南の国の太陽、空の色の獅子

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■恒例行事なく終わったが

毎度お馴染みのドーピング事件が起こらなかったが、この後、日数を置いて、出てくる可能性がなくはないのか。
盛り上がって、興行的に成功だったようで、主要どころに出たら幻滅を招くから、大丈夫そうな気もするが。

でも、「凄すぎるパフォーマンス」は怪しい、という警戒は残る。なにせ、この数年、「スーパーパフォーマンス」を見せた選手には、ことごとくクロが出ているのである。
騒動になることが起こらぬよう、祈っておこう。

代りといってはなんだが、ジロ期間中のディルーカの検体に陽性が出たというニュースがツール期間中にあった。
記事を読んだとき、「なんとも」思わなかった。どうやら、「ベルギー人並み」の免疫力がついてきたらしい。

「ああ、そうね、あれなら、やってたかもねえ」とすんなり思うし、やっていたからといって、彼を「かっこいい」と思ったのが偽りで騙されたとも思わない。

「クスリをやっているかもしれない」と納得した上でレースを見ていれば、こういう反応になる。
「この人はやっていない」と思いこむと、いざ陽性が出たとき困るのだ。「例外一切なしで全員可能性あり」と最初から思っていればいいのである。(←ベルギー人方式)
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■チャンピオンの復帰の連鎖

負傷欠場のマッサの代役で、ミヒャエルが復帰することになった。
この分だと、ジェーニャも、本当に復帰して、バンクーバーで表彰台に乗るかもしれない。
ランスと同じく3位で、金銀銅3色のメダルコレクションが完成したりして。
ジェーニャは、復帰するすると言い続けても、結局ない、とよんでいたのだが、今の流れだとあるのかも。(変な顔をされる理屈であることは承知)

■ランス

ツール期間中、ランスの復帰の本心が何なのかは判らない、とJスポの解説陣が言っていたが、ここには、個々人の持つ「人間の理解の仕方」が現れている。

ランスは、ツールに出る以上、マイヨ・ジョーヌを望み、コンタドールのアシスト役に徹すると約束するわけがない、そう私は考えていた。
これは、「人間の本質は、そう簡単に変わらない」という見方から導き出されている。

彼は、競争が好きで、競争するなら、絶対に勝ちたい、負けることは我慢ならない、勝つためにはあらゆることをする、というタイプの人間だ。
競争心・闘争心のレベルが、常軌を逸した高さなのである。それがゆえに、ツール7連覇を成し遂げた。同じような、とてつもない勝利に対する執着心を、ミヒャエルも持っている。私から見ると、この2人は同種の人間だ。

ランスは、復帰を決めた当初は、発言通り、ジロのマリア・ローザを狙い、マイヨ・ジョーヌはコンタド-ルにあげてもいい、と考えていたのかもしれない。
ジロを狙ったのは、ツール7連覇しようと、ツール以外のグランツールをひとつも勝っていないから、自転車選手として真に偉大とはいえない、という自転車界(特にフランス人)にある批判を見返してやろう、という野心ゆえだろうと思う。

ところが、ジロ前に落車して、人生で初めて鎖骨を折り、計画が狂った。出場はできたが、マリア・ローザを狙える体調ではなくなってしまった。
しかし、ジロを走るうちに、コンディションが徐々に上がり、この調子なら、ツールを狙えるぞ、という野心がでてきたのではないか。
ジロが調整レースになり、本番はツールになった、というわけだ。

もし、鎖骨を骨折せず、計画通りジロを獲っていたら、ツールは遠慮してもいい、グランツール2つ連続でベストコンディションを保つのは難しいから、となっていたかもしれない。
だが、運命は、ランスをツールに向わせた。

それが当然だったのだ。ツールでは、ランスは常に主役だった。「彼の場所」なのだ。主役の座を、他の奴に簡単に譲ってやりなぞはすまい。
そうでなければ、もしも、かつての傲慢な王様でなくなっていたならば、ツールに戻ってはこまい。

総合の表彰台の一番下の段に立った彼は、「ここはオレがいる場所じゃあない」という顔にみえた。一番上が、彼の場所だ。
彼は、7連覇した時期、「ツールが終わったら、翌日から、翌年のツールの準備をする」と公言していた。マイヨ・ジョーヌを獲るには、それだけの準備が必要なのだ。今年は、万全の準備からは、ほど遠かった。鎖骨を骨折したときから計画は狂った。
これから1年準備をすれば、来年は今よりずっと強くなれる。かつてのレベルに戻して、コンタドールに勝てる。
負けたままで終わりたくない。復帰した以上、勝ちたい。

だから、来年もツールに出るのだろう。
・・こういうふうに、自分は思っている。

■国歌のかけ間違い

総合の表彰式で、コンタド-ルのための国歌が流れたとき、「アレ?」。
スペイン国歌・・じゃない。少し変わったバージョン?いや、いつまでたっても、スペイン国歌には聞こえない。
聞いたことのない曲だ。なんだ?

Jスポ実況陣は、誰も気付かず、言及なし。
チーム表彰のとき、曲が流れ出した。スペイン国歌である。
間違えたことに気付いた運営側が、すみません、と掛けたのである。

通常、チーム表彰で国歌演奏はないので、Jスポ実況は不審に思い、「カザフスタン国歌ですかね?」
アスタナの国籍がカザフだから、推測の理屈としては合っているが、これは、どこから聞いてもスペイン国歌です。誰か、教えてやれ、と思った。

最初にかかった曲が何かといえば、「デンマーク国歌」だったのだそうだ。聞いたことがなかったわけである。
リアルタイムで、「間違えてる~!」となったTV視聴者は、スペイン人とデンマーク人と、ごく少数の他国人だったと思われる。2国以外では、Jスポ実況みたいにスルーした可能性大。

表彰式の現場では、デンマ-ク人のリースとサクソバンクの招待客たちが、「うちのチームの健闘を称えてくれてるのかね?」と苦笑していたかも。

■つれない恋人

最終日、ランスとアンディが並んで喋っているのを、フランクが隣で気になりげにチラチラ見ているシーンがあって、おやと思ったら、栗村氏も同じように受け取ったらしい。
フランクが苦虫かみつぶした顔で監視していた、これで終わらず、トンデモない喩えを言った。

自分の恋人に、余計な異性が話しかけてきて、自分の恋人がすごく楽しそうに会話しているときの、本来の恋人みたい。

この2人、兄と弟なんですけど。が、次の瞬間、自分が昔、あっちの兄弟で似たようなことを書いたことを思い出した。
part.1
part.2

読み返して、気付いたことが。
F1の兄弟は、「寝る場所は違った」が、こっちの兄弟は、「同じ部屋で寝ている」のであった。ツールの3週間、毎晩。
・・お粗末様でした。
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■コンタドールとアロンソ

