、チーム側が、理由はリッコとモスケーラのドーピング問題だろう、と発言しているが、レディオシャックは現時点で何も発言していない。

UCIは理由を明かさず、ルクスメディアたちも掴んでいないらしくだんまり。
自分の思いつきを記すと、合併に関する問題の何かでは。
レディオシャックは、来季のライセンスを持っているのに放棄するし、レオパードは、複数の選手の複数年契約を反古にした。
「それ、おかしいんじゃないの。最初の約束と違うよね」ということをやっている。と思う、私個人として。

そういえば、自分は1年前、ヴァカンソレイユがリッコと契約した報道が流れたとき、「こういうことをするチームがあるから、自転車RR界はいつまでたってもドーピングまみれとみなされる。悪いのは、選手だけじゃない。ドーピングを存続させている責は、常習犯を受け入れるチーム、UCI、関係者、観客たちすべてにある」と、冷たい目で見たのだった。

続報を待つ。

●【コンタドール事件】ヒアリングを前に

今月21~24日にCASのヒアリングがある。
現在の自分の「カン」(右脳の働き)では、無罪になると思う。論理性はない。敢えて言うなら、空気。

暫く前から思っていたことがある。
昨今のメキシコでのクレンブテロール検出事例とWADAの対応を見るに、「スペインで、他に1件でも検出例が出さえすれば、食物汚染という同意が得られて、あっけないくらい、あっさり解決すると思うのだが」

他に検出例が出たという公表がないのは、
・超微量を検出できるケルンのラボでの在スペインの検体の数が少ないので、検出されない。
・汚染肉の割合が中南米ほどには高くないので、検出されない。
・コンタドールの事件以来、選手たちがスペイン産の肉の摂取を意識的に避けたために、検出されない。
・実は検出されているが、ラボ内・WADA内の血液ドーピング主張派、もしくは「食物汚染みたいだという気になってきたが、ここまで引っ張って今更ひっこみがつかない」派等が隠している。
・実は検出されているが、スペインはメキシコとは異なり国内の汚染の事実を公式に認めないので、政治の事情によって隠されている。
・コンタドールの事例は食物汚染ではなかった。

どれでしょう。

●過去を知れば

Leopard Trekの合併騒動に振り回されているが、頭を冷やすと、「とりたてて騒ぎ立てる話ではない」というところに落ち着く。
簡単に、というより乱暴にいうと、「自転車RR界では、チームは長く続かないのが普通」だから。
長い年月存続しているのはほんの一握りで、大多数は短命だ。

この世界は、ビジネスとして発達をしていない。チームは、金銭的価値を持つ存在ではなく、売買の対象にならないので、簡単に消える。
自分はF1とすぐ比較するが、二者に共通するのは、チームには「入場料収入がなく」「スポンサーマネーで運営をしている」点だ。
世界経済の激しい変動の中で、F1が巨額のスポンサーマネーを確保して運営し続けているのは、商業上高い価値を持つ「ブランド」に仕立て上げ、それを維持することに成功しているから。
その功績がバーニー・エクレストンというひとりの怪物(天才)にあることを思うと、自転車RRにも、卓越したビジネス感覚を持つ天才が登場して、UCIと闘争し、チームの地位・権利を高めることをしない限り、チームの多くは常に不安定、という状態が続くのだろう。

この競技は「元々は」個人競技だから、視点はチームではなく個々の選手に置いて見るもので、「本質的に」そうすべき、という理解もあるのかもしれない。
しかし、現状では、選手が活躍できるのはチームあってこそで、チームという視点を軽んじるわけにいかない。なにより、日々のレースを見ていると、どうみても「チーム競技」に映るのである。

*現在シュレク兄弟は、恒例のキュラソーでのバカンス中。
Fränk Schleck on Leopard-Shack: ‘It’s going to be a great team’(velonews 11/3)
このインタビュー記事は中身無し。

Category :  自転車
tag : 
●戦略は如何 の続き

根本的な話から始める。

そもそも、アンディは、「ツールで優勝できる力を持つ選手」なのか。
ベッカやブリュイネールは、そう思っているようだが。

私は09年の時点で、「実力が、コンタドールより明らかに劣るので、コンタドールがアクシデント等でタイムを失うイレギュラーが起こらない限りチャンスはない」と踏んだ。
この評価は、私だけではなく、世間一般に共通していた。

指摘したいのは、翌2010年(今から言えば昨年)、「勘違い」をした人がけっこういたのではないか、ということだ。
勘違いとは、彼の力を「過大評価」した、という意味である。

最終のタイム差が、アンディがチェーンを落とした日に失ったタイム差と同じであったことで、2人の力の差が少なかったと受け取る向きがあった。
しかし、アンディがコンタドールに対して持ったリードは、第3ステージ・パヴェで得たもので、「自分の力で獲得したものではない」ことを見落としたらいけない。
第3ステージで得た1分13秒は、「チームメート(ファビアン)の力」+「コンタドールがゴール直前にパンクするという不運」の2つの要素による。

つまり、こういう言い方ができるのだ。
「ファビアンの助けがなかったら」、アンディはプロローグITTでのコンタドールに対する42秒のビハインドを背負ったまま、マイヨ・ジョーヌを着ることもなく、山岳でもITTでもアンディに遅れることのなかったコンタドールが、手堅くタイトルを防衛しただろう。
アンディは、2010年ツールを獲るに相応の実力を持ってはいなかった、コンタドールと一騎打ちの接戦という場面を演じることができたのは、ファビアンに、ITTでのビハインドをカバーして貰えたおかげだ、と。

