南の国の太陽、空の色の獅子

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星薬科大学は、年2回、一般市民を対象にした公開講座を開催している。
このとき、アントニン・レーモンド設計の本館(1924年築)の内部も見学できる。

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内部を見て、私が最も興味をひかれたのは、「スロープ」だった。

3階建ての大規模な建物の中には階段が無く、各階はすべてスロープ(傾斜路)で繋がれている。

正面の主階段のデザインは、前もって写真で知っていた。
背面にある2本の階段室の内部を覗き込んだとき、こちらもスロープであることを発見して、そういうコンセプトなのかと気づいた。

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この建物は、レーモンドがライトから独立してからまだ間がない頃の作品で、部分部分にライトのデザインの影響がみうけられる。
スロープの白黒ラインのデザインもライト調だが、「スロープそのもの」は、ライト調とはいえない。
先達がどこかにいるのか、少し調べてみたが、現時点では発見できなかった。
独自のアイデアなのか、そうでないのか気になる。

2001年に建てられた新館、新星館は、7階建てのビルだが、中央の吹き抜けの中を、長い階段が横切っている。
まるで、本館のスロープを模したかのように見えた。

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星薬科大学は、星製薬の創業者・星一が社内に教育部門を設けたのが始まりで、星製薬商業高校の設立時に、星がレーモンドに校舎の設計を依頼した。
「星形」のデザインを、ドームの下の講堂の天井や、講堂に設置された椅子の側面にみつけることができる。

こちらは東京大学の安田講堂の椅子の側面

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竣工時は、建物内に講堂の他、講義室、体育室、プールを備えていた。
経年と共に体育室やプールはなくなったが、大学は、きちんと改修工事を行い、大学本館としての機能を維持して使用を続けている。

土曜日の午後、学生さんの姿は少なく、人気なく暗い建物内の廊下を遠慮なしにぐるぐる歩いていたら、ひとつの教室では講義の真っ最中で、邪魔にならぬよう足音を忍ばせて通った。

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<放射2号線計画問題>

さて、この星薬科大は現在、「キャンパスのど真ん中を、新設の25m道路が貫通する」という危機に面している。

東京都が事業決定した「特定整備路線 放射第2号線」のルートは、本館の正面の少し先で、既存建物には被らないにせよ、元々狭い敷地が減少・分断されてしまい、大学の機能に支障をきたす、と大学側は実施の変更の陳情をしていた。(大学と計画道路の位置関係

都側は「計画があることは、そちらも充分知っていましたよね。今更苦情を言われましても」という言い分なのかどうかは知らぬが、お構いなしに事業を進めている。

大学のHPに掲載された「東京都に対する大学としての機能の維持に関する陳情~放射2号線計画~」の中の

なお、本計画の起源となっている都市計画(昭和 21 年 3 月 26 日・戦災復興告示第 3 号)について付言いた
しますと、本来であれば、当該都市計画が決定される昭和 21 年の段階で、本学より都市計画法上の適正な手
続きを経て意見書等を提出すべきであったと思われますが、同時期はアメリカ進駐軍が本学の敷地及び校舎を
接収しており、本学から意見を申したくても出来なかった事情(接収時期:昭和 20 年 9 月 28 日~昭和 24 年 7
月 15 日)があり、本学には当該都市計画策定に関する手続保障がなかったことをご斟酌戴けますようお願い致
します。

の一節を読んで思った。

戦後の混乱期、接収されて追い出されていた時に決められた都市計画が今頃実施なんて勘弁してほしいと言いたくなるのは道理。

レーモンドが設計し清水建設が建てた鉄筋コンクリートの校舎は、規模から何から「そりゃ米軍に接収されちゃいますよね」となる建物である。
創業者が立派なものを作ったのが仇になったといったら語弊があるか。

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建築好きの間で自由学園といえば、目白の「自由学園明日館」が著名である。
フランク・ロイド・ライトとライトの弟子の遠藤新が設計した建物は、現在は学校の校舎としては使われておらず、一般に公開されている。
自由学園明日館公式サイト

学校の移転先の「南沢キャンパス」は、明日館から西へ約10kmの東久留米市にある。(池袋から西武池袋線急行で約15分の「ひばりヶ丘」駅下車徒歩8分)

都心の狭い敷地の明日館と異なり、広い敷地に幼稚園から大学までの校舎が点在する。
建物の設計者は、遠藤新と新の次男・遠藤楽で、5棟が東京都選定歴史的建造物の指定を受けている。

明日館の建物の内部のデザインに非常に魅力を感じたため、似た傾向の建築群らしき南沢キャンパスも見学したい、とかねてから機会を窺っていた。
今年、緑の美しい季節に、見学会に参加することができた。

現地を訪れて印象深かったのは、第一に「キャンパス全体の景観」である。
味わいのある建物群が、豊かな緑と調和し、心地よく美しい景観を生み出している。

この心地よさを写真に撮って記録しようとしたが、写真では「雰囲気」を写し取ることがなかなかできず残念だった。

●女子部

明日館に通じるデザインをみつけられるのが女子部の建物。
上の写真が食堂。中庭を挟んだ体操館から撮ったもの。
内部には、明日館と同様、年季の入った木製の椅子とテーブルが並ぶ。