アスタナのリーダー争いの話題は、メディアが煽っているもので、実際には、いわれているような確執はない、という見方をする人もいたが(Jスポではそう)、ツールが終了すると、メディアが書いた通りであったことが明らかになった。

コンタドールは、ようやく、メディアの前で本当のことを喋った。ツールが終わるまで、彼は我慢し通したのだ。
我慢するしかなかった。チームのサポートがなければ、マイヨ・ジョーヌはとれない。ランスとブリュイネールに全面的に対立したら、欲しいものは手に入れられなかった。

チームでの彼の境遇を思ったとき、「マクラーレンにいたときのフェルナンドみたい」という連想が私の頭に湧いた。
自分がエースのはずだったのに、あとから突然、チームボスが偏愛するヤツがチームメートになり、自分もチャンピオンになりたい、と言い出し、チームは彼が勝つことを願い、サポートし、自分は疎外された、という点がそっくりだ。

そして、フェルナンドも、今のコンタドールの境遇に、自分の経験を重ねたのではないか、チームを持ってコンタドールを迎えるというアイデアには、コンタドールをサポートしたいという気持ちもあったのではないか、という想像をした。

コンタドールは、フェルナンドとは異なり、チームのボスを敵に回して闘うという境遇で、勝ってみせた。
精神的に崩れず、ここぞの勝負所で、爆発的な力を発揮して、敵を叩き潰した。これが、本当に「強い」ということだ。
環境に恵まれなくても、脚の実力で圧倒的な優位を持っていれば、マイヨ・ジョーヌを獲ることができる、という例である。

コンタドールとランスが、06年のフェルナンドとミヒャエルみたい、という自分の発想は、まんざらでなかったと思う。
7/6に記したとき、自分はここに、「最後に勝つのはコンタドールだ。フェルナンドが勝ったのだから。新しい世代が勝つ」という意味を込めた。

コンタドールのマイヨ・ジョーヌ確定後のコメントの中の、ランスに勝って、彼を表彰台で従えることができて嬉しい、という趣旨の箇所を読んだとき、フェルナンドと同じだ、と思った。
伝説的な偉大なるチャンピオンとの直接対決に勝つことは、後の世代の彼等にとって、巨大なモチベーションだ。フェルナンドもまた、繰り返し、シューマッハに勝ってチャンピオンになることは、他のドライバーに勝ってチャンピオンになるより価値がある、だから勝てて嬉しいと語った。

私は、ミヒャエル、ランス、そしてフェルナンドを見てきた。コンタドールがこの列に連なる存在になるとは今は思わぬ。でも先のことは判らない。

■来年のTdF

早くも来年がどうなるか、という話だが、ライダー単体の実力では、コンタドールの優位は動かないだろうと思う。
問題があるとすれば、コンタドールのチーム環境がどうなるかわからないこと。
アスタナには、「このチームは元々自分のために作られたもの」と公言するヴィノクロフが戻ってくる。ブリュイネールが抜けた後、監督は誰がやるのか。
移籍するとしても、彼をエースをとしてしっかり支える、力のあるチームで来年のTdFに臨めるのか、みえていない。

チーム環境の点では、彼のライバルたちの方が、分がよさそうだ。
ランスは、ブリュイネールと共に、自分の思いのままになるチームを作る。

アンディには、サクソバンクが全面的なサポートを約束するだろう。機関車であり頼もしいボディガードのカンチェラーラも、来年2010年まで契約があり、チームに残ることが決まっている。

単純に、選手の能力を見ると、「来年もコンタドールで決まり」といいたくなるが、彼が、環境でハンディを負う可能性、更に、ランスが力をアップする可能性、そしてアンディの伸び代、を考えると、もつれる可能性もありそうだ。
とちらにせよ、多分この3人が中心になりそう、と思うと、今から楽しみでしかたない。

***
ランスが新チームに勧誘している選手第1号として、アンディの名をレキップが書き、「バカいうな」とばかりにサクソバンクが「2010年まで契約があります」と即刻反応したが、契約の有無に関係なく無理のある話だ。

ランスのチームは、ランスがマイヨ・ジョーヌを獲りに行くためのチームだ。アンディになんといって誘ったのか。今年、総合でランスより上の成績で、来年はマイヨ・ジョーヌを狙うエース格の選手に対して、「オレのアシストやらない?」と?
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■アンディ

私が思ったより、強い子だった。
崩れることは一度もなかったし、TTはふんばった。

ツール・ド・スイスでの失敗をあげつらって心配したが、終わってみれば、スイスは調整で、本番にコンディションをきっちり合わせてきた、という評価になる。

しかし、最も素晴らしかったのは、攻撃をし続けたこと、だと思う。

1・2週目から、彼は常に前にいた。
エースのはずなのに、どうして自らこんなに早くから前に出るのか。先は長い。終盤に足が残っていなくて遅れたら、お話にならぬ。フランクが常にアンディの後ろにいるのはおかしくないか。普通はエースが後ろでは?とやきもきして2週間を過ごした。

勝負の3週目。彼は最後まで、強かった。
登りで、どれだけ前を引いたろう。どれだけアタックをかけたろう。
人の後ろにつかず、前に立って、風を受けて、登ったろう。

一度として、守りには入らなかった。
総合2位に上った後も、そのポジションのキープではなく、フランクが3位を得て、2人一緒に表彰台に上ることを目指して、最後まで、攻撃し続けた。

彼の闘い方が巧みだったかというと、些か疑問はある。アタックを決めるにはタイミングが大事で、闇雲にやっても効果がない。
結果的には、「走りの地力の優劣」がそのまま総合順位になったようにみえるし、今後の課題と思うことにしよう。

一番魅力的な顔を見たのは、第18ステージ、TTスタート直前。

これまで、山岳を登るときの真剣な表情を見ることはあったが、これほどまで集中した表情は初めてだ。
顔立ちが優しい(甘い)ので、ミヒャエルやディルーカのような鬼の面にはならぬが、近寄り難い、張り詰めた、光を放つ蒼い瞳。

昨日は、山岳の得意な自分たちが、表彰台を狙うライバルたちをつき離したが、今日は一転して、防戦一方だ。彼等は揃ってTTに自信を持ち、てぐすねひいている。
なんとしても、持てる限りの力を発揮して、傷を最小限に止めなければならない。TTは彼にとって最大の難関で、大きなプレッシャーがかかっていたのだと思う。

ランス、ウィギンス、クレーデンの3人全員が、見込みよりも悪いタイムで終わったのに対し、彼は実力通りのタイムを出し、彼等に対する勝利をほぼ手中にした。

3週間闘った後も尚、彼の脚は残っていた。
昨年と同じように、ツールの最終週を、軽々と駆け抜けた。



昨年、ツール終了直後から、来年のCSC(サクソバンク)のエースはアンディ、と述べる記事が出たし(マイヨ・ジョーヌをとったサストレは無視された)、ランスが復帰宣言した後のあるブックメーカーの記載は、コンタドール、ランス、アンディ、の順だったが、自分は「まだまだでしょ」と全くとりあわなかった。
今年、ツールが始まってからも、本当にエースの責を担えるのか、半信半疑だった。