最終ITTのアンディの出来は、決して、素晴らしいものではなかった。コンタドールのタイムが悪く、「比較で」よくみえただけである。
そのことは、シュレク兄弟のTT指導をしたジューリックが、後日にはっきり述べている。
2010年の出来を見て、アンディのTT力が向上して、コンタドールに対抗できるようになった、と評価するのは、「木を見て森を見ず」の例だと思う。

アンディを「いずれツールで勝てる選手」とみなすのは、彼が昨年まで新人賞対象という若さで、「今後成長することが見込める」からであり、「今より強くなることが前提」の評価ではなかったか。

その解釈に立つなら、今年(2011年)の彼の問題のひとつは、「前年より強くなってはいなかったこと」であり、もうひとつは、「『素の実力』がコンタドールだけでなくエヴァンスにも劣る事実を認識していなかったこと」、ではないか。

3週間の最後にITTが行われるというスケジュールのツールで、TTの力が劣ることは、「戦略」の面において絶対的に不利である。
TTの力が優る側は、山岳で無理な攻撃をせず、守りのスタンスで、できる限りダメージを少なく抑えて凌ぎ、最後のTTで逆転する、という「正攻法の戦略」を取れる。
文字通りのツールで勝つ王道、「勝利の方程式」だ。

TTの劣るアンディは、この「勝利の方程式」を持たない。
そのことに気づかない人がいるとしたら、「今までは、チーム力や、幸運や、他者の不運によって、覆い隠されていた」からだろう。

彼と彼のチームが、TTが劣っても勝てると買い被ったのは、08年の成功体験が災いしたのではないか、という気もしている。
サストレは、ラルプ・デュエズで作ったリードを守って、エヴァンスから逃げ切った。
今年アンディがエヴァンスを軽んじたのも、08年の山岳で、エヴァンスを手玉にとることができたからではないか。

彼がツールで勝ちたいのであれば、TTでのビハインドを現在よりも少なくすることは必須で、それをしない限り、万年2位で終わる可能性は高い、と思う。
2013年以降、TTの比重が軽いコースになったとしても、である。

2010年ツール終了後に自分は、コンタドールは、不調であったにも拘らず優勝したほどの力の持ち主だから、今後も連覇を重ねる、という見方と、彼でも不調のときがある、今後も同様の不調は起こり得る、と真逆の可能性両方を想定した。
現実は、2年連続の不調で、今年ついにタイトルを落とし、グランツールの連勝も止まった。
コンタドールも「絶対的に強く」はなかった、ということだったが、アンディは、そのチャンスを生かせず、エヴァンスに負ける、という、自分が1年前には想定しなかった結果になった。

1年前までは、コンタドールだけを敵に想定していたが、それは間違いで、今後は、他にどんどん出てくることになるのだろう。登れるだけでなくTTも強いタイプは、いくらも出てくるに違いない。
さすれば、彼が「現在より実力を明確に上げる」ことができないなら、これまでに築き上げたツールでのスターの座は簡単に失うだろう。

そうならずに、マイヨ・ジョーヌを着てパリに行く夢に挑み続けるか否かは、本人次第だ。
(なにせ、是非とも勝ちたいと真剣に努力をしているようには見えないので・・)



・・堅苦しく書いたが、アンディ・シュレクという選手は、小難しいことを考えず、勝ち敗けを気にせず、ヘラヘラもしくはきゃらきゃらして見るのが正解の相手だと思う。
自分も、いっときが過ぎれば、「そーよ、最初から、私が目をつけるタイプじゃない、と思ったんだって。バンビちゃんなのよ、あっはっはー」で済ませる。
ただ、頭の一部にはこういう思考がある、ということで。(長年、F1で、ぐでぐで考える癖がついてしまった)

Schleck brothers working to transform time trial and descending performances(velonation 11/1)
元記事:La Operación Arco del Triunfo de los hermanos Schleck(MARCA 10/30)
ソルニエのJosue Aran Garciaが、Marcaに、シュレク兄弟の来季に向けたトレーニングの話をしている。
TTの向上を目指し、新しいことをしているというが、ブリュイネールのブの字も出てこず、存在を無視しているかの如きなのは、どう解釈しよう。

●チーム名:Leopard Trek

Leopard Trekというチーム名は、UCIプロチームとしては消えるが、コンチネンタルチームの名称として残ることになった。
暫く前からルクス国内で話題になっていたJungelsのためのコンチネンタルチームが、Leopard Trekの名を冠する。
ルクス自転車連盟のツイートで判明した。

自分がルクス発信のメディアのサイトを眺めていた限りで想像するに、今回の合併に対するルクス国内の反発が予想外に大きかったので、その対処のひとつではないだろうか。
ベッカの腹の中の本当のところは、此方はいまだに掴めないが、今季シュレク兄弟とLEOPARD TREKというチームを応援してきた一般観客の多数が、合併に幻滅し拒否反応を起こした心理を、彼がちゃんと理解していたのかは疑わしい。
わかっていて、周到に対処した、のではあれば、それでいいが、さてはて。