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女子部は学校敷地の北側で、南側に比べて10㎡ほど低くなっている。元は田圃で、水はけが悪い。
西側の少し高くなった場所に講堂、中央北に食堂と教室、南側の低地に体操館と広い芝生地を配している。

遠藤新の特徴を感じられる講堂

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食堂に連なる教室棟
懐かしく馴染みのある昭和の香りを漂わせる木造建物
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体操館を北側から
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南面
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水平のラインを強調し、地に這うように芝生と一体となったデザイン
(ライトの提唱したプレーリースタイル)
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●初等部

敷地の北側は、縄文時代の集落跡で、竪穴式住居跡や土器片が出土している。
その上にあるのが初等部で、建物は、平屋の教室棟と食堂棟から成る。

教室棟
エントランスの大谷石を積み上げた柱は遠藤新の特徴
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食堂棟
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内部のデザインは、女子部食堂と通じる。白壁に木の水平のライン。
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●男子部

男子部は女子部の後に建設され、経済上の問題で規模・デザイン共に女子部より劣る。
そのためか、あるいは予定の見学時間が迫ったからか、内部見学はなく外観のみ。

正面は体育館。両翼の1階にはアーチがあるが、植栽に隠れて見え難い。
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●ここで学ぶということ

見学会の参加者の中に在校生の親御さんがいらして、会話を交わす機会を持った。
一般の学校とは大きく異なる独特な教育方針の学校生活について、具体的な話を色々伺い、感心することしきり。

人によって向き不向きはあるし、賛否あるだろうが、「こういう教育を受けていたら、自分ももっと違った人生を送れたかも」と一種羨望のような台詞が口をついて出た。

昭和初期に建てられた木造の建築群が、当初の姿を留めて保存され、今も現役の校舎として使われているのは、この学校の「普通でない」教育理念によるところが大きいのだろう。

校内を行き交う生徒さんたちの姿を見ながら、彼等の多くは、自分の過ごした学校が特別な場所であったことに、大人になった後に振返って気づくのだろうな、と思った。

自由学園公式サイト

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国会の主戦場のひとつ、予算委員会の開かれる衆議院第一委員室。
TV中継で馴染みだが、TVで映るアングルはいつも決まっていて、バリエーションがない。

で、TV放送では映らないアングルの写真を撮ってみた。
天井が高く長細い部屋の片端に柱を立て、階段状の2階が作られていて、報道席と傍聴席として使用されている。

NHKのカメラは、2階の右寄りに設置される。
「衆議院のカメラ」は、部屋の四隅の棚上に設置されている。

2階の後ろの部分が傍聴席に割り当てられている。
この2階席をカメラが映すことは通常なく見慣れないが、今回(5月8日)、籠池氏が傍聴席に入ったことにより、TVに抜かれた。

傍聴席の下の1階スペースは記者席で、長机と椅子が並べてある。
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審議中、発言者が、ちらちらと斜め上方へ視線を向けることがあるが、あの視線の先には、時計がある。
バルコニーの中央に大きな丸い掛け時計があり、あれで時間を確認しているのではないだろうか。と、現地を見て思った。

自分が内見してきたのは、5月3・4日に行われた特別参観。
通常の参観コースでは通らない場所数箇所に入れるとのことで行ってきた。

特別公開の一つがこの第一委員室である。
部屋内では、衆議院の職員の方が待機し、参観者の整理・案内をしたり、質問に応えたり。

「思ったより、(質問席と答弁席の間隔が)近いね」
「ほんと、この距離で面と向かうのは、けっこう凄い」
と参観者たちが気侭に口から出す感想や、
「籠池さんが座っていたのはあそこ?」
等の質問に、親切丁寧に答え、色々教えてくれる。

今日の場内には、日常の参観の案内を務めている衛視さんだけでなく、別の業務を行っているとみうけられる職員の方多数が動員されて、臨時に、大量の参観者の応対をしているという体であった。
連休中の休日出勤で、いい役回りとは思えないが、どの方も、気さくで、親切で丁寧だった。

「連休明けの8日からここで集中審議があってTV中継されますから、ご覧下さい」
という案内に、参観者も和やかに盛り上がっていた。

●「第一委員室」

ん?「第一委員室」では?と思ったが、「会」抜きで正解。

参議院は「第一委員会室」。
衆議院は「第一委員室」。
両院で呼称が違う。

.●権力の舘

久しぶりに国会内に入って、思った。
『権力の舘』を絵に描いたような空間だな。
国会議員になって、ここに出入りできるようになると、自分が『権力を持った』という勘違いの全能感を持ったとしても不思議なさそう。
これを作った時代は、こういう威圧感のあるものにしたのは判るが、今作るなら、こんなもの作ったらいかんわ」

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新宿御苑、花の絨毯

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目黒川、花筏

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東京大学五月祭に初めて行ってきた。
若い人のためのイベントで、自分が行くものではないと思いこんでいたが、「普段は入れない建物内に気軽に入ることができる」絶好の機会であることに、はたと気づいた。