そういうスタンスだったので、終了した今、深く満足している。
今や、押しも押されぬサクソバンクのエースだ。来年は、マイヨ・ジョーヌを狙う。堂々とそう公言できるポジションに上がった。

私は、毎度見る目がないが、こういう見る目のなさなら、幸せだから、いい。
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■ 解釈

Jスポの放送の解説が「激しい的外れ」に終始しただけでも興を削がれたのに、日本語の情報サイトを見ると、同じく的を外したレースレポートが目につくので、敢えて記載。

第20ステージに際してサクソバンクが設定した目標は、「総合でアンディ2位、フランク3位」だった。
コンタドールは視界の外。アンディは、コンタドールと競う気もなければ、ステージ優勝も眼中になかった。彼が望み、目指したのは、「フランクの3位」だった。

コンタドールの位置は、どうでもいいのだ。闘う相手は、フランクの上にいる3人で、彼等を振り落とし、フランクを連れて、逃げたかった。第17ステージでやったことを再現したかった。だから、ああいう闘い方をしたのだ。

この解釈が合っている自信があるのは、アンディ、フランク、リースのコメントをチェックする努力をして過してきたため。
メディアに載る公式コメントは、外面を飾ったり、ライバルを欺いたり挑発したりといった作為があったり、ニュアンスを誤解して此方に伝わったりすることがあるから、注意が必要だが、第20ステージに際してのサクソバンクの方針に関しては、本人の発言をそのまま受けとっていいと思う。
アンディは、第18ステージTT後に、兄弟表彰台をまだ諦めていない、とコメントし、翌日の第19ステージ後、最終決戦モン・ヴァントゥーを控えて、twitterに書いたセリフは、明日、フランクを表彰台に連れ戻したい、である。(自分の順位には言及してない)

第17と18ステージの放送を見ていれば、アンディの言葉が本心、という見方に、反対する人は少ないのではないだろうか。
彼等は、心から、相手の成功を願っている。そして、互いがそうであることを知っている。だから、相手のために尽くせる。
人の心の動きに鈍い人でも、第18ステージでのスタート前の2人の姿で、この2人の絆がどれだけ深いか、「2人で闘っている」かを察すると思うのだが・・(いや、Jスポ実況陣は、判っていなかったな。男ってそういうものだ。女で勘づかない人はほとんどいなかろう)

兄弟の望みがかなわなかった第一の原因は、フランクの力が、ランスを上回らなかったことで、2番目に、ランスが、総合3位キープの方針を採ったこと。

もしもランスが、ポジションキープではなく、第17ステージ終了後の発言から変わらず、総合2位を目指して、アンディへの攻撃を試みていたら、展開は違っただろう。
ランスが行けば、アンディは自分の2位を失わないため、(心ならずも)フランクを捨てることになっても、追わざるをえない。
フランクのサポートを諦めざるをえないシチュエンションになれば、自分のために戦えた。

ひとつの見方をすれば、昨日のレース展開を決めた鍵は、フランクの存在だった、と思う。
総合1位と2位のガチンコ勝負が展開されなかったのは、2位のアンディが、自分の順位のためではなく、ただひたすら、フランクの順位のために、走ったからだ。

■ 仮の総括

最終の総合順位は、実力を反映した妥当なもの、と思う。
表彰台は、主役たちがきちんと揃った「収まりがとてもいい」図。
ツール・ド・フランスの過去と現在と未来。

コンタドールが現在のトップであることには、欠片の疑問もない。
ランスの評価は、複数の見方が可能だ。3年のブランクの後の復帰戦でこの位置は見事、という見方もありだし、本人は最終盤まで2位を獲る気でいたから、もう1人に上をいかれて3位なのは些か不本意だった、ともいえる。
同様に、アンディにも、ふたつの見方がある。ランスの上を獲ったのは、望みうる最高の順位で上々、といえる他方、コンタドールには、登りでもTTでも歯が立たず、コンタドールを脅かす存在ではなかった、という辛い見方もありだ。
「コンタドールを除いた中では一番よかった」ことの受け取り方は夫々である。

■ 第19ステージ、ランスの執念

書きたいことは色々あるが、とりあえず、この件を。
第19ステージは、TTとモン・ヴァントゥーのつなぎのレースで、総合に動きはない、とみられていたが、ゴールシーンで、私は叫ぶ派目になった。(声は出さず、心の中だが)
「まずい~!ランスとタイム差がつく~!なんで集団割れるの!」
(その間、Jスポ実況席は、「別府~!」と絶叫・大騒動。叫ぶ問題が違う)

ランスは、先頭のスプリント集団についていっている。アンディはランスをチェックしていたが、スプリントについていけなかった、らしい。そして、「フランクは?」といいたそうに(いつものように)後ろを振り返りながらゴールラインを越えていく。

あ~あと、画面の総合を待つ。結果は、4秒。

ランスは、第17ステージで総合2位をアンディに奪われたが、取り戻す意欲を持っていた。第18ステージTTで、たった15秒しか取り戻せなかったのは、大誤算だった。
ランスはまだ、山岳でアンディの前に出たことが一度もなかった。モン・ヴァントゥーでアンディから1分14秒を奪えるという自信があったかというと疑問だ。

だから、第19ステージで、いくばくかでも削れるなら、とスプリントにくらいついたのだろう。彼は、第3ステージで、集団前方に位置したことで、アンディやコンタドールから40秒を奪った。
彼は、諦めなかった。望んだものを手に入れるためには、できる限りのことをする。それが彼だ。
諦めたのは、多分、モン・ヴァントゥーを登っている最中だろう。執拗にアタックを繰り返すアンディに、ついていくことはできたが、彼の前に出ることは無理だ、とどこかの時点で判断をしたのだろう。
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・決着

あっさり決まった。
ランスが今年マイヨジョーヌを着ることはない。第4ステージで降ってきた予感は当たっていた。

・フランクの件

判明。
山岳の大事な局面で弟をアシストする、と決めていたのだ。
サクソバンクは、ヴェルビエの登り口から、強力な引きを始めた。昨年やってみせたこと。カンチェに代わって、フランクがするするっと前に出た瞬間、「来た!・・やっと」 (此方はこの瞬間を待っていたが、Jスポの実況のSaschaにはきれいにスルーされた)

フランクが引き始めると、途端に後ろはボロボロ落ちる。昨年アンディがやったのと同じ。
残ったのは、コンタ・ランス・ウィギンス。兄弟を足した5人のグループになり、あとは篩い落とした。昨年なら、この必勝パターンで勝てたが、今年は、「昨年ツールにいなかった」コンタドールがいたことが、サクソの計画が首尾よくいかなかった理由。

サクソの作戦にのせられるのを嫌い、さっさとアタックしたコンタをアンディが追うと、フランクはアンディを見送り、抑え役。L-B-Lと同じ。

但し、抑えに徹せず、残り3kmでアタックした。一気に引き離して逃げることができれば、それはそれでかまわなかったのだろうが、ウィギンスとニバリに追いつかれてしまい、仕方なくまた抑え、という要領の悪いことをした。ずっと抑え続けていれば、アンディと後続とのタイム差を現状より広げることができたかもしれぬので、「甘かった」と自分も思う。(実況の浅田氏に指摘された)
アタックがフランクの判断かチームの指示か不明だが、彼の総合の順位も上げたかったのか。

・アンディ頑張る

コンタに40秒差をつけられたが、コンタの次で、コンタ以外の中では1番だったから、上出来。誰も、コンタに対抗できるなんて思っていない。(←私個人の評価)
第7ステージを見て、アスタナのアシスト陣を振り切れない、と辛いことを書いたら、なんのなんの、ランスをちぎったから、マルである。

ご本人は、第15ステージ前、ランスがかなり強いと踏んでいて、実際のランスの出来は予想外だったらしい。日々一緒に走っている当事者の評価は、外野の見立てより当たっているかも、と頭に置いておいたが、外れ。

対してアスタナ側、ブリュイネールは、一番注意する相手はシュレク兄弟、と発言していたから、こちらは見る目があった。
(面白いのは、「アンディ・シュレク」でなく「シュレク兄弟」であることで、彼等も自分同様、身を潜めているフランクの力を計りかね、警戒から外さなかったらしい)

コンタとの足の違いをみせつけられたアンディは、レース終了直後は気落ちしていたようで、新人賞の表彰式で、昨年見せたきらきらした笑顔はなかった。
でも取材陣に対したときは、気を取り直し、諦めないで戦うぞ宣言。腹の中はどうか知らぬが、表ではそうするに決まってる。

・スパルタカス

カンチェラーラは、延々逃げ集団で足を使ったのに、ヴェルビエでつかまると、そのまま落ちずに、メイン集団を引き、フランクにバトンタッチという、ほんとに「お仕事しっかり」。

彼が「特異」な選手であることは、承知していたつもりだったが、今年のツールで、認識を新たにした。
春先の不調から、ツール・ド・スイスで強さを取り戻し、このツール・ド・フランスで完全復活、存在感を示した。第1ステージ個人TTで勝ち、マイヨ・ジョーヌを着ることが彼の目標で、7日間着たことで、彼にとっての今年のTdFは成功といえる。

第4ステージ終了後は、彼に対する大絶賛の文章を書きたくなった。
えらく大仰だったので、やめておいたが、自分は、深く感嘆していた。
自分の内には、ランスに対する深い感嘆と称賛、同時に「今回のチャンスを逃したランスは、今年この先はもうマイヨ・ジョーヌを着るチャンスはない」という予想、2つの認識があった。

「ランスが手に入れたかにみえたマイヨ・ジョーヌを、『あげない』と鼻先でふんだくったのがカンチェラーラ」であり、「ランスに」対してそんなことができるヤツがいるとは思わなかった。

マイヨ・ジョーヌを手放した後も、スイスのチャンピオンジャージで真っ赤なので、集団の中で目立って、みつけやすい。まず彼が目に入り、近く(というか後ろ)にアンディがいるというケースが多い。
「はい、あとは総合がんばれよー、オレはやれることやるけど、最後は自分の力だからねー、ボーヤ」というノリ・・かどうかは知らない。
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■フランクの位置

総合狙いと目されているメンバーの中で、「全然目立たない」ままここまできたのが、サストレとフランク。
サストレは、「これが彼のスタイル」で、この後のアルプスで昨年のように力を発揮するか、ごろうじろ、だろう。但し、昨年と大きく違うのは、昨年彼を支えたチームメートたちが今年は敵。

フランクは、いまだに判らない。
アンディは、複数回アタックをしている。第8ステージの他、第12ステージの序盤の激しいアタック合戦に参加していたことを記事で知った。

アンディの位置は、平坦では、中盤まで集団の中ほどで、終盤に、前に出てくる。彼には、カンチェがついている。集団の中にいるときはカンチェが彼を引き連れる。(頼もしいボディガード)
アスタナのトレインが組まれ、動きがある可能性のあるときは、アスタナトレインのすぐ後ろにつく。
「アスタナのすぐ後ろ」が彼の「定位置」だ。

そういう動き方をしているので、非常に「判りやすい」のだが、フランクはというと、「どこ?」。
時々みつかるが、大概は位置を把握しないまま、レースが終わる。アンディの前に来ればわかるのだが、来ない。
リザルトをみると、ちゃんとアンディの近くでゴールしている。でも、ほとんどアンディの後ろ。

昨年のサストレと同じパターンといえないことはないけれど、アンディばかりを動かすのはどうも腑に落ちない。正解は、待てば、判るか・・
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■僅差で逃したもの

第14ステージで、この分だとヒンカピーがマイヨ・ジョーヌを取るな、と思って見ていたら、5秒足りなかった。
これを見たとき、第4ステージ・チームTTで、0.22秒差で、マイヨ・ジョーヌを取り損ねたランスを連想した。

私は、第4ステージの日、これでランスが今年マイヨ・ジョーヌを着ることなくツールが終わったら、今日、防衛したカンチェは大したタマだぞ、と思った。

カンチェが第4ステージでやったことは、神業に近い。彼は、全力で走れば、チームメートたちを簡単に引きちぎる。あの日に彼がしなければならなかったのは、チームメートがちぎれないスピードを判断し、調整しながら、できる限り速くチームメートたちをゴールまで連れて行くことで、その難しい仕事をやりきった。

第2区間で、アスタナに41秒遅れ、ヴァーチャルでリーダージャージを失ったと判ったのち、第3区間をアスタナより速く走った。
画面に映るアスタナの隊列は、とてもスムーズで、余裕を持って走っているかのようにみえた。多分、彼等は、自分たちの力に自信を持ち、第2区間までに作った41秒がゴールまでに減るとは想像しなかっただろう。

サクソバンクがアスタナより勝っていたことは、「必死さ」ではなかったかと思う。アスタナに負けるのは仕方ないが、少しでも差を縮めたい。カンチェのマイヨ・ジョーヌだけでなく、シュレク兄弟の総合に関わる。だから、第3区間を死に物狂いで走った。

画面を見ると、サクソバンクのメンバーは、ゴールラインに飛び込むとき、先頭のカンチェから(タイムをカウントされる)5番目の選手までが近い。カンチェの後ろで5人がほぼ横並びでゴールしている。
対してアスタナは、縦に並んだままで、先頭から5番目まで少し距離があるようにみえる。