行ってみると、思惑通り、興味を惹かれていた建物に入れただけでなく、魅力的なスポットを新たに発見するわ、次回の楽しみを幾つもみつけるわの大収穫であった。

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・安田講堂
時計台のそびえる正面の外観が有名だが、その名の通り、ここは講堂、ホールである。
小杉未醒(放庵)の壁画で飾られていると知って以来、いつか内部に入りたいと思っていた。

客席の形状は半円で、天井も弧を描いたデザイン。
2013~14年に大掛かりな改修工事が行われ、小奇麗になっていて、年季の重みの趣は薄い。
とはいえ、飾り気がなく、木材で設えられた内装は心地よい。

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「学」のマークが、舞台中央、壁画の間の他、椅子の横にもある。

日曜日は、一日中、クラシックの演奏会が開かれていた。
同じ時刻、正面出入り口の真ん前にべったりと正面を塞ぐ形で設営された大きな仮設ステージでは、ダンスやバンド演奏が繰り広げられている。
講堂の中はクラシック、観客は中高年齢層多数。一歩外では、ポップな音楽・パフォーマンスと若年齢層の観客、とギャップのある光景が面白い。

・医学部2号館本館

キャンパスツアーで訪れたとき、「中に入ってみたい」欲をかきたてた建物である。
普段は部外者お断りの舘が、今日は、どうぞどうぞと呼び込んでいる。

どきどきしながら敷居を跨ぐと、一歩踏み入れただけで、いにしえの建物の気配を感じる。
吹き抜けの階段を上ると、最上階3階ホールの壁には古めかしい肖像画がずらりと掛かり、胸像が並び建つ。
歴代の教授らしい。こういう景観は、そうそうお目にかからない。

今日はイベントの掲示や飾りで覆われ、雑多な群集がひしめきあっているが、それらを「脳内で消して」、普段の光景を想像してみる。
そうすると、下の写真に近い、アカデミックな雰囲気の空間が出現する。

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中庭を囲む廊下、教室は、「改修は最低限、全面的な改装はせずの方針で、古いものを粛々と使っている」という感。
新しい施設と比べたら、そのギャップたるやすさまじい。

でも、これが日本国内最高峰の学部ならではの環境ということで、学生さんたちは受容するのだろうな。
などと思っていたら、パンフレットのアンケートの中に
Q  東大医学部に入って意外だったことは?
A  「建物の中が暗い・偉そうな人の銅像が立っている(まあ1930年の建物なので仕方ないですが)
という素直な感想の回答があった。

*ちなみに、医学部医学科4年生を対象に行ったこのアンケートの内容は、なかなか面白い。
上記の質問の他の回答:
「意外とまともな人が多い印象」
「意外と宇宙人みたいな人が少ない(ただし宇宙人がいることは間違いない)」

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・付属病院、御殿下記念館

医学部2号館から東へ進むと御殿下グラウンド。
その向うは、医学部付属病院のエリアである。
境界になる道路に立ち、南へまっすぐ伸びる道の先を見遣ったとき、奇妙な感覚に襲われた。
「こういう風景を、どこかで見たことがある」
「日本ではない」

この道路は東大の敷地内で、走行するのは「東大構内」行きの路線バスと、ゲートで入構を許可された車だけである。
病院が休診の日曜日の今日は、往来する車はほとんどない。

歩く人もまばら。祭りの喧騒もここには届かない。
人の気配の薄い、からっとした広い空間と、街路に面して並ぶ、高さがあまりなく横に長い年代ものの建物の雰囲気が、どことなく日本でないような錯覚を呼び起こした。

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東側に伸びる付属病院の建物正面。
これに似たデザインの建物が連なる。

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西側。煉瓦造り(のようにみえる)古典的な三連アーチは、御殿下記念館のエントランス。
向いの赤煉瓦の建物は理学部化学館。
キャンパス全体を支配するウチダゴシックとは異なる様式で、珍しいなと近づき、案内板の掲示を読むと、本郷キャンパスで最古の建物だという。
関東大震災で、明治・大正に建てられた建物がほぼ壊滅した中で残った希少なもの。

安田講堂に戻り、工学部エリア、次いで言問通にかかる陸橋を渡って弥生キャンパスへ向かう。
農学部、野球場、地震研究所。ここが、キャンパスの北端になる。

野球場では、選手たちが練習をしている。
学祭とは無関係の、日常の風景。
周りにいる見物人は数人。

広大なキャンパスは、緑に恵まれ、歩き回るのが気持ちよい。
イベントを行っているエリアは人で溢れるが、一本道を外れると人影は少なくなる。

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樹木の影が校舎の壁と地面に落ちる。
これは農学部1号館の西面だが、似た光景を随所で見ることができる。

別の季節にまた訪れよう。
また、今回は建物探訪をメインにし、催し物をほぼスルーしたが、中には興味を惹かれるものがあった。
混雑に怖れをなし入口で踵を返したが、いつか気力が出るときがあったら参加したい。

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