5番目の選手が、もうちょっとでも遅かったら、カンチェはマイヨ・ジョーヌを失っていたから、カンチェは、ついてきてくれたチームメートたちにちょぴっと感謝したかもしれない。
(彼等が頑張るのは彼等自身の利益のためで、カンチェのために犠牲になったのではないけれど、笑い話になりそうなくらいの僅差だったから)

ちなみに、画面を見ると、5番目の選手は、アスタナはランスで、サクソバンクはアンディのようにみえる(サクソはちょっと自信なし)。



今年、ランスが、マイヨ・ジョーヌを着るのか、どうなるのか、今は判らない。
コンタドールには、炎のようなモチベーションがある。06年のフェルナンドのように。だから、彼が勝つ、と思っていた。
ランスは、特別な選手だ。ミヒャエルのように。いや、ミヒャエルよりも、もっと。それは判っている。
でも、まだ、コンタドールに勝つだろうという予感はしない。

(今夜、動く可能性があるし、アンディが、逆のことをコメントしていて、予想が覆る場合の心構えはしているが・・・・第15ステージ開始前)
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・面白すぎ

昨年までは、平坦ステージでは脱落する(落車する)日もあったが、今年は、ここまで連日、中身が充実していて、退屈する暇がない。
1日くらいはたれるものだが、「一体なんなんだ、今年は」。

・何もしなかったら、何も呼びこめないから、攻撃してる・・んですよね?

冷静な台詞をいえば、「実力そのまんまだわね」
ぶっちゃけた話、エヴァンスもアンディも、アスタナトレインを振り切れるだけの足を持っていない。今回いきなりガンと力がアップしたとか、異常なまでに調子がいいとか、外れたことがなければ、実力はそんなものだ。今年は前哨戦のドーフィネとスイスを見ることができて情報が多く、その上でそう思う。

第7ステージで、エヴァンスもアンディも、コンタに追い付けずとも、ランスグループを振り切ってタイム差が広がるのを少しでも抑えたかったろうが、アスタナのアシスト陣があれだけ強くては、逃げられない。

アンディは、昨年は、フランクとサストレの「強力な山岳のアシスト」で、ハイスピードでひきまくってライバルを篩い落とし、アタックを潰しまくったが、今年は、自分がひきまくって足を使うことはできないし、アタックすれば、「アスタナの強力なアシスト」から潰される。(これは開幕前から判っていた。今年はマークされる立場になるから、身動きがとれなくなる、と)

と判っていても、アタックしても徒労に終わることが確率的に高くても、だからといって何もせず大人しくアスタナの後ろをただ走っていたら、それこそ「何のためにツール来たんだ!」だから、攻撃を仕掛けた、というのが、第8ステージのエヴァンスとサクソバンクらしい。

予想通り、最終的には「得たもの無し」。足使っただけ。アスタナが盤石。でも、しょうがないでしょう。

・気がかり

ひとつ気になるのは、フランクのこと。
第7ステージで、ずっとアンディの後ろにいたのを不審に感じた。「まだ山岳一日目だからか」ですませようとしたが、第8ステージでも、アンディを全くアシストしなかった。
アンディがスピードをあげ、集団を分断したとき、この役はフランクがしてもいいのでは?アンディ自らやるの?と思った。

これはどういうことだろう。
仮に、チームが、ダブルエースのつもりで、フランクの足を温存しているとしても、第8ステージの「チーム総がかり攻撃」にフランクが参加しないのは、些か妙だ。
調子がよくないのか?と疑うのは、膝の故障の件を聞いていることが影響している。杞憂かもしれぬが、問題ないと確認できるまで、ちょっと気がかり。
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・アンディ

余裕がありそうな走りっぷりだった。彼の今日の目標は、総合争いのメイン集団から遅れないことで、多分、コンタドールは最初からターゲット外。
アスタナトレインのすぐ後ろにつき、フランクのアシストもなし。(まだその局面ではないから、自力で行きなさい、ということかと)
コンタのアタックに反応して追ったのが彼だったことからして、アスタナ以外のメンバーの中では一番足があったと思われる。コンタのスピードには対応できず、アスタナ勢につかれてしまったので、しょうがない、みなで行きましょ、でゴール。
総合は彼がチーム内最上位に浮上、全体でトップ10入り(9位)。プラン通りかと。
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ネット上の記事やブログ等を読むと、レースの解釈・評価の「多様さ」に面くらう。ひとつの事柄について正反対の評価が書かれているのはザラ。
そんなのF1でもいつものことでしょ、と言われればその通りだ。自分がF1では当惑しないのは、10数年かけて情報・知識を熱心に蓄積し、その結果として、自分である程度の判断ができるようになっているからだ。
対して、自転車の知識はほとんど持っていない。だから判断力がない。それだけの話だが、自分に知識がないために「複数の解釈のうちのどれを選択するかの判断に迷う」という状態は、些かストレスになる。

■サクソバンクの戦略

第3ステージでのサクソのミスにケチをつけたが、大怒りするには当たらない、修正するか?となる。

あのステージは基本的にスプリントのステージで、総合で動きはない、と踏むのは、おかしくなかった。確かに横風による分断の危険性はあったが、アスタナがマイヨジョーヌを取ろうと仕掛けてくることを警戒する必要はなかった。
実際にアスタナにその意思はなく、ランスが前方グループに入ったのは、彼個人の判断で前方に位置取りした結果にすぎない。

リースが、カンチェを後方に下げなかったのは、前方集団にいた総合狙いの選手はランス一人だけで、他は全員後方だったから、容認が間違いではなかったことと、カンチェを下げて引かせて、前方に追いつけばいいが、追いつけなかったら、何の益にもならないからだ。

あの日、誰もが横風は判っていたが、注意を欠いていたのは、サクソだけではなかった。
コンタドールも、後方に残された。
この点をみれば、分断された面々を責めるより、前方に位置取りしたランス、そしてカンチェの、判断力・勝負勘を褒めた方がいいのかもしれない。

また、マイヨジョーヌを持ち続けることは、集団をコントロールする責任を負うので、アシストたちを疲労させる。第3ステージ終了後、ブリュイネールがそのことに言及し、チームTT後もカンチェラーラがイエローを着ているのは、こちらの都合がいい、と述べ、サクソのアシスト陣の疲労を気にしていた自分は、カチンときた。

しかし、現実には、サクソは翌日からコントロールを放棄し、アスタナにやらせる展開になった。
責任を果たさないのはずるいという批判もありだが、もしリースがバカ正直に振舞ったら、自分は「なにしにツールに来たんだ!」と文句たらたらになったのは必至だった。

■アスタナの戦略

「アスタナのチーム内の状態」については、見方が分かれている。
第3ステージを、「チーム内のリーダー争いを起こすのでは」とマイナスにみる見方に対し、「コンタドールとランスの2枚のカードを保持しておくチームとして正しい作戦」と肯定する意見もある。

後者の解釈が正しそうにも見えるが、はいそうですねと簡単にいかない根本的な原因は、我々の持っている「ランスの人間像」、「ランスはこういう人間だ」という一種の先入観にあると思う。

ランスは、コンタドールの力が自分より上、と完全に納得すれば、潔く彼をエースと認めて、アシストするだろう。
でも、自分が負けていない、上回る可能性を持っていると思っているうちは、自分がマイヨジョーヌを取る野望を捨てることはあるまい。
「自分が見てきたランスは、そういう人」と思ってしまう。そうそう簡単に、コンタドールを勝たせてやるようなお人よしとは、思えない。

だから、第3ステージも、「コンタドールがミスをし、ランスがそれにつけいって、うまうま40秒を稼いだステージ」という解釈になるし、「ランスに、コンタドールにも付けいる隙がある、と思わせたステージ」とも言える。

今後、コンタドールが山岳でランスをつきはなし、力に差があることをみせて、ランスの野望を挫けば、チーム内の問題は起こらない。強力なアシストを得たコンタドールは、ライバルに大差をつけ楽々2枚目のマイヨジョーヌを得るだろう。
ランスに野心を持たせたまま進むと、緊張状態が続く恐れがあるような気がする。コンタドールに何かあった場合に備えてランスの順位も確保するのがチームの利益だから、チームはランスにも力を入れる。

チームの全面的なアシストを得られず、隙あらばとって代わろうとしているライバルをチーム内に持つことが、コンタドールにどう作用するだろう?
自分の力に自信を持ち、焦ることなく、勝負を急がず、力を温存し、最後のモン・ヴァントゥーで決めてやる、という王者の戦い方をできるだろうか?それとも、早々に攻撃し、チーム内の敵を消すことを図る?

まずは、今日からの山岳がどうなるか。数日でくるりと展開が変わるかもしれぬし、変わらぬかもしれない。目を離せない日々が続く。
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・ランスがツールに帰ってきた

整然と、スムーズに進んでいくアスタナの隊列に、USポスタルの姿が重なって見えた。
そう、ランスの率いた「ブルー軍団」は、チームTTで他チームを叩き潰したものだ。

総合の結果が出るまで、どちらか選ぶならカンチェラーラを望んだのに、いざ僅差で逃したと判ると、ランスのマイヨジョーヌ姿を見たかったかな、とちらっと思った。

実は、ジロの前に落車して鎖骨を折り、当初予定のジロの勝利を望めなくなったとき、「ジロでなくツールを狙う巡り合わせだ。やっぱりランスが勝つべきはツールで、ジロじゃない」とこっそり思った。
私自身が明確にそう望んだわけではないし、現実になる、と強く予想もしなかったから、今の状況には驚きを感じている。

これからランスとコンタドールが競ったとき、ランスを応援するかどうかは判らない。コンタドールに肩入れしそうな気もする。
その局面になってみないと判らないが、「退屈をする」ことは決してない、「いつものツール」が始まった。

*ふっと思いついたが、ランスとコンタドール対決って、06年F1のミヒャエルとフェルナンドみたい。
片方は伝説的な実績と経験及び人気を持つスーパースターの大ベテラン、片方はタイトル獲得は1つで、これからの若手。
06年当時、ミヒャエル37才、フェル25才。今年、ランス37才、コンタ26才。
今回はチーム内対決だが、どうも、ブリュイネールもチームもランス寄りで、コンタドールが逆境で孤軍奮戦しそうな感じが。
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・勝敗の分岐点~「風」

「風」が、レースを決めた。
横風区間を警戒し、的確に対応したのは、スキルシマノ。
マルセイユに住んでいて、風の怖さをよく知っていたので、横風区間に来たとき、「みんな行くぞ!」とチームメートに手を挙げて指示を出したというフミは大殊勲だ。
「コロンビアとアスタナと僕等で並んでダーッとカーヴに入っていって、そこで集団は分裂したんです」

アスタナは、集団前方にいた3人がついていったものの、前方グループに入ったのがランスで、コンタドールは後方に置き去りにされ、このチームの抱える(もしかしたら弱点になりうる)問題の芽がチラリ。
毎度、エースのアシストの役を全く果たさない(どころか邪魔をするときさえある)ポポヴィッチは(なんで、これで許されるんだろう、と毎回不思議)、前方に入って、最初のうち後方を振り返り、ウダウダしていたが、コンタドールを見捨てて、先頭交代に参加し、おかげで総合でランスがコンタドールを逆転してしまった。

コンタドールの力からすれば、騒がなくてもいいが、コンタドールからタイムを奪う指示を出したブリュイネールの判断は、早くも話題を撒き散らしている模様。(メディアが喜んでとびつく話題だ)

チームの団結力ではトップクラスのサクソのカンチェは、自分はうまく前方集団に入ってマイヨジョーヌを守ったが、表彰式で浮かぬ顔をしていた。
"Too bad for Andy" よくわかっていらっしゃる。

横風区間があることは事前に判っていたのに、適切な対応(区間に入る前に前方に位置取っておくこと)をしなかったのは、サクソの明らかな失策だ。レースの前半をコントロールしたのが全部無駄になった。
その上、千切れてからも、けっこう仕事をさせられた。総合を狙う他チームももっと協力してもよかったのに、うまく回らなかった。

また、カンチェは、後方集団に下がってアンディを引くことも考えたという。そうしなかったのは、チームがそう指示しなかったからで(カンチェのコメントからすると、彼はどうするかリースに相談したのだろう)、この判断が正しかったのか、カンチェのマイヨ保持を選択して、アンディの総合をみすみす下げてよかったのか、今年もサクソの戦略にはモニョモニョしそう。・・「これがツール」ではあるが。しょっぱなからテンションが上がることよ。

・見間違え

シュレク兄弟の外観が似ていて、見分けにくい、という話がよく出るが、自分は見分けに苦労したことはない。
確かに似てはいるが、上半身の体型が違うし、フォームも違うので、同じジャージを着ているときでも見分けはできる。
と思っていたら、今回、瞬間的に取り違えること複数回。

第2ステージ
放送を見始めた最初、集団をひくサクソトレインの後ろの方で腰をのばした姿を、「アンディいた」→「あ、今日からルクセンブルクのナショナルチャンピオンジャージ着るんだっけ(前日TTはチームジャージ)。今のはフランクだ」

第3ステージ
チームカーの横にきて、無線機を交換するアンディ。ルクセンブルクジャージの前を開けて、ジャージをヒラヒラさせながら走る姿が、フランクによく似ていて、瞬間的に見誤りそう。

取り違える原因は、「ルクセンブルクジャージ=フランク」と頭に刷り込まれていて、まだ修正できていないからだと思う。
間違えるのは一瞬で、次の瞬間、すぐ訂正はできる。
そもそも、違う点が沢山ある。頭の形と顎の形が違うので、サングラスで目が隠れていても判る。
上半身の形も違う。アンディの方が首が長く、撫で肩で、「スラリとしたライン」を持つ。
そして、アンディは上半身を立て気味にして走る。屈む角度が深くなく、高め。アンディのフォームを、集団の中で見つけるのは割と簡単だ。だから、フランクとの見分けも難しくない。

もう少しすれば、「ルクセンブルクジャージ=アンディ」と結びつき、間違えることはなくなるだろうが、今は切り替えの過渡期。
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・サクソバンクの戦略

ステージ終了後、栗村氏がサクソバンクの戦略についてちょろっと疑問を述べていたが、昨年、自分が同じようなこと、「このやり方ではみすみす勝ちを落とすことにならないか?」とモヤモヤしていたことを思い出した。

昨年はサクソバンク(CSC)のチーム力が圧倒的に強く、レースを支配していたが、エースとして用意したカードは3枚ともTTが弱く、エヴァンスにTTでひっくり返される危険があった。
サストレが尻上がりに調子を上げることを予想していたんだ、当たっただろ?とリースに言われたら、さようですか、ではあるのだが、見ているこっちは、最後の最後までヒヤヒヤしていた。

今年も、戦略は、今後の展開に左右される。予定外の事態になれば、対応して当初予定を変更せざるをえなくなる。カンチェの調子がよく、スイスで山を登れることを見せたので、彼がいける範囲は行くという方針はありだろう。
現実的に考えれば、今年シャンゼリゼでマイヨジョーヌは無理だ。公式発言は兎も角、本音では、目標は表彰台といったところだろう。そして、上がるのはチームのうちの誰でもいい。

「事前のチームの方針は、エース=アンディ」ということを、自分はチーム公式サイトのプレビューの文面から読み取った。

Andy Schleck, who won the national championship in Luxembourg after 80 kilometers of impressive solo riding, is the man to ride for in the GC. Around him, he has a very strong team of experienced bodyguards that can and will protect him on both flat road and in the mountains.

「経験豊富なボディガードたち」の個所には思わずブッときた。チームメートじゃなくボディガードですか。確かに彼はメンバーの中で一番年下で、お兄ちゃんたちに守ってもらうわけですな。

・避けられぬ恒例行事

初日の放送前に昨年の総集編を放映していた。ちょろちょろ見ていたら、「あーそうだ、シューマッハーとコールが活躍したんだよなー、リッコとピエポリも」

頭の隅に置いておこう。
昨年、ツール後に読んだ雑誌の中に、薬物に染まった自転車ロードレースは、もはやスポーツとしておわりだ、ファンは離れていっている、といった厳しい糾弾の記事をみかけた。自分は知識を持っておらず、お気楽に見ている身なので、ちょっとひっかかった。

だがその後、レース中継をTVで見ていれば、イタリアやベルギーで、この競技がいかに根づいているかを改めて感じる。
メディアの人間たちが正義を振りかざして何を言おうが、ドーピングがあろうが、自転車ロードレースを愛している人々が住む国があることが判る。
ツール・ド・フランスは確かに非常に魅力的なイベントだ。フランスの人々はこれからもこのイベントを守っていくだろう。でも、仮にツールがなくなったとしても、自転車ロードレースが消え去ることはない。ツールは、レースのうちのひとつに過ぎないのだ。
自分が自転車ロードレースに興味を持ったきっかけはランスだし、暫くの間ツールにしか関心がなかった。ツールがすべてではないことを判るようになってよかった、と思っている。

(F1が消えたとしても、自動車レースというものが消え去ることはないから、ガタガタ言うことないのよ、というのと同じ考え方)

*昨日の記載の中に誤りを発見、訂正。
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・フェルナンド登場
レース終了後、画面に、フェルナンドが映る。
「あら、遊びに来たの」と思ったら、山岳賞のコンタドールの表彰で壇上に登場。アルベール2世大公の隣に立っている。
カンチェのときはいなかったから、コンタドールのためだけに出たらしい。(そういうことができた事情は判らない。なんだろう)

・モナコの風景
F1で何度も見ているが、モナコの街全体の空撮が盛り沢山で、新鮮だった。
ジロにしろスイスにしろ、風景をふんだんに映す自転車ロードのTV映像は非常に美しく、目を愉しませる。
F1は、「同じ場所をぐるぐる回るだけ」だし、イモラやスパのクラシックコースはまだしも、近年建設された非ヨーロッパのサーキットは、味気ないこと夥しい。

・レース結果
おおむね順当。
予想外は、メンショフの遅れ。

アンディは18位で、開幕前のインタビューで本人が述べた15位以内という目標はクリアできず。
思うに、順位よりタイム差で、エヴァンスから37秒、クルイジガーから28秒なら、合格点かと。

マイヨブランを取ったクルイジガーの愛想のなさが素晴らしい。
ツール・ド・スイス総合2位の表彰式で、2位3位は全然嬉しくない、という不機嫌な顔が好ましかったが、今回もニコリともせず。
(アンディは「ニッコリ」する顔が実に可愛らしいのだが、負けて悔しいというきかん気の強い子も見どころがあってよい)
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・みどころ

総合争いは、アクシデントが起こらない限り、コンタドールで決まりである。確かに彼とて完璧な選手ではないが、実力が図抜けており、対抗馬が存在しない。
更に、スプリントも、カベンディッシュの実力が図抜けていて、勝負の結果はほとんどみえている。
よって、総合争い・スプリント勝負以外の面で楽しみをみつけないといけない。・・心配しなくても見つかると思うが。毎回そうだから。

・エース

サクソバンクは今年、アンディを、明確に「エース」として立てた。エースナンバー31をつけるのは彼である。
これだけ言いたい。

大きなことを期待しません。ただ、スイスでやったみたいに、チームの皆様方の働きを「あっというまに」水の泡にする真似はしないで。
遅れるのは、1日でもあとにすること。チームのサポートを一身に受けるエースの責任を肝に銘じて、頑張って下さい。

ブレシェルを出すかな?と思っていたら外したし、チームは完全に総合狙いの布陣だ。これでアンディがコケたら、何の意味もなくなる。スイスは幸い、カンチェが代わりに勝って、結果オーライだが、あの繰り返しをしやしないか毎日ビクビクしそう。

よくよく信用がないが、チームのみながアンディのためにガンガンに引いていたのに、肝心のアンディがちぎれていたことに気づき、「・・アレ?」「アンディがいない?」「どーしよー?」と右往左往したスイスの第5ステージの空気のいたたまれなさがトラウマになってるのかも。

それと、自分も、昨年アルプスを自在に駆け回ったバンビちゃんみたいな姿に惚れぼれした観客の1人だが、昨年はアシストの立場だから、あれだけ動けたのであって、エースの立場になったら、ああはいかないんじゃないの?という疑いが。
・・これだけ期待しないでいれば、予想外によかったら喜べるからいいか。

・兄弟の絆

ツール前ということでアンディのインタビューが出ていて、英文でみつけたものを少し読んだら(その他の言語だと読めない)、フランクとの強い関係を示すセリフがあった。

僕等が共に選手を続ける限り、同じチームで走る。僕等のうちのひとりを欲しいチームは、自動的に、もうひとりも得る。

・・そう思っていそう、と想像していたら、本当にそうだった。

自転車競技は好きだが、人生においてそれがすべてじゃない、という話の中で。

走るのをやめたいと感じたことがある。昨年、フランクがツール・ド・スイスで谷に転落したときだ。
僕は、彼の後ろを走っていて、現場にあった彼の自転車が、僕の見たすべてだった。僕は、彼が谷底に落ちて、死んでしまうんじゃないかという気がした。
キム・キルシェンが僕の所に来て、言った。「来るんだ、走り続けないと。ここで待っても何にもならない」
もし、フランクが死んでいたら、僕は翌日、自転車を止めると発表した。間違いなくそうしたよ。


今年のアムステルゴールドでも、フランクは落車して、アンディを心配させた。
事故を目撃した選手が、アンディの所に来て、よくなさそうだと知らせた。(長い間、地面に横たわったまま動かないのを、現場に留まったTVカメラが映し続けていたので、TV視聴者のかなりの割合が不安になっただろう)
この日もアンディは、フランクの状態が判らないまま走り続けるしかなく、情報は無線でしか得られず、無線に意識を集中した、と後に彼は語った。

フランクは、幸い脳震盪を起こしただけで無傷だったが、その後の2日間、アンディは兄の傍で過ごした。(フランクは実家を出て独立して暮らしていて、末っ子のアンディだけが両親の家に残っている)
水曜日、アンディは2人共に出場する予定だったフレーシュ・ワロンヌに、1人で出た。兄のために勝ちたかったが、及ばず2位で終わった。
次の日曜のリエージュ・バストーニュ・リエージュにフランクは復帰した。アンディがアタックした後、フランクは弟を逃がすため徹底的に抑えに回った。彼等兄弟を応援する多数のルクセンブルク国旗がはためくゴールに、アンディは先頭で飛び込んだ。シュレク一家が夢に見た、彼等の地元の伝統あるクラシックレースでの勝利を、彼等は手に入れた。

リエージュ・バストーニュ・リエージュでどちらかが勝ったら(彼等にとって勝つのはどちらでもいい)、大きなお祝いをしよう、と決めていたので、2人で家の近くの池を買った。
彼等は2人とも、釣りが好きだ。自転車に乗る以外で好きなことは、森の中で釣りや狩りをすることで、欲しかったのは池という、のどかな兄弟である。
(マイヨ・ジョーヌは無理な気質のような気が・・もっと必死さ・貪欲さが要るのでは・・)
Category :  F1
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・富士F1終了

FSW・トヨタからの正式発表はまだだが、蓋然性が高い、と判断していいと思う。

ガセではないと判断する根拠は、「報道した媒体」である。
トーチュウや、F1専門サイトであれば、判断を保留にするのが妥当だ。これらは、根拠なく、想像だけで、読者の目をひくことが目的の記事を書くのが常だからである。

今回、最初に情報を流したのは、5/29の朝日新聞で、7/1に毎日新聞、これに日経が追随した。(更にNHKが報道した)
これら一般紙は、常日頃、スポーツとしてのF1には関心を払わないし、専門知識も持たない。今回の報道が、開催撤退を決めた主体として挙げた名は「トヨタ」で、FSWではない。

大新聞たちの興味の対象は、自動車メーカー・トヨタであって、FSWではなく、F1でもない。そのことからすると、今回の記事のソースは、経済部のトヨタ担当記者経由であった可能性が高いのではないかと思う。

毎日の報道直後、各社が追随したが、地元の中日新聞が、7/3まで待ったのは、自分のルートで確認をとるのに時間がかかったのか、鈴鹿市長のコメントを掲載したかったからか、それとも深い意味はなく、たまたまか。

いずれにせよ、最初に朝日新聞、一カ月後に毎日新聞、という情報の出方は、「メディアの人間が想像を膨らませて書いた憶測ではなく、トヨタ本社から情報を受け取っている」と推測するに十分と思われる。

・フェルナンドのフェラーリ入り

こちらの判断は難題だ。
どうしても意見を言え、と言われたら、回答は下。

「おそらく、なんらかの合意は、存在する。でも、確定的な内容ではない」が、最も蓋然性が高いように思う。
この判断の主な根拠は、「過去のフェラーリの事例、具体的には、ライコネン移籍時のパターン」であり、推定の根拠として不十分なので、自信はない。

イタリアとスペインのメディアが延々主張し続けていることは認識していたが、今回アレンも断定しているのを読んで「ふうん?」となった。
95年に、巷に溢れたミヒャエルの移籍決定の噂を、フェラーリチームが「公式に」否定したのち、フィアット総帥のジャンニ・アニエリがポロッと口を滑らせて、バレた件を引きあいにだしている。
「ああ、そうね、そんなことがあったわね」だが、アレはアレで、今回も同じとは限るまい。
Category :  F1
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・夢判断

昨夜の夢に、ミヒャエルとラルフが(2人一緒に)登場した。ついぞないこと。
夢判断はすっかりご無沙汰で、解読できず。

解釈の候補
(1)「自分がF1と手を切る潮時」
・・・・「私にとってF1は彼等兄弟あればこそ。彼等の引退と共に、私のF1の季節は終わった」が私の無意識の本心。
(2)そこまで深刻なものではなく、「他ジャンル(自転車)で見ている仲良し兄弟の置き換え」
・・・・数日前、Jスポをつけたら、たまたまDTMの情報を伝える番組を放映中で、ラルフの顔を久々に見た。これが、夢の「材料」に使われた可能性がある。
なにせ自転車はシーズンピークに突入。今週いよいよツールがスタートする。つまり夢が示していたのは、シューマッハー兄弟ではなくシュレク兄弟。
(3)「彼等に何かが起こる予感」
・・・・昔ならコレの可能性があるが、現在はあっさり却下。

・無関心とはかくのごとし

メディアで踊った「F1分裂の危機」という文言は、「反応するのもあほらしい」ので、ほっていた。
ファンがいつまでも、こういう騒動が起こる度に、いちいちうろたえると思うんじゃないわよ。(>そっち側のひとたち)
「分裂?ないわよ。」という予想に加え、「予想が外れて、分裂しても、どうでもいい。勝手にすれば。しったこっちゃないわ」という冷淡さだから、言及なしと相成